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第37回:思い出し笑い「今年もSWAから縁起がいいね!」(&ツルコ)


第37回:今年もSWAから 縁起がいいね!

*intoxicate vol.90(2011年2月発行)掲載 

2011年が始まって、大雪が降ったり、噴火したり、相撲協会がもめたり、国内でも海外でも年明け早々落ち着かないニュースが続いてますが、ささやかでも毎日のなかに「笑門来福」を求めたいものですね。


 来福といえば、落語専門【来福レーベル】から、またまた創作話芸アソシエーションSWAの第2弾DVDが出ます! 毎回テーマを決めて、各自が創作した落語を披露しているSWAですが、2009年春の公演が「古典落語」のその後を創作した噺というお題。小さい会場だったために観られなかったファンからのリクエストで昨年10月に同内容で再演し、それを収録したものです。


 幕があくと、舞台の高座の上にはちゃぶ台が。向かいあって座っているのは、ワイシャツ姿の春風亭昇太(ネクタイ姿!)と柳家喬太郎。もうこれだけで場内大爆笑! これから登場する演者のことと、〈古典アフター〉な高座になるため、「ビフォー」となる古典落語の内容をざっと紹介していくんですが、おなじみ「落語研究会」パロディのやりとりがうまくておかしい。通常の落語会にはないこういう演出、ほんとにお上手です。


 トップバッターの三遊亭白鳥は、「大工調べ」のその後、になっていない「かわうそ島の花嫁さん」。2席目の喬太郎は、「本当は怖い松竹梅」で、あの軽い噺のその後が、どんどん人情噺のように。最後は「そっちですか!」な衝撃の結末です。落語で「そっち」はこれまでなかったのでは? 少なくとも古典では。ああびっくり。


 再び「SWA落語研究会」の解説を挟んで、3席目は、林家彦いちが「厩火事」のその後の「厩大火事」。トリは昇太で、十八番の「愛宕山」のラスト「よく戻ってきたね、一八さん」から始まる「本当は怖い愛宕山」で、お金を谷底に置いてきてしまった一八のその後を。取りに戻っちゃうのよね、やっぱり。


 最後の全員でのご挨拶まで収録されているので、SWAの会を始まりから終わりまで楽しめるのがありがたい。さらに、おまけ映像で(なかったことにできなくて残念でしたね、昇太さん)最後まで笑わせてくれますので、会に行かれたかたももう一度どうぞ。
 
SWAは、昨年渋谷に復活したプラネタリウムのある新施設、渋谷区文化セ
ンター大和田のさくらホールで今年お初の「SWAクリエイティブツアー」公演を予定していますが、次のお題はなんでしょう?


 そして、そのSWA6号の喬太郎も出演している映画「落語物語」がいよいよ3月公開です。林家しん平監督の落語映画です。怪獣は出てきません。落語を題材にした映画は、『しゃべれどもしゃべれども』や『落語娘』などがありましたが、今回は落語家自身が撮るということで、芸人さんや寄席なども全面協力!で、よりリアルな落語の世界が描かれています。ピエール瀧が演じる師匠と現役二つ目の柳家わさび演じるその弟子の師弟を中心に、もう2組の師弟の話が絡んで展開していくのですが、第2の親子の縁を結ぶかのような師弟という関係、そういう師弟が集まっている落語界の裏側をかいま見ることができる作品です。ピエール瀧が素晴らしいですし、わさびもまたなんともいい存在感で。師弟関係に加えて、おカミさんとのつながりも重要なんですが、田畑智子がピッタリはまってます。いろいろな場面に若手からベテランまで芸人さんたちが登場しているのも見所ですので、落語ファンならそこもお楽しみ。

40名以上出演していて、さてあなたは何人わかりましたか?状態ですが、みんな楽しんで演じている感じが伝わってきます。10年、20年後に観たら懐かしいでしょうね。いい記録の映画にもなってます。


DVD 『SWAのDVD -古典アフター-』
SWA(林家彦いち 三遊亭白鳥 春風亭昇太 柳家喬太郎)
[ソニー/来福MHBW304]

思い出し笑いライン


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