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第67回:思い出し笑い「笑点の焦点」(&ツルコ)


第67回:笑点の焦点

*intoxicate vol.122(2016年6月発行)掲載

 めでたく50周年を迎えた国民的人気番組『笑点』。このところ話題続きで、最高視聴率を更新するほど。司会を務めていた桂歌丸が勇退ということで、次の司会者はだれかが注目されていましたが、最新メンバーである春風亭昇太が指名されました! 若手大喜利でも司会を務めていたことがあったので、あの席に座る姿にあまり違和感がないかも。多くの予想がされていましたが、あそこに円楽が座るとまた雰囲気がぜんぜん違いますよね、ちょっとダークな感じ? 昇太さんの明るさが、番組の空気を軽やかにしてくれそう。それにしても、笑点の司会となれば、もう落語家としての将来は安泰ですね。このままいけば、落語芸術協会・副会長→会長→人間国宝!? 30年後の昇太80代まで全国民、見守りましょう! 結婚に関しても、もう落語ファンだけではなく、いまや全国的な関心事になっちゃってますから、おかみさんになる人は大注目ですよねー。


 そして、昇太の後の座布団に座る新出演者の発表があり、これがまさかのあの坊ちゃん! 日本が「えーー!」っていう声で揺れませんでした? 現在のメンバーが、落語協会から林家木久扇、林家たい平、落語芸術協会から三遊亭小遊三、春風亭昇太、円楽一門会から三遊亭好楽、三遊亭円楽で、関東の落語4団体のうち、落語立川流がいないので、初代司会者であり大喜利の生みの親でもある立川談志の一門からだれか入らないかなーと期待してたのですが…昇太と仲のいい立川志の輔とか、歌丸最後の出演のときに涙を拭いた手ぬぐいに名前が見えた立川談春とか。あるいは上方からもありかも、って楽しみにしていたらまさかの林家! 発表された翌日、高田文夫が『ラジオビバリー昼ズ』で「根岸のほうから風が吹く」って言ってましたが、まさに! 正蔵を入れて、座布団運びを泰葉にして、いっそ林家だけの大喜利にすれば、っていうのには笑いました。かなり若返った笑点ですが、いずれ木久扇の後に木久蔵が、好楽の後に王楽が、と“ぼっちゃん5”なラインナップになっていくのでしょうか。


 そして新メンバー発表の後には、さらに24時間テレビのマラソンランナーとしてたい平の発表も。師匠・こん平が待っていて涙のゴール! の光景が見えるよう。まだしばらくは 笑点への注目は続きそうですね。


 笑点・大喜利では水色の着物で下ネタ好きのご陽気おじさん、三遊亭小遊三。おしりをふく会長とかいってますが、落語芸術協会の副会長で、ナイツの師匠でもあります。4月に〈三遊亭小遊三シリーズ〉7作目となる最新DVDをリリース。落語の世界では常連の熊さん、八っつあんみたいな江戸っ子がそのまま座布団に座っているような高座で、江戸の人たちが見たら「いるいるうちの長屋にもこういう人!」って言いそうな小遊三さん。軽い滑稽噺を聴くなら、どなたにもおススメです! 今作は昨年12月の独演会の高座を収録。女お師匠さんとあわよくばなんとかなりたいという下心いっぱいでお稽古に通ってくる町内の男たちのバカバカしい騒動の《汲たて》、ケチな主人の下で働く使用人たちの悪だくみがおかしい《味噌蔵》で、ご本人も「右の耳で聞いて、左の耳へ流していただく」っておっしゃってますが、予備知識の必要なく、楽しく笑って聴いて、ああ面白かったって満足できる2席です。落語のCDやDVDって数多く出ていますが、買っても1度は聴くものの、
繰り返して何度も聴くことってあまりないのですが、小遊三さんの落語はまた聴きたくなるんですよね。


 笑点・大喜利の座布団に座る小遊三さんしか観たことないなんて、もったいない!ぜひ1度、小遊三落語を聴いてみてほしいです!


DVD『汲みたて/味噌蔵』
三遊亭小遊三
[ テイチクエンタテインメント TEBR36065]

思い出し笑いライン


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