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第15回:思い出し笑い「はい、ごくろうさん!」(&ツルコ)


第15回:はい、ごくろうさん!

*intoxicate vol.68(2007年6月発行)掲載

この春の植木等さんの訃報は、ショックでしたねー。ジャイアント馬場、いかりや長介、古今亭志ん朝に次いで。高度経済成長時代に登場した、植木等演じる“無責任男”は、とにかくお気楽でお調子者のサラリーマンが、あまりにはまってたので、本人もそういう人なのかと思わせてしまうくらいでしたが、ほんとはとても真面目なひとだったんですね。昭和の大ヒット曲となった《スーダラ節》を歌う話がきたときはとても悩んだと、追悼で放映されたドキュメンタリー番組で話してました。父親が僧侶で、自分もその道を目指していたくらいの人ですから、こんなひたすら脳天気な歌には抵抗があったよう。ここまでやっちゃっていいのかって。でも父親に相談したら、いい歌だ、と賛成してくれたことで決心がついたんだそうです。その後もずっと“無責任男”と自分とのギャップには悩んでいたようですが、でもあの歌声は、ほんとうに昭和の時代を明るくしてくれました。平成になって、《スーダラ伝説》として当時の曲をメドレーで歌い、またまた大ヒットしたので、若い人にも改めて認知された植木等ですが、還暦を過ぎてオリコントップ10に入ったのは史上初とか、紅白に出演し記録的な視聴率だったとか、その衰えないパワーは健在でした。性格俳優としての演技も高く評価されてましたし。でも、気がついたら、もう80歳になられてたんですね。今頃はハナ肇、安田伸たちと再会を果たしていることでしょう。


2000人が参列した「さよならの会」では、内田裕也がロック・バージョンの《スーダラ節》を歌ったり、ユーミンとミッキー・カーチスがデュエットしたりと、笑いと歌で植木さんとのお別れをした様子が報道されてましたが、会の締めくくりが《無責任一代男》のラストのセリフ「はい、ごくろうさん!」だったそうです。泣けるー。


でも、うれしいことに、なんと植木等フィギュアがあるんですって。知ってました? これでいつまでも植木さんと一緒です。「日本一の無責任男」というもので、60年代の植木等なんですが、“昭和の日”4/29に発売した気づかいも素敵。スーツ姿なんですけど、着脱ができて、ステテコ姿にもなるって! さらにハッスルコーラ6本(『クレージー作戦 くたばれ!無責任』)や、すり鉢&すりこぎ(『日本一のゴマすり男』)も付いてるこまやかさ!うーん、ほしいぞ! 高いけど。「ごますり行進曲」を聴きながら、ポージングもできる1/6サイズの植木さんにゴマをすらせちゃうってのは、大人にしかできない遊びですね。 


植木等最後の姿を観られるのが、今月公開される映画『舞妓Haaaan!!!』。お座敷遊びをする老人役で出演、遺作ということですので、植木等ファンは必見です。ちょうど、無責任男や日本一男シリーズが一世を風靡していた頃の同時ヒットシリーズだったクレージーキャッツ主演映画もDVDでリリースされてますので、若き日の植木さんも偲べますよ。それにしても、クレージーキャッツやドリフターズを継ぐコミックバンドが出てこないのはさびしいですね。ポカスカジャン、もっとがんばっていただきたい。


映画といえば、前号でご紹介した「しゃべれどもしゃべれども」、公開初日は満員御礼、評判もよくて、ヒットの予感あり、みたいです。そしてまたこの夏、落語を題材にした映画が公開されます。江戸時代の落語の祖とされる、「牡丹灯籠」などの怪談噺の作者、三遊亭円朝の「真景累ヶ淵」を、『リング』の中田秀夫監督が黒木瞳主演で映画化。すでに世界40か国での配給が決まっているそう。世界中の人が怪談の世界に震え上がることでしょう。いつも落語できいている噺がどんなふうに映像化されるのか、ものすごーく観たいんですけど、ホラーには弱いんで、だめかも。ああいうの観たあとって、顔を洗えなくなっちゃうんですよねー。

DVD『クレージー作戦 先手必勝』
久松静児(監督) 、 植木等(主演)
[TDV-17166D] 発売中
4,950円(税抜価格4,500円)
発売・販売元:東宝

DVD『クレージーだよ奇想天外』
クレイジーキャッツ(アーティスト) 、 坪島孝(アーティスト)
[東宝 TDV-17167D]

DVD『クレージーのぶちゃむくれ大発見』
クレイジーキャッツ(アーティスト) 、 古沢憲吾(アーティスト)
[東宝 TDV-17168D]

DVD『クレージーの大爆発』
クレイジーキャッツ(アーティスト) 、 古沢憲吾(アーティスト)
[東宝 TDV-17169D]

DVD『クレージーキャッツ 奇想天外ボックス(4枚組)』
クレイジーキャッツ(アーティスト)
[東宝 TDV-TDV-17165D]

思い出し笑いライン


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