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【10月28日~3日間限定公開】オムニバス映画『ホテル ローズガーデン』大迫一平さん、今村美乃さん、大朏岳優さんインタビュー

東京、新宿。都会の喧騒から少し離れた、ある一角に位置する「ホテル ローズガーデン新宿」。実際に存在するこのホテルを舞台に、そこで繰り広げられる人間模様を描いた4つの物語から成るオムニバス映画が誕生しました。その名もオムニバス映画ホテル ローズガーデン』

左:大朏岳優さん 中央:今村美乃さん 右:大迫一平さん

2022年10月28日から3日間の期間限定公開が決定しました。その公開を記念して、監督兼キャストの大迫一平さん、今村美乃さんとタケ役の大朏岳優さんにインタビューを敢行。ふだんから仲のよいお三方に、作品の魅力や撮影の裏話などkayserが聞いてきました。

*まずは今回の企画の成り立ちを教えてください。

今村 もともと私とぺーさん(大迫一平さん。以下、ぺーさん)が所属している事務所で、(今回の総監督の)伊東淳監督の脚本・監督作品に2人で出させていただいてました。コロナ禍になって「アートにエールを」という助成金で初めてチームで短い作品を作ったのをきっかけに、今度は長編を撮りましょうと。伊東淳さんのお知り合いの方が「ホテルローズガーデン」のオーナーさんで、そこを貸していただけるということになったので、また助成金を申請してローズガーデンを使ったオムニバス映画を撮ろうということになったんです。作品を書きたい人たちが挙手制で。結果、私とぺーさんと伊東淳さんと本田さん(マネージャー)が脚本を書いて作品を作りたい有志が集まって始めました。

*大迫さん、今村さんは今回の作品では監督をやられていますが、それぞれの作品の発想はどんなところからきていますか。

今村 私の作品は、ホテルローズガーデン新宿のレストランが舞台となっているんですけど、そのレストランで私の幼なじみが結婚式を挙げ、そこに参列した経験があって。お仕事の都合でお父様が途中で退席されたんですね。お父さんがいない結婚式を娘がどう感じるのかなあと考えたことがあって。幼なじみ自体は全然平気だったんですけど、そこに何か膨みを持たせたいなと思いました。そのレストランがフレンチイタリアンのお料理なんですけれど、フランスとイタリアを混ぜ合わせたようなエキスがほしいなと思って。調べたら「ナポリのそよ風」という曲があったんです。フランスから吹いてくる風を感じてナポリの人が演奏しているという成り立ちの曲だそうで、その曲の雰囲気に合わせて脚本を書きました。あと、螢 雪次朗さんが大好きだったので出ていただきたいと思って、オファーさせていただきました。螢さんを中心にキャスティングして、柔らかい雰囲気を持っている方々にお願いしました。

『ナポリのそよかぜ』

大迫 挙手制というので、やるんだったらやりたいなと。15分の短編でという約束があったのに、アイデアとアイデンティティが溢れ出過ぎまして、すごく長いのを書いていってしまいました。1時間15分くらいの長編。短くしないといけないと怒られまして、マネージャーが手伝ってくれて短くしました。その時の思いも脚本に反映させてます。三谷幸喜さんが現場であった裏側を作品にした『ラヂオの時間』などを参考にしていて。(ラヂオの時間は)『振り返れば奴がいる』でいろんなことを言われたのをモチーフに作られていて、今回の『全然、青い。』もそんな感じで考えてみました。
最初にホテルを使えるとわかった時に、野村たかしさんの家族がホテルで一家心中する話っていうところからしか初めは思いつかなくて。この話をどうやってまとめようかなと思った時に、家族、ホテルのスタッフたちの話、プロポーズをする若いカップル、というこの3つの話の軸を混ぜていけばうまくいくかなと。

『全然、青い。』
『全然、青い。』
『全然、青い。』

*完成尺の決まりや短い時間で作り上げるなどいろいろ制約があったなかで、こだわった点はありますか。

大迫 時間がない中でも妥協はしたくないなというのはあって。舞台で演出とかはやっていたので、シーンによってはワンカットでいけるんじゃないかと思うんですけど、そうすると平べったい画になって。カット割りは何度も考えたんですけど、それでもつながらなかったりとか。撮影前に作った割り本は甘かったなというのはあります。
(割り本:撮影日ごとにシーンを抜粋したもの)

今村 本読みができないと聞いていて。特に螢さんがお忙しいと。なので、お1人お1人にお手紙を書いて、この作品はこういうことですと。恥ずかしいけど、私の家族の成り立ちとか、こういう風に感じて、こういう方向性で本を読んでくださいみたいな感じで、事前にお伝えさせていただきました。螢さんとはお電話で何度かお話させていただきまして。ここでこういうナレーション入れたらいいんじゃないか、こういう風に変えたらいいんじゃないかとアドバイスをいただきました。本番直前しか、みなさんに会えなかったんですけど、そこでみんなで一緒にお菓子を食べて、なるべくリアルに家族に見えるようにこだわりました。

『ナポリのそよかぜ』

*今回、お2人は監督だけなくキャストとしてもご出演されていますが、その辺大変だったのでは。

大迫 いつもガチガチで入っちゃうところが、気心知れた仲間内なので逆にま、いいかというような感じで、それはいい経験でしたね。楽しめたというか。

『ホテル  ローズガーデン』

今村 ぺーさんとも話したのですが、通常現場では役者として「ここまでやっていいのかな」というマックスがあって......。今回の作品では、仲間が監督をやってくれたりしているので、どこまでもチャレンジできるというか。役者としてもいい経験でした。

*自分の立ち位置が変わると、演技に対する考え方も変わるのかもしれませんね。

大迫 変な緊張がなかったよね。それがいいのかどうかわからないけど。仲間だから。知らない人とやった時の面倒くさい人とか思われるかなという心配がなくて。

今村 自分が監督をやると、「役者の仕事してね」と役者さんに対してすごく思ったので、自分が俳優部として現場に入ったときは、思い切って役者の仕事しよ、みたいな思い切りが生まれましたね。

大迫 あと、何を狙っているのかというのがわかりやすくなったり、このカットは何を狙っているのかなとか。じゃあそれをどうやったらフィーチャーできるのだろう?監督として作品に関わったことは、役者としても成長した部分だと思います。

*4つの物語をつなぐ『ホテル ローズガーデン』のシーンや大迫監督作の中で、大朏さんはどういう役作りをされましたか。

大朏 僕は大迫さんと美乃さんと一緒にお芝居をするというのが初めてだったので、すごく新鮮で楽しくて。いつもわいわい話しているのとは違って、現場でお2人と一緒というのがいい経験だったなと思います。だから、役作りは特にしてなくてお二人との関係性がそのまま映画に反映されてると思っていました。 

 大迫 気心は知れているので、これをやったらこれをやってくれるだろうという出し合いが楽しかったよね。

今村『ホテル ローズガーデン』のシーンにはキーワードがあって。たとえば、「パンドラの匣」は、開けちゃいけない大事なものとか。そのキーワードに続き本編が始まるという複線があったのでそのあたりの事も3人で話し合っていました。

『ホテル ローズガーデン』

 *完成した作品を観て、全体の感想はいかがでしたか。

今村 4LDKのマンションのリビングに自分がいて、いろんな部屋を開けるとそれぞれに違う作品があって。家で観ている感覚。それはアットホームな感じが出ているからだと。すごく親密な空気感というのを作品全体に感じていて、全部違う作品なのに、どこか温かみが一緒っていう。キャストが一緒ということだけでなく、事務所でみんなすごく濃密に人間関係を作っているという特徴が凄く出ている私たちにしか作れない作品だなと思いました。

『ナポリのそよかぜ』

大迫 ホテルのオムニバスいうことで、いろいろな場所で撮影することができて、レストランだったり、中庭の喫茶店だったり、部屋だったり、非常階段まで。いろいろ挑戦できたので、面白くできたんじゃないかなと思いますね。それぞれの色が違うし、飽きないんじゃないかと。

『全然、青い。』

大朏 ずっと現場にいて、裏方もやって。事務所みんなでひとつのものを作ることに関われたっていうことはよかったなと思います。事務所のみなさんで作ったことがいい経験になったし、こういう作品に携わることが好きな人が集まっているんだなと肌で感じた。全員から一生懸命いい作品を作ろうというのがみえて僕も楽しみながら頑張れた。オムニバスでそれぞれ違う色だと思うので、ぜひそれぞれ楽しんでほしいと思います。

*最後にそれぞれメッセージをお願いします。

大朏 舞台挨拶もあるので、ぜひ映画館に足を運んでいただけると嬉しいです。僕は『ホテルローズガーデン』『全然、青い。』『SCOOOP』の3作品に出ているので、それぞれの作品を楽しんでいただけると思います。

今村 手作り感がMAXだと思うので、何かしら私たちが動きたいと思った気持ちとか情熱とか、そういったことは絶対に伝わるかと思います。みなさんも躊躇していることがあったり、停滞してたりすることがあっても、私たちの映画が少しずつでも動くきっかけになってくれれば嬉しく思います。

大迫 映画館で流れる作品が作れるなんて思ってもみなくて。やってみたらすごく大変だったのと裏方もやって、ふだんのスタッフさんの気持ちだったり、苦労がわかっていい機会でした。精一杯、最大限やりきったので、温かい気持ちで観ていただけたらと思います。

オムニバス映画『ホテル ローズガーデン』

インタビュー中、3人とも和気あいあいとした雰囲気に。きっと映画の撮影中もこんな雰囲気だったのかなと感じました。本当に仲のよいお三方。役者としての信頼感も厚く、スクリーン上でも伝わってきます。

素敵なホテルに集まった、優しく温かい人たちの物語がオムニバス映画『ホテル ローズガーデン』。珠玉のひとときを味わえる作品です。

10月28日からの3日間限定の公開中は毎回ゲストが登場します。詳しくは公式ホームページをご確認ください。

『ホテル ローズガーデン』(73分/日本/2022年)
公開:2022年10月28日~3日間
配給:CESエンタテインメント
劇場:池袋HUMAXシネマズ
監督:本田史緒/今村美乃/大迫一平/伊東淳
脚本:本田史緒/今村美乃/大迫一平・福山絢子/伊東淳
音楽:木村淳一
出演:大迫一平/今村美乃/大朏岳優/麗良/道川内蒼/南雲るみな/倉田莉羽/岡部渚/イマハシミハル/金子なな子/大津慎伍/大畑優衣/片桐伸直/森麻里百/凛音/喜多貴幸/松尾明/大石理枝/阿部祐希/今井蘭/斉藤至大/烏森まど/佐々木修二/和泉宗兵/片桐はづき/野村たかし/宮本大誠/寺田農/螢 雪次朗
Official Website: https://ceseternalsun.wixsite.com/rosegarden 
©2022映画『ホテル ローズガーデン』


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