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【必殺仕事人】セリエA 23-24 第11節アタランタvsインテル レビュー

こんにちは!TORAです🐯

今回はセリエA第11節アタランタvsインテルのレビューです。


●スターティング

●前半-スカルヴィーニがスカルヴィーニ


冒頭に触れたいのはアタランタの選手配置。ボール非保持から見ていきましょう。

アタランタの3-4-2-1をインテルの3-5-2に噛み合わせてマンツーマンさせるには、チャルハノールを誰が見るかが焦点。今回、番人に選ばれたのはエデルソンでした。

エデルソンがチャルハノール番に

ポイントは浮いた左IHムヒタリアンの対応

昨季はスカルヴィーニが上がり実質的に4バックで戦ったこともありましたが、今回は完全なマンツーマンではなくセンシティブなタスクを風味付け

対インテルではパキッとしたマンツーを仕掛けるアタランタですが、近年はこういうリスク管理やなんならマンツーマンじゃない時間も増やしてますね(今季はマンツー色戻したかも)。

コープマイネルスが内切りプレスでムヒタリアンのコースを消しながらアチェルビを監視。スカルヴィーニは最終ラインと中盤の間、絶妙な位置で状況をスキャンし、ムヒタリアンにボールが入ったらすかさず距離を潰すアプローチ。

マンツーマンでプレスをかけつつも、最終ラインの数的同数リスクを管理する繊細なタスクを担ったスカルヴィーニ。今年、二十歳の青年がこれをやるんだからすごいわ。

続いて、ボール保持。

これを述べるにはインテルの非保持から触れなくてはなりません。

元々前からプレスの強度が高いチームではありませんが、今日はいつにも増して静的。基本的には構えてからの迎撃です。

そこから内のコースを切って、外に誘導させるスタンスは”いつも以上”を感じました。

ツートップが内切りを徹底し、外に誘導させる

外よりも内のが危険なレーンなので内切りが優先度高いのは当たり前なのですが、インテルはその大前提の上で企図を込めた、と見ています。

アウェイチームが誤算だったのはこのスタンス故、逆に中を使われてしまったこと。

アタランタ目線に移りましょう。

『迎撃内切り非保持』に対するホームチーム。

ビルドアップにおいて最も再現性があったの3-4-2-1の”2”が外に膨らみ、左右CBを押し上げる手法。特に右は頻度も精度も目立ちました。

コープマイネルスが膨らみ、あえてザッパコスタとレーンを被らせる

特になんでもないシーンに終わってしまいますが、10:45~が分かりやすく仕掛けを確認できるのでおすすめ。

逆に決定機未遂となったのが45:40~。

この場面ではエデルソンとザッパコスタが大外にいるのに、さらにコープマイネルスが膨らんで3枚のレーン被りを発生。空いたハーフレーンをスカルヴィーニに使われました。

個人的には後半含め、ホーム側で最もクリティカルな崩し。これを試合で最も狙っていたであろう形で創り上げたことは監督冥利に尽きますね。

インテルがもう少しベクトルを前にしてアタランタの最終ラインに圧をかけれていればピッチの様相も変わったと思いますが、構えるに重きを置いた結果、左右CB、特にスカルヴィーニを発射させる温床を育ててしまいました

例えば、右IHバレッラが上がる従来得意だったやつ。

というわけで、スカルヴィーニは攻守に渡りスカルヴィーニしてましたね。今年、二十歳の青年がこれをやるんだからすごいわ。

●前半-必殺仕事人

戦術が効いたホームチームと空転したアウェイチーム。

必然、アタランタが主導権を握る展開に。さらに33分、パヴァールが負傷交代でさらに苦しくなるインテル。

…のハズでした。逆風を追い風に変えてくれたのはパヴァールの代わりに投入されたダルミアン

シモーネ監督から指示が入っていたのでしょうか。投入直後からパヴァール以上の積極性を発揮すると、30分という時間が経ちインテルが慣れてきたのも相乗したのか、ようやく押し込む時間を確保できるようになります。

そして、風に押された勢いのまま、刺す

やり直しで戻したボールに対して、ダルミアンが斜めのランニングでよーいどんすると、チャルハノールがスルーパス。タイミング・コース・スピードすべて完璧なパスは一気にアタランタの急所を抉ります

芸術的一撃

レイトで倒してしまったムッソの判断ミスは否めないですが、そうさせたのはダルミアン。ボールの矢印を変えてムッソの事後接触の輪郭をはっきりさせた技術はベテランの味ですね。

チームの旗色を変え、PKを誘発。てか、そもそも右CBは本業じゃないでしょう(今更)。いくらなんでも仕事人過ぎませんかね。顔もプレーもイケメンが秀抜で、もはや嫉妬も諦めるレベル。

個人的には彼がMOM。公式の最初の一票頂きましたよ笑

●後半-選手配置変更が功を奏す

HTの選手交代は両チームともになし。

アタランタはコープマイネルスとルックマンの左右を入れ替えるハード面の変更。一方、インテルはシンプルにギアを上げるソフト面の変更で後半に臨みます。

立ち上がりはトランジションの応酬で二局面サッカーでしたが、徐々にインテルがペースを掴み、ボール保持局面が息を吹き返します

この段階ではアタランタの左右入れ替えはむしろ逆効果。コープマイネルス+スカルヴィーニのユニット効果性の損失が響いた感想を抱きました。

スコアも内容も押されたアタランタ。

「移籍によるキャピタルゲインの3%を貰っている(かもしれない)」、裏での荒稼ぎが発覚したガスペリーニ監督、わずが10分で交代策を決断しました。

ⅰ)右WBザッパコスタに代えて同ポジションのハテブールを投入

ⅱ)左CBコラシナツに代えて中盤前目のパシャリッチを投入

前者はそのままの意味かと思いますが、後者が視聴者を唸らせました。勝負の一手

選手配置を変更したアタランタ

変更後は4-2-3-1に。

しかし、全体の設計を考慮すると『4-3-3』と表記するべきかもしれません。

個人的に後者がしっくりくるのと、戦術ボード上の『OH』と『DH』がややこしいので、中盤は▽構成で記します。

中盤▽構成

彼らの狙いは「左で作り、右で刺す」

左サイドでの前進が急増

ビルドアップは左重心。特にルッジェーリにボールが集まりました。

「今日のインテルはSBの位置にIHやWBがジャンプアップしない、リードの今は尚更」

ガスペリーニ監督はそう踏んだのでしょう。事実、CB→SBを起点とするボール運びは全く制限できませんでした。

ただ、インテルとしてはそれでもOK。重心を低めにし5-3のブロックを強固にしながら誘引。あわよくばとどめのカウンター、が青写真だったでしょう。

しかしながら、コープマイネルスがサイドの司令塔となり、最前線の楔となり続けたスカマッカ、精力的なアップダウンで強度を生んだエデルソン、オーバーラップで追い越すルッジェーリ、やり直しを担保するデローンやジムシティらの属人的な機能性がガチッとハマったアタランタ。

その火力にインテルの撤退守備は「誘引ではなく単純に押される」となりました。

この殴り方こそ、システム変更後を4-2-3-1ではなく4-3-3とする理由。

尚、肝となるのはデローンですね。エデルソンとパシャリッチは入れ替わることも多かったですが、デローンは攻め上がることはあれど彼らの間に位置して▽を結ぶ点であり続けました。つまり、中盤底感が強かったってこと。

左重心が活きた理由は逆サイドにもあり。ルックマンです。

スピードあり、テクニックあり、シュートのパンチ力あり

オーバーロードで生まれたスペースは彼に前を向いてプレーさせる舞台となりました。これが実に厄介だった。

さらに時間を進めると、今度は左で思った以上に押し込めたことから、あえてその左に”ジョーカー爆撃機”であるムリエルを配置するガスペリーニ監督。

コープマイネルスは今日の(も)戦術面での核だったので、結果論が避けられない難しい交代だったと思いますが、押し込みが加速する最終盤フェーズで最もインパクトを残しました。結果論◎。

いや、今日は本当にガスプ采配が冴えていたと見ます。ぶっちゃけ監督勝負だけを切り取るなら「本試合はホームチームに軍配が上がる」が僕の評価。

●後半-仕事人は一人じゃない

時間を少し巻き戻します。

アタランタの配置変更がハマったからこそ、その変更のわずかな隙を狙い、結果に昇華させたラウタロのゴールはとんでもない価値がありました。

直後に1-2とスコア差を詰められましたが、この失点シーンは議論の余地が大いにあるでしょう。

だからこそ、最後の最後まで集中を切らさず水際で守り切った守護神と最終ラインの計133歳カルテットも評価してあげたいですね。彼らもまた仕事人だった

展開や事象からボローニャ戦がフラッシュバックした方も少なくないでしょう。さらにアクシデントもあった本節はむしろよりハードだったはず。

その中で風向きを変えた挙句に大仕事をした者、隙を見て切って落とした者、劣勢でもなんとか守り切った者。多くの仕事人たちによって掴んだ白星のバリューはあまりに大きい。

お疲れ様でした、インテル。

●雑感-バグでしょ

「必殺仕事人」

副題から逆に名前が挙がらなかった選手が可哀想な感じになっちゃったんですが笑、これは構成上や文量上致し方なし、なので許してちょ。

てことで、本項で少しだけピックアップします。

注目は走行距離のデータ

バレッラがおかしいんよ。

13.58km走って、1.44kmのスプリント量はおかしいんよ。

しかもこれだけ走ってジョグの量が少ないのもポイント。常に走ってますね、この男。

でもって、この影に隠れてるけどテュラムもおかしいんよ。

フル出場したとはいえ、FWが二番手に位置するのは稀有ですね。しかも両チームトップとなるスプリント量のおまけ付き。

珍しさで言ったら、テュラムが上かな。

もう何年も試合を見たらスタッツも見る、を繰り返していますが中々見ないですね、ツートップのFWでこのクラスのスタッツは。

一方で疲労が懸念されますが、アルナウトヴィッチがようやく帰ってきそうなのに加え、サンチェスにようやく”らしさ”が垣間見え始めたのが超嬉しい。

アスラニもトロイの2枚目イエローのきっかけとなるパスを送り、前節に続いてプレゼンスを発揮しました。超嬉しい。

ということで、クアドラードですよ。

負傷したパヴァールの続報はレビュー執筆時点でまだ角度の高い情報が出てきていませんが、あの負傷の仕方と直後の深刻度からするに最悪の事態にならずとも、相応の離脱は避けられないでしょう。

となると、あんたがいないと右WBが回らんのよ。ズルズル負傷が伸びていますが、いい加減帰ってきてください。来た以上は貢献してください。頼むぜ!

以上!

次はミッドウィークのCLグループステージ第4節。

ここでの勝点3はグループステージ突破が決まるだけでなく、その後リーグ戦の優先度を上げることができるスケジュール上のメリットも宿しています。

続く第5節のベンフィカ戦がユヴェントス戦とナポリ戦に挟まれてますからね。ここでターンオーバーできるか否かの違いはマジでマジで大きい。

必勝!!!頼んます!!!

最後までご覧いただきましてありがとうございました🐯

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