ほしかわひろよし

作品評論や随筆、エッセイ等をのんびり書いていきます。

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最近の記事

エッセイ:涙目で語るマスキュリズム

おはようございます。 今回はいま流行りの「ジェンダー」について書いていきます。 まず、このテーマを論じるうえで、ぼくの立場をはっきりさせておこうと思います。ぼくは、男性かつ異性愛者であり、二十代前半までは「ジェンダー」や「性」についてとくに関心がありませんでした(たまに同性に性的魅力を感じないこともないですが)。大人になってからの恋愛遍歴としては、19歳から26歳まではつねにお付き合いしていた相手がいて、人数は二人です。いまは、彼女いない歴、約一年半の28歳です。 さて

    • 大江健三郎『セブンティーン』(1961)

       若き日の大江健三郎が上梓した問題作『セブンティーン』について考えを深めていきます。  当時1959年から1960年にかけて安保闘争が激化し、日本社会が混迷を極めた時代を背景にした短編小説です。 あらすじ  17歳の誕生日を迎えた「おれ」は、過剰な自意識を抱え、常日頃他人の目に怯えながら生きている。人生のすべてがオルガズムであったら……そんな夢想を抱いて自瀆に耽けることが唯一の慰めだった。「おれ」は左翼的な立場として、孤独に政治思想を深めていくが、それさえも自衛隊の看護婦

      • 小川洋子『密やかな結晶』(1994)

         小川洋子の代表作『密やかな結晶』についていろいろとお話しさせていただきます。 あらすじ 『アンネの日記』に強く影響を受け 1994年に刊行された『密やかな結晶』は、2019年に英訳『The Memory Police』として米国で出版され、瞬く間に英ブッカー賞国際部門にノミネートされました。  本作は現実と虚構の隙間のような寓話的な島を舞台に物語が展開されます。地理も年代もあきらかにはなりません。脇役に乾という名前の一家が登場することから、かろうじて日本のどこかではな

      エッセイ:涙目で語るマスキュリズム