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【妥当】セリエA20-21 第19節 ウディネーゼ−インテル レビュー

戦術でしてやられるも戦力はやはり勝っており、優位や好機は散見された。
しかし、パフォーマンスの低下は過程と結果を紐付けることが出来ず。
【妥当】
内容とスコアは寸分違わずリンクした。

こんにちは!TORAです🐯

今回はシーズン前半最終節!ウディネーゼ−インテルのマッチレビューです。

●選手起用

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・ウディネーゼ交代
32分アルスラン▶︎ワラセ
62分デウロフェウ▶︎マンドラゴラ
63分ボニファージ▶︎デ・マイオ
78分ゼーヘラール▶︎ナイティンク
78分ラーセン▶︎モリーナ
・インテル交代
70分ヤング▶︎ペリシッチ
70分ラウタロ▶︎サンチェス
70分ヴィダル▶︎センシ

●前半−コスパの良さが生む安定の守備

シンプルにウディネーゼ良かったですね(語彙力)。攻守ともにやりたいことが明確で再現性があって、個人的に適切さも感じました。非常にオーガナイズされてます。

まずハマったのが守備。前からプレスです。

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✔︎最終ラインがボール持つのは許容。
✔︎ツートップとCHの2+1でブロゾヴィッチを封殺。

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✔︎インテルのHV(左右CB)がボールを運べば、ボールサイドのCFとIHで囲う。
✔︎インテルWBには対面のWBがハードにプレス。大外の選択肢をなくす、減らす。
✔︎もう一方のCFとCHは立ち位置優先で守り、面の厚み付けに貢献。

特にデウロフェウが効いてました。

インテルは至極当然、右重視のビルドアップなわけで相対する左(に位置することの多かった)CFデウロフェウは、CHブロゾヴィッチからHVシュクリニアルのケアのスイッチング、周囲と連動したプレッシャーのかけ方、それらの継続性に優れていました。

頭も身体もかなりの高負荷だったと想像します。

イタリアダービーでインテルがユヴェントスにやったことをウディネーゼにやられちゃいましたね。

前線のアプローチのコストパフォーマンスの良さが
中盤以下が余裕を持って守れる温床に

結果的にウディネーゼは局地的な数的優位を安定して保ったまま、インテルのビルドアップを殺すことに成功しました。

●前半−バレッラの裏をポジショナルに攻める

続いてはボール保持、攻撃面。
ここでもデウロフェウが目を惹きました。イタリアダービーのロナウドよろしく、アクティブに中盤に降りてきてましたね。

ただ降りるだけじゃなくて、ペレイラがしっかり連動できている点にデザイン性を感じました。

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✔︎サミルのボール運びがトリガー。
✔︎ゼーヘラールは幅取り係。
✔︎デウロフェウが落ちてペレイラが上がったり、膨らんだりのムーブで基準点を乱す。

本節のインテルの守備は右IHバレッラを左HVに当て、3バックそれぞれに圧をかける今季取り組んでいる手段を採用。
かなりアグレッシブにハイプレスかけてましたね。特にバレッラは流石の圧力でした。

・チーム全体とバレッラのハイプレスを比較
チーム全体)本節63回:平均36.1回
バレッラ)本節11回:平均4.23回
スタッツで見ると本節のハイプレス加減が伝わりますね。尚、バレッラの試行数はラウカクを抑えてチーム1となる値。
FBref.comを参照。

ウディネーゼはインテルのハイプレスを逆手に取りたかったのでしょう。

バレッラの背後でデウロフェウが中盤に降り、往年の名手カモラネージをアイドルとするアタッカー気質の強いテクニカルなペレイラが自由を謳歌することで、ブロゾヴィッチとシュクリニアルの基準点を曖昧にする目的だと推察します。

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前半終了時のデウロフェウとペレイラのヒートマップ。入れ替わりが要因で、両者とも似たようなエリアが濃くなっています。
SofaScoreを引用。

33分という早い時間帯の交代策はそれを証明するかのようでした。
CHのポジションをアルスランに代えてワラセに。

アルスランが早々にカードを貰ったことも勿論、要因の1つかもしれませんが主目的は別にあると見ます。

ゴッティ監督はもしも勝点3を獲得できるのであれば、ここが勝負どころだと踏んだのではないでしょうか。
デウロフェウとペレイラ、2人に思いっきりやって欲しかったんでしょうね。

その担保にレジスタのアルスランを下げ、インコントリスタ(潰し屋)のワラセを投入することで中盤底の守備力を底上げ。

守備の人材を投入することで、むしろ瞬間火力を引き上げる

これが本交代策の全容だったと考えます。

●後半−してやられる

是が非でも1点が欲しいインテルですが、立ち上がりにペースを掴んだのはウディネーゼ。

前項でウディネーゼの攻撃を印象良く書いたわけですが(実際良かったけど)、インテルは人を捕まえて、マークを引き渡して、しっかりと対応できていました。

が、後半立ち上がりはわちゃわちゃに。
デ・フライが大外に釣り出されたり、最終ラインがズレた先で被カウンターをくらいヤングがしんがりを務めたりとヒヤヒヤ。
危ないシーンもありましたね。

徐々に落ち着きを取り戻すインテルはバストーニの持ち運びを色濃くします。

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✔︎バストーニの”運ぶドリブル”頻度をアップ。
✔︎有効なボール前進手段になると、ブロゾヴィッチもボールを持てるように。
✔︎左サイドが活きることで右サイドが空く。
✔︎そこに1発サイドチェンジでパスを通せるバストーニ!

左が活きることで右が空く、相乗効果。

これでインテルが流れを掴むと、絶妙のタイミングで再びゴッティ監督が動きます。61分、デウロフェウOUT。
上述の通り、心身共に重めのタスクだったので納得。最初から90分プレーさせない算段だったことは前半から感じていました。

しかし、代わりに投入されたのがマンドラゴラだったのには驚き。
瞬間、悟りました。

「やられた、引き分け狙いに切り替えられた」と。

これは結果論ですが、本節はゴッティ監督のゲームプラン通りだったかもですね。

前半手応えのあった箇所をピンポイントで強化。ただし、消耗が目立ち始める後半半ばまで。スコアで負けていなければ以降はリスクを背負うことなく、そのまま逃げ切りを図る。

もはや考察ではなく妄想の域かもですが、あながち間違ってないんじゃないかなぁ、と。

さて、ここから先はもう割愛でいいでしょう。コンテ監督も動きましたがドン引きウディネーゼを最後まで崩すことは叶わず。

0-0。アタランタがお膳立てしてくれた”冬の王者”になるチャンス。見事に逸しました。

・スコア
ウディネーゼ0-0インテル

●雑感−議論の余地ないドロー

すみません、今回はウディネーゼにスポットライトを当て過ぎました。
その理由は重複ですけど、本当にウディネーゼが良かった点。僕、これが対インテルじゃなかったら、相当前のめりで楽しんでいたはず。

一方、インテルは割と特別なことをしてなかったことも、理由のひとつです。

ボローニャ戦と似てますね。相手の手段に気付いてはいるが真っ向勝負!自分たちを信じる!って印象を受けました。

ダービーでの完勝後ですし「自分たちの強みを自信を持って発揮しようとする」、それは肯定します。事実、割とハマってた部分も。

印象的だったのは後半のビルドアップのテコ入れ。バストーニの持ち運び&フィードとハキミのアイソレーションが存分に活かせるシチュエーションづくりは今季らしさを感じました。 

もちろんただバストーニが上がってるだけじゃなく、最終ラインは立ち位置をしっかりアジャストしてましたし、ヴィダルも上手くバランスを取ってくれていました。ちゃんと設計はされてますね。

けど、まぁ今回はパフォーマンスが散々な選手が多かった。こうなると戦術を悪い意味で超越しちゃった感があります笑

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ユヴェントス戦のレビューより抜粋。

インテルがユヴェントスにやったことをウディネーゼにやられたことと言い、一体これはなんの因果なんでしょうか笑

てことで、ドローは妥当。
得点期待値も前半、ラウタロがパスを引っ掛けて創ったビッグチャンスくらいしかめぼしいものはなく、統計的な観点でもスコア通りの内容であったことを示唆しています。

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本節の得点期待値。両チームともに低調な値です。
understat.comより引用。

さて、次節はコッパ・イタリア、注目のミラノダービー!…ですがレビューはお休み予定。
コッパのレビューはセミファイナルかファイナルのみにしようかなと思っています。そこまで進めていれば、の話ですけど笑

代わりにシーズン前半を終えて、セリエAのデータ考察記事を執筆予定です。

よろしくお願いいたします。

FORZA INTER!!⚫️🔵

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