ギニア女子の素敵な風習。
「綺麗ですね、あなたのことが大好き」
突然、見知らぬ誰かからこんなふうに言われたら、あなたならどんなリアクションをしますか?
前回は、プチ鬱だったわたしが、物乞いの少年の優しさにこころ救われた話を書きました。
今回は、その数日前に起きたある出来事についてのお話です。
メガホンから響く薬売りのおばちゃんの声やらバナナ売りのお姉さんの呼び込みの声やらニワトリの鳴き声、あらゆる声が飛び交うローカルマルシェ。
「マダム、あなたはとても綺麗ね、あなたのことが大好き!」
買ったばかりの卵をお店のお兄ちゃんから受け取ろうとした瞬間、斜め後ろから女の子の声が聞こえてきた。
綺麗なマダム?こんなところにどんな綺麗なマダムがいるのかしら?
なんて思いながら、歩き出したわたしの目の前に、10歳くらいの女の子とその妹らしき女の子が立っていた。
「マダム、その服も素敵ね」
うわお、なんと「マダム」とはわたしのことらしい。
いやいや、わたし全然おしゃれして来てないし、髪の毛はただ引っ詰めたお団子だし、マツエクだって全部取れちゃって、おばさん通り越してもうおじさんみたいだし、マダムというよりムッシューだよ。
この子ったら、、お金目当てかしら? 間違いない。
前回の記事に書いた通り、たいして困ってもいないのに、しつこくクレクレしてくるクレクレ星人に疲れ果て、わたしはプチ鬱になっていた。
こんな小さな子どもが、おじさん化したマダムを誉め殺ししてまでお金をもらおうとするの?
いつお金をちょうだいと言われるのか。
でも、その子はそのままなにも言わず、わたしを見ていた。
わたしはなんとも言えない気持ちになって、逃げるようにその場を去った。
八百屋のおばちゃんの店で、丸くて赤い唐辛子を買うか、細長いグリーンの唐辛子を買うかボーッと悩んでいた。すると、横の方からなんとなーく見られてるかも、、な感じがした。
なんとまたあの女の子たちがわたしを見つめている。どうやらわたしの後を付いてきたらしい。
「マダム、お姉ちゃんはね、あなたのことが好きなの。」と妹らしき女の子が言った。お姉ちゃんはちょっと恥ずかしそうにしている。
ひーっ!どした?一体なにが目的なの?お金をあげればいいの?
わたしが戸惑って、八百屋のおばちゃんに視線を移した瞬間、その子たちはパタパタと走っていなくなった。
え?なになに?お金じゃなかったの?
その瞬間、わたしはずっと忘れていたあれを思い出してハッとした。
aimer (エメ)だ。
彼女は、お金目当てじゃなくて、わたしに好意を寄せてくれただけ、aimer になりたかっただけ。
ギニアでは、女子がじぶん好みのイケてる女子を見かけたら、すぐ駆け寄って、「わたしの aimer エメ になって!」と告白をする。
それは、わたしはあなたのファンなの。わたしの仲良しになって!というような意味。だからと言って、恋愛感情があるわけではないし、今後会って一緒に何かをするわけではない。
ただ、その時に、自分の気持ちを相手に伝えるだけのこと。
このわたしだって、今まで沢山の女子からその言葉を言われてきた。
そして、わたしはその aimer の風習が大好きだった。(女同士だからこそ、なかなか嬉しいものです。)
プチ鬱と、自己肯定感が下がりまくりだったわたしは、そんなことも忘れていた。せっかく彼女が勇気を出して話しかけてくれたのに、その気持ちを素直に受け取れなかった。
しかも、お金目当て?なんて考えてしまった。お金目当てだったとしても、そこまでその子が困っていただけ。何が悪かったの?
そこでやっと、いつの間にか、わたしはいつものわたしでなくなっていたことに、気がついた。
なんて意地悪だったんだろう。それからは、お料理していても、食べていも、寝ていても情けない気持ちは強まるばかり。
娘を見てると、あの女の子の声がよみがえってますます罪悪感が増してきて、辛かった。
でも、それと同時に、このわたしが「綺麗ね大好き!」なんて言ってもらえたことがとても嬉しくて、プチ鬱の心にポッと火が灯った。(娘だけはいつも言ってくれるけれど)
これが世界一意地悪だったおばさんの話。
この一件から、前回の少年の話に繋がっていくわけです。
とにかくギニアでの日々は、学びでいっぱい。どれだけひとを信じられるか?どれだけ先入観を持って物事を捉えないようにできるか?修行中です。
でも、どんなことがあっても、やっぱりわたしはひとを信じたいと思うし、ギニアの人たちの人間味のあるところが好きなのだと思う。
最後に・・
誰かに褒められたら、素直に「ありがとう」と言っていますか?
もし言えてなかったら、今度は胸を張って「ありがとうと言ってみませんか?
だって褒めてくれたひとも、その言葉を受け止めてもらえたら嬉しいから。
それに、「ありがとう」と言えたあとって結構気分が良いものですよ。
そして、誰かの素敵なところを見つけたら、速攻褒めてあげてください。
もしかしたら、褒められた人は、あの時のわたしみたいにその言葉を信じないかもしれない。でも、言ってあげて欲しいのです。
きっと、なーんか心があったかくなりますよ。
これを書いているうちに、ギニアの「aimer」の習慣が、日本にも広まったとしたら
電車の中やコンビニで、「あなたって素敵!仲良しになってくれる?」とかいきなり言われて
みんながちょっとハッピーな気分になれるね・・なんて想像してしまいました。
🤍 最後までお読みくださりありがとうございました🤍
この note を通して、これから世界中の方達と繋がっていけたら嬉しいです。
ぜひ、わたしの aimer になってください。
コメントもいただけたらまたまた嬉しいです。よろしくお願いいたします。
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