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「Winny」事件を改めて振り返る映画『Winny』の存在意義とは!?

今回はkayserが担当します。

2023年3月、話題の映画『Winny』が公開されました。約20年前に開発されたデータのやりとりが簡単にできるコンピューターソフト「Winny」。その開発者・金子勇が、このソフトを2ちゃんねるに無料公開したため、多くの違法アップロードする者が続出。社会問題となりました。

金子氏はそんな彼らの著作権法違反ほう助をしたとして逮捕。金子氏のプログラム開発を罪に問おうとする警察との裁判の攻防を描いた作品です。    

筆者はこの事件、当時あまり注目しておらず、お恥ずかしながらよく覚えていませんでした。今回、映画化されたことで改めて全容を知り、如何ともし難い気持に。今回は、そんな映画『Winny』を紹介します。

映画『Winny』とは

この『Winny』という映画は、映画製作者が企画した作品ではありません。企画者は、実業家の古橋智史。人に誘われて、映画祭の企画コンペに参加したところ優勝したのがきっかけとのこと。

しかしながら、コンピューターソフトとしての「Winny」により、映画やゲームが違法ダウンロードされていたこともあり、この企画に関して映画業界では、ネガティブに捉えられていたといいます。そのため、当初は、あくまでフィクション性の強い作品だったところ、今回の監督を務めた松本優作が参加したことで、ノンフィクションとして描く方向へとシフトしていきました。

このことが、本作の成功への第一歩に繋がったことは間違いないでしょう。実話を描くということは、非常に難しいものです。

実在する人や事実を映画という枠でいかに表現していくか。描き方によっては、誰かを傷つけてしまうこともあるかもしれません。一方で、誰かを救うこともできる可能性を秘めています。

いずれにしろ、はっきりしていることは、本作を企画した人たちは、チャレンジャーであるということ。20年以上経過した事件ということもあり、ノンフィクションへと踏み切った彼らの勇姿が作品に反映されています。

作品の魅力①:俳優陣

今回の作品でまず魅力はといえば、主人公・金子勇を演じた東出昌大と彼の弁護を担当した壇俊光を演じた三浦貴大の好演が上がられます。2人とも実在する人物だからこそ、演じる上での難しさもあったことでしょう。

特に東出に関しては、金子を演じるために体重を15㎏増量したとのこと。もともと東出が持っている妖しさは残しつつも、これまでよりもソフトな印象を受けます。

それは、金子勇という人物の人柄をより表現しているようです。とにかく愛される人だったというキャラクター作りに生かされています。

また、弁護士のを演じた三浦貴大は、実物のから金子氏がどんな人物だったかという話を聞きながら演じたといいます。その中で、壇本人がどんな思いで弁護に臨んでいたのかがわかるよう、本人の喋り方など実物のディティールを観察しながら演じたようです。

ほかにも実力派の俳優陣が一堂に介した本作。それぞれがそれぞれの役どころを見事に演じきっている作品です。その競演も存分に楽しめます。

作品の魅力②:裁判シーン

本作では裁判シーンというのが非常に重要な要素となっています。ノンフィクションである本作にとっての裁判シーンは実際にあった裁判をもとに描かれています。撮影にあたり、裁判記録をもとにした模擬裁判が行われたという点についても興味深いものがあります。

実際の裁判を再現することで、役作りやカット割りに生かされているとのこと。裁判を傍聴しただけではわからない詳細などを把握しながら裁判シーンを観ることができます。非常に精度の高い裁判シーンとなっています。

まとめ

企画が立ち上がり、映画化するまでに何年もかかってしまう作品は多々あります。映画『Winny』も企画が初めて人の目に触れてから、実に5年の月日が経過し、ついに2023年公開までこぎつけることができました。

この「Winny」事件が映画化されることで、事件を風化させないというだけでなく、この事件を知らない若い世代の人たちにも知ってもらうという意義があります。若い技術者や開発者のためにも、二度と起こしてはいけない事件です。多くに人たちに観てもらえることを願って。

kayser


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