最近の記事

『千本桜』の歌詞考察は決してできないということについて

「大胆不敵にハイカラ革命……」と頭の中で歌っていたときに、ふと、そういえばこの曲ってどういう世界観なんだろう?と気になった。 「千本桜 歌詞 意味」と検索すると、予想に違わずわんさか出てくる。でも、見た限り決定的な解釈はなさそうだ(だからこそ考察欲を掻き立てるのだろう)。 おおむね一致しているのは、明治時代か大正時代あたりの世界だろう……ということくらいで、あとは政治的な解釈として、その時代の風潮を批判する(作詞者の立場というより、物語の設定として)ようなニュアンスだろう

    • 覚書:ラーメンズ 「超虚構」と「魔法」

      ラーメンズの『バニーボーイ』(CLASSIC)で、片桐仁が「死ねばいいのに」と言う(小林賢太郎はこんな直接的なセリフ書きそうにないのでアドリブかと思う)シーンがあるが、その直後に自分でもびっくりしたように顔がひきつってるのが何度見ても面白い。その後も口を撫でたり眉をなぞったりせわしない。 ラーメンズの面白さは、テキストとしての面白さ以外では、神経質にコントロールされた演技と、その一方でコントロールしきれていない身体性が相互に立ち現れる部分だと思う。 ただし、コントロールし

      • うすた京介ギャグの"わからなさ" ~ジャガージュン市の詩『春郎』から見る修辞と対象の欠如~

        はじめにこの記事が目指すのは、うすた京介のの面白いギャグがどう面白いのかを説明することではなく、うすた京介のギャグがどういうことを指向(※志向ではない。ここでは作者の意図は問題にしない)しているのか、そして既存の笑いの文法と何が異なるのかを論じることである。その手掛かりとして、『ピューと吹く!ジャガー』第21笛におけるジャガージュン市の詩論を参照する。 ジャガーの詩論『ピューと吹く!ジャガー』第21笛で、ジャガーがポギーの詩を否定し、自身の詩論を展開するシーンがある。要約す

        • コメディにおける「物語」の破壊~ハートフルコメディとハードコアコメディ~

          コメディというジャンルを愛好する者なら、以下の二つのうちどちらかを経験したことがあるかもしれない。 ①ハートフルな筋立てに感動的なハッピーエンドを期待していたのに、非合理的な展開が最後まで続いた挙句に主要人物が報われない終わり方をして、釈然としないあるいは胸糞悪くなる。 ②主要人物がハプニングに振り回されて散々な目に遭い続けるのを期待していたのに、後半から教訓めいた話になって、最後は"感動的"なハッピーエンドで終わり、反吐が出る。 この記事では、 ①の人が期待していた

        『千本桜』の歌詞考察は決してできないということについて

        • 覚書:ラーメンズ 「超虚構」と「魔法」

        • うすた京介ギャグの"わからなさ" ~ジャガージュン市の詩『春郎』から見る修辞と対象の欠如~

        • コメディにおける「物語」の破壊~ハートフルコメディとハードコアコメディ~