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【投資初心者におすすめ】投資マンガ『インベスターZ』から学ぶこと

こんにちは。
都内でひっそりと生きる専業主夫です。

皆さんは、『インベスターZ』というマンガはご存じでしょうか?


実際の私物です。


著者は三田紀房氏で、東大受験を描いた『ドラゴン桜』は阿部寛主演、他にも若かりし頃の山ピーやガッキーといった豪華俳優女優が高校生役で出演し、話題騒然となりました。


今回ご紹介する『インベスターZ』は、投資をテーマにした作品です。今こそ新NISAなどで投資が浸透してきましたが、このマンガの連載が開始されたのは今から10年以上前の2013年でした。


投資について主人公の目線で学ぶことができ、投資の歴史や心構え、著名な投資家や経営者の数々の格言も紹介されている、投資初心者におすすめのマンガとなっています。


ただ、ここ最近の投資ブームも相まって、この記事の執筆時点では古本屋でも在庫がなかったり、フリマアプリでも高額出品されているため、入手が困難です。


そこで、この記事では『インベスターZ』で登場する、実際の投資でも活かせる格言や心構えを、実際に主夫投資家の筆者がかいつまんでご紹介できればと思います。


マンガの紹介に入る前に、連載当時から今までに起こったことを日経平均株価の推移とともに簡単に振り返ってみたいと思います。



1.激動の平成後半から令和へ


出所:NHK


2011年、東北地方を震源地とした東日本大震災が起こり日本中が絶望に打ちひしがれる中、民主党から自民党への政権交代、そして2012年末に第二次安倍政権が発足しました。


『アベノミクス3本の矢』と呼ばれる金融緩和・財政出動・成長戦略への期待によって、日経平均株価は1万円の大台を超え、黒田日銀総裁の異次元の量的・質的金融緩和(黒田バズーカ)により、上昇相場が続きました。

インベスターZも、そのような上昇相場を背景に連載を開始しました。


その後、2019年末に中国武漢で新型コロナウィルスによるパンデミック(感染爆発)が起きると、外出やイベントが自粛となりました。そして、アメリカのNYダウの急落に呼応するように世界中の株価が大暴落。日経平均株価も3割ほど暴落し、これは通称コロナショックと言われています。


そしてコロナ禍の2020年には東京オリンピックが開催され、2022年には安部元総理が演説中に銃殺され世界中に激震が走ったことは記憶に新しいですが、その後も上昇相場は継続し、今年に入りついに日経平均株価はバブル時代の最高値を超えて4万円台に突入しているといった状況です。


2.マンガのあらすじ


財前孝史は全国屈指の名門中高一貫男子校である道塾学園の中等部トップで合格するが、始業初日に先輩に連れられて学園の地下へと案内される。そこは学園トップの成績の生徒のみで構成される投資部の部室であり、そこで孝史は6人目のメンバーとして勧誘を受ける。

出所:Wikipedia


ユニークな始まり方ですよね。実際に大学などには投資サークルというものも存在するので、それが着想のヒントになっていると思われます。


主人公の財前君はまだ中学1年生ですが、投資部の先輩から株式投資、FX、不動産投資を学ぶことになります。


今回の記事でご紹介するのは、最もポピュラーな投資である『株式投資』についてです。


3.実際の投資で活かせる格言や心構え


全巻を読んだ結果、後半のFXや不動産投資、その他ストーリー上の話を割愛すると、株式投資に活かせる格言や心構えなどは2巻、3巻、7巻、8巻が中心となっていました。

その中から、私が特に投資初心者に役立つと感じたものを抜粋して取り上げたいと思います。


2巻より


・株は法則でやれ。一切の感情を捨てること。初心者は利食い10%、損切り5%を目安にする。

・プロスペクト理論
→損は「し始めた時」よりも、「より酷くなる時」の方が苦痛は少ない。

・投資家になる最も重要な資質は「損切りができるかどうか」「過去は忘れること」。損切りは決して失敗ではなく、次の成功のためのチャンス。

・現金のまま持っていると、投資のチャンスを逃していることになる。

・人間欲を持ったら努力するしかない。
 勉強しろ。

・「株は入り口にあらず出口にあり」
→買うことより売ることの方が大事。しかし、多くの人(特に初心者)は上がることを心待ちにしているのみ。

・株に限らず物事には出口戦略が必要。

・投資に一番大切なことは未来を予測する力。過去の必勝法は役に立たない。

・投資とはいかにミスをしないか。長く市場に生き残れるかどうかが大切。

・成功するためには体力が必要。何か事を成す人間は総じてタフである。そのためには定期的に運動し、健康に配慮することで基礎体力をつけておくこと。

・若者は夢中になれるものにしか興味が持てない。楽しくなければ続けられない。それにはリスクが大きくても、多くのリターンが見込めるエキサイティングな投資が適している。

・投資は冷蔵庫と思え。一般の家庭の冷蔵庫は食材で一杯だ。それにも関わらず、大抵の人は在庫を忘れて冷蔵庫がギチギチでも食材を買いすぎてしまい、腐らせてしまう。
 投資もこれと似たようなところがある。保有している株の管理ができていないのに、ついまた買ってしまい、そうすると現在の自分の投資状況が分からなくなってしまう。
 投資家は美味しくて繁盛するレストランのシェフにならないといけない。繁盛しているレストランほど冷蔵庫は綺麗である。優秀なシェフは毎日の食材の在庫管理が上手い。つまり、そもそも仕入れが上手い。食材が常に新鮮で、メニューも偏りがなく飽きが来ない。

・投資はレストランの経営と考えるべし。何よりもまず下ごしらえが大事である。開店前に冷蔵庫の中身を頭に入れて、無駄なく料理として出すこと。投資も同じで、マーケットが開く前に保有する株のポジションを整理しておくこと。

・自分の頭の中と現実の状況が違うとどんなに論理的であっても意味がない。自分の想定したシナリオ通りに事が進んだ時、儲かるように準備しておく必要がある。

・ゴールドラッシュで一番儲けたのは、スコップやツルハシを売った人。寝泊まりする宿や、酒や博打を提供した酒場の主人。最終的には大量の人員と物資を運ぶために鉄道を敷いた実業家が大儲けした。金持ちとは社会のブームを利用して稼ぐ人のこと。金が出たからと言って、大勢の人の後にくっついて金を掘った人に金持ちはいない。

出所:『インベスターZ』2巻より抜粋(著者:三田紀房氏)

3巻より

・投資家として一流になりたいのなら、自分の中で価値のある物以外にお金を払うべきではない。高級時計を始めとしてブランド品は、素材は最高で品質が良いことは疑いない。しかし一方で、超一等地区に店を構え、有名な俳優やスポーツ選手に高額なギャラを払って宣伝している。つまり顧客は品物の価格に、地代や有名人の広告費が含まれている。

・囚われない
 →株の取引に囚われ心を奪われてはいけない。日常生活をきちんと送ること。

・侮らない
 →少し儲かったからと言って調子に乗ってはいけない。常に謙虚で慎重でいること。

・恨まない
 →何があっても全て自己責任。人のせいにしたり、社会を恨んだりしないこと。

・投資とはリスクを取ってリターンを取ること。勝負どころで大きな賭けに出られるか否か。(暴落を恐れると投資機会を失う。時には特定のセクターや会社に集中投資することも必要)

・「分散投資は無知に対するリスクヘッジである。分散投資は、企業研究や情報収集をしない投資家の無知で安易な投資行動である」
 裏を返せば、「自分に確固たる信念を持てるまで徹底的に企業をリサーチせよ」ということ。

・生まれて初めて株を買うなら長期保有する株を買うべき。

・企業が起こす革命には「動」と「静」の二つの種類がある。 
→「動」とは驚き。世界が驚嘆する画期的な製品を発売すること。革命的商品はあっという間に大ヒットし市場を席巻するが、技術をキャッチアップされると他社との激しい競争にさらされ、企業生命は意外と短命で終わることもある。
→「静」とは静寂。世の中を騒がせることはない。静かに日常に溶け込み世界を変える。真に優秀な企業とは、静かに社会を動かす。派手な話題は発信しないが、顧客の立場になって細かい改善を行い、業績を伸ばし堅実に成長し続ける。

・株の投資を始めるとき、大事なことは10万円の資金を減らさないこと。それには長期的に見て穏やかに上昇しやすい株が最適。値動きに一喜一憂するストレスを感じなくて済むため。

・昔の日本人は個人の判断でリスクを取って社会生活を営んでいたが、現代の日本人は国に判断を委ねた生活を送っている。「将来は不安でしょ」と脅かされて、お金を銀行に預ける。溜まった資金は国債購入に回され、無駄な事業にジャブジャブ注ぎ込まれているとも知らずに。
 もちろん、インフラが破壊された終戦直後ならこれもやむを得ない。しかし、国土全体の基盤はほぼ整備された。国が主導して一手に資金を集め、全国にばらまく時代は終わった これからは個人が有望な企業見つけて直接資金を投入する時代。「企業を育てる」「優秀な企業が沢山増える」方が国は発展する(アメリカのように)。

・年配者からは国が施した貯金の刷り込みを剥ぎ取ることはできない。時、既に遅し。しかし若者ならまだ間に合う。

・みんなが既に評価してしまっている株を買っても意味がない。なぜなら市場の評価がはっきりしていて、流動性も高い株は割安ではないから。一般的な評価が現実より低く見積もられている株(PBR1倍割れが目安になる)を正当に評価すること。

出所:『インベスターZ』3巻より抜粋(著者:三田紀房氏)


7巻より

・失敗とは同じ過ちを繰り返すこと。はじめてチャレンジしたことで良い結果が出ないのは当たり前。投資を行うことで大事なのは、損を失敗としてカウントし続けないこと。

・失敗を自分の中にため込むとどんどんマイナス思考になっていく。すると臆病で消極的になり、負のオーラを発するようになる。そんな人に運は向いてこない。投資家なら図太い精神を持て。

・最初は自分の考えなどいらない。必要なことは型にはまること。成功は全て型によりもたらされる自分の中に何の基準もなかったら、軸がブレていつまでも方向が定まらず迷走してしまう。きちんと進むためにはまず先人の知恵に学ぶ。成功の型を吸収する。型が定まっていれば成長は早い。成長すれば個性はあとから勝手についてくる。
 学問の世界には「巨人の肩に乗る」という格言がある。いくら天才といえども、いきなり革新的なアイデアなどは出せない。先行研究や先人の教えを土台として学んでから自分の個性として発揮することが成功の鍵になる。

・自分に課したルールを守れるかどうか。バフェットは「やると決めたことはやる」というルールを課している。一度決めたことは絶対に途中で辞めず、最後までやり通す。なんだかんだ言って人間は自分に甘い。これをやろうと思っても色々言い訳をして例外を作って、三日坊主で終わらせてしまう。何一つ得られないことは分かっているのに、たった1つのことも継続できない。結局みんなうやむやに終わらせてしまう。
 バフェットのような巨人になる人は、やると決めたことを最後までやり抜く心の強さと忍耐力を持っている。

・「良い銘柄を見つけ、良いタイミングで買い、良い会社である限りそれを持ち続ければ良い」
 バフェットはそのルールを貫き通し、どんなに暴落しようと決して所有株を手放さず、長期的に持ち続けることで危機を乗り切り、資産を増やし続けた。

・「並外れたことをしなくても、並外れた業績を達成することはできる」

・世間の評判や他人の意見に左右されない。
(おすすめ株や人気株に騙されない)

・明確に結論を出して相手にちゃんと伝える。
(強い意志を持った自分になれる)

・自分の心は自分で制御する。
(投資はメンタルコントロールが大事)

・損した後にそれを取り返そうとして頑張ると、余計空回りして悪い結果になりやすい。

・投資を行う者として、感情を表に出して理性を失った行動をすることは厳禁。

出所:『インベスターZ』7巻より抜粋(著者:三田紀房氏)

8巻より

・第二次世界大戦中、市場は普通に開いており株価も上昇した。東京が空爆で焼き尽くされても株取引は行われており、厳密には長崎に原爆が投下される昭和20年8月9日まで市場は開いていた。
 戦時中は、国が統制経済を敷き民間企業の活動は全て停止していたと思うかもしれないが、実際には民間企業は普通に事業を行っていた。しかし戦時中、軍需という観点から業種によって状況は異なっていた。
 例えば、商業やサービス業など、軍需とは直接結びつかない業種は縮小を余儀なくされた。商業の労働者人口は昭和15年から4年間で4割減。他には消費財産業も大きな打撃を受け、昭和18年の法律によって機械設備はスクラップ化されて兵器や弾薬になり、工場は軍需産業に組み込まれた。
 一方で鉄鋼や造船といった軍需産業は大いに活況を呈した。全体の株価を支えたのは軍需関連銘柄だった。

・「戦争は買い」と言われるのは、日清戦争や日露戦争の勝利後に株価が急騰した経験に裏付けされており、第二次世界対戦勃発や日米開戦時にも株価は上昇している。1941年12月8日の真珠湾攻撃から数日間は相次ぐ大戦果で市場は大盛況。出来高は連日100万株を突破する「大商い」となり、4日後の12日に政府が株購入の自粛要請を出す高騰ぶりだった。
 また、1942年、ミッドウェー海戦の敗北により戦況が悪化するが株価は上がり続けている。敗色が濃厚にもかかわらず株価が好調だった背景には、国家総動員法などに基づく政府の市場介入があったためである。具体的には政府は無期限に株を買い支え、株価を無理矢理維持させた。
 理由としては、株価が下がると国民に悪影響を及ぼすため。株価というのは経済を推し量る最も分かりやすい指標であり、国民は高ければ安心するし低ければ不安になる。戦時中でも堅調な相場を見ていた国民は、敗戦という破局が迫っているのに本質は見えていなかった。つまり、当時の株価はただの見せかけで、企業の収支といった実体経済とはかけ離れていた。
 日中及び太平洋戦争の戦費は国家予算の70倍超。この無理な戦費調達により、日本は深刻なインフレに襲われ、実質的な株のパフォーマンスは大きなマイナスになった。見かけと実態はまるで違っていたのに、各証券会社に「株価を下げることをするやつは国賊」という脅しをかけてまで政府は株価維持に躍起になっていた。

・米国の株の格言に「資産家は恐慌時に生まれる」という言葉がある。投資において、戦争は好機であり大暴落後の恐慌時は株価が実体価値よりも値下がりする。この時こそ株で儲けを得る絶好の機会である。例えば米国ケネディ財閥、ケネディ首相の父であるジョセフ・P・ケネディや、石油王と呼ばれるジャン・ポール・ゲティは世界恐慌時に底値で買った株を高値で売り抜けることで財閥を築き上げている。日本でも三菱・住友・三井・安田などは、明治・大正の不況で大きく値下がりした競争相手の株を買い集め、経営権を握ることで財閥の地位を盤石なものにしている。

出所:『インベスターZ』8巻より抜粋(著者:三田紀房氏)


おわりに

いかがでしたでしょうか。

中でも戦争中の投資の歴史などは、なかなか知らなかった方も多いのではないでしょうか。


今回は文字だけの紹介なので読みづらかったかもしれませんが、興味のある方はぜひ実際にマンガを購入して読んでみてください。

ストーリーも面白く、勉強しながら楽しく読むことが出来ますよ!


なお、このnoteでは実際に自身の資金と妻との共有貯金を新NISA及び個別株取引で運用する主夫投資家の私が、米国株を中心としたポートフォリオや、銘柄の選び方、過去にあった投資詐欺などを紹介しています。


それでは今回はこの辺で失礼します。


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