お散歩日和

犬の散歩に行くと心がほっこりする。

なぜかというと、まずは彼(うちのワンコは男の子)が楽しそうにフンフン♪とご機嫌で歩く姿がとっても愛らしいからだ。そして、道行く人がそんな彼のことを見て優しい表情になったり笑顔になったり、思わず「カワイイ」と口にしたりするからだ。

彼という存在がたまたますれ違った人達に、オキシトシンとやらを分泌させているであろう、実はちょっとした奇跡のようなその光景が大好きだ。

特に小さな子供が目を輝かせて「ワンワン」とか「カワイイ」とか言いながら近づいて来てくれる時、動物&子供という(私の中では)この世で一番のカワイイ最強タッグが目の前で展開されるので、「うおおっ!めっちゃカワイイやん!!」と心の中で小躍りしながら、ひたすら幸せな気持ちになれる。

もちろん、犬が苦手そうな人と遭遇することもあるので、そんな時は意識的にその人となるべく距離を置いて歩くようにしている。

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先日、犬の散歩で2~4歳くらいの子供たちに出会った時のコトがとっても印象的なので、書き留めておきたいと思う。

お散歩も終盤に差し掛かり、マンションの玄関からそう離れていない所で、

「ワンワン」

そう言いながら2~3歳くらいの子が嬉しそうに駆け寄って来た。そして彼(うちの犬は小型犬)のことを、駆け寄って来た勢いとは対照的に、慎重にそうっととても優しく撫でてくれた。

臆病な彼は相手によって撫でられてもすぐにイヤがるのだけれど、その子には大人しく撫でられていて、その光景に例のごとく私は幸せ~な気持ちになった。

その子の優しそうなお母さんが

「ワンワンお散歩に行くからジャマしちゃだめだよー」

と声を掛けるも一向に離れる気配は無く、彼のモフモフをそーっと撫で続けていたが、知らない人に撫でられ続けて彼が少し困った素振りをしたので、

「撫でるの上手やねー。ありがとうね。お散歩に行くね」

とその子に声を掛けて歩くことにした。

離れた途端、もっと触りたいと眉間にシワを寄せて不機嫌になりつつ、ワンワン大好きっ子は私たちの後を追いかけて、歩きながら撫でようとした。

お母さんが

「ジャマせえへんよー」

とその子に声を掛けるものの後を追い続けるので、そのコトを見かねたのか同い年くらいの子が、「邪魔するんじゃない!」と言わんばかりに追いかけようとする子の体を捕まえて止めようとしてくれた。

すると、捕まえられた子は振り向きざまに「余計なコトすんなー!」と言わんばかりに止めに入った子に右腕を振り上げて一発ボカッ、さらに左腕も振り上げてボカッと叩いた。その迫力に気圧されながらも止めに入ってくれた子も応戦。お母さんはうろたえることなく慣れたように仲裁。

つい先ほどまで、「ワンワン」と言って優しく撫でてくれていた子供とは同一人物とは思えないような姿に、俗に魔の2歳児と言われるあらくたい側面と(「荒っぽい」よりも「あらくたい」という方言がしっくり来た)同時に内在する動物(犬)への並々ならぬ愛情深さ、また止めようとしてくれた子の良心に、人間の悲喜こもごも小劇場的なモノを感じた。

そのゴタゴタ(?)の間に私たちが歩いて離れて行ってるので、その事に気づいたワンワン大好きっ子がすかさず追いかけて来た。さらにワンワン大好きっ子のことを止めに入った子が追いかけて、いつの間にか幼稚園の制服を着たお兄ちゃんらしき子も加わり、3人の子供たちにトタトタと追いかけられて、私(ではなく正確にはうちの犬なんだけれど)はちょっとした引率状態になった。

そんなに離れていなかったのですぐにマンションの玄関に着き、彼を抱っこするために止まると、私たちを追いかけていた3人の子供たちに囲まれた。人間にあまり興味が無い彼は若干メイワクそうだったが、もちろん私は満面の笑みだ。

幼稚園の制服を着たお兄ちゃんが彼の隣に陣取り、止めに入ってくれた子は頭側に、ワンワン大好きっ子は尻尾側で待機となった。

幼稚園の制服を着たお兄ちゃんが

「(犬の毛の色が)白と黒と茶色やー。カラフルやなー」

と言いながら、そーっと優しく彼のコトを撫でてくれた。

白、黒、茶というセピア的な3色展開をカラフルと表現する自由な感性に、私はなんだかとっても愉快で嬉しい気持ちになり声を出して笑った。

すると止めに入ってくれた子が、彼の頭を見下ろしながら

「犬って頭撫でると噛まれるねんでー」

と犬と接するうえでとても大切な知識を披露して、それはそれは慎重に少しだけ彼のコトを撫でてくれた。

尻尾側で待機していたワンワン大好きっ子も彼のコトを撫でてくれたので、私は彼を抱き上げて家に帰ることにした。心の中を言葉では表せないような温かいモノで満たされながら。

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