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2023年5月前半日経平均相場の振り返り

①  日経平均チャート

5月前半相場を振り返ると、日経平均株価は16日に年初来高値を更新し2021年11月以来1年半ぶりとなる29842円と30000円に迫る勢いだった。
主要企業の決算発表がピークを迎えるなか、好業績や株主還元の強化を発表した銘柄への買いが相場を押し上げた。

②  中国関連銘柄

そんな日本株の上昇が続くなか、一部の中国関連銘柄に黄色信号が灯りだしている。
新型コロナウイルス禍からの中国経済の回復が期待したほどではない、とのサインが出始めているためだ。
利上げを進めた欧米の景気後退懸念が広がるなか、中国のリオープン(経済再開)の恩恵を受けやすいことは日本株を買える理由のひとつだった。

③  日経平均3月末比

日経平均株価は3月末比では6%強上昇している。
中国事業のウェートが高い銘柄は、年初から3月末にかけては日経平均を大幅に上回って上昇した。
だが足元では頭打ち感が強まっている。
3月末比で下落している銘柄が目立つ。
2022年12以降、中国はゼロコロナ政策を段階的に廃止。
巨大市場の経済が急速に持ち直すとの期待が、中国経済との結びつきが強い日本株にも追い風となっていた。
だが中国経済は5月に入って息切れ感がちらついている。

④  中国4月貿易統計

9日発表の4月の貿易統計が軟調だった。
季節調整をかけた値でみると輸出額が前月比で11%減、輸入額は6%減だった。

⑤  中国4月CPI指数

また市場が驚きを持って受け止めたのが、11日発表の4月の消費者物価指数(CPI)だ。
前年同月比0.1%上昇と市場予想(0.4%上昇)を大きく下回り、2年2カ月ぶりの低水準となった。

⑥  中国不動産向け不良債権

そして不動産向けの不良債権の膨張である。
中国の銀行で不動産向けの不良債権が増え続けている。
2022年末時点で中国工商銀行など4大銀行の不良債権残高は6割増え、直近10年で過去最大になった。

⑦  中国GDP割合

不動産は中国の国内総生産(GDP)の3割程度を占めるといわれ、経済への影響が大きい。
香港証券取引所に上場する主要32行の22年12月期決算を集計したところ、不動産向けの不良債権は2640億元(約5兆1千億円)と1年前に比べ7割弱増えた。
うち長期で比較できる4大銀行では約1800億元と6割増え直近10年で最大となり、この数年は1~3%台で推移していた不良債権比率も5.8%まで急速に悪化している。
中国は20年に不動産大手を対象に負債額に厳しい上限を設けるなどの3つのレッドラインと呼ぶ規制強化を実施した。

⑧  広大集団デフォルト

企業の資金繰りが悪化し、21年12月に恒大集団がデフォルト(債務不履行)に陥るなど危機が広がった。
過剰債務の適正化を目指す施策だったが、銀行の不良債権が膨らむ結果を招いた。
このような状況でここまでの期待が失望に変わると、株高持続シナリオは正念場を迎える。

⑨  SBIホールディングス

市場の話題としては12日にSBIホールディングスは、50%強の株式を保有するSBI新生銀行に対してTOB(株式公開買い付け)を実施し、上場廃止にする方針を発表した。
SBIは現時点でSBI新生銀行株を50.04%保有する。
買い付け後は77.02%の保有割合になる見通しで、残り22.98%は日本政府が保有している。
買い取り価格は1株2800円。
11日終値に対して13%の上乗せ幅(プレミアム)をつける。

⑩  TOBとは

今回TOBによる非上場化を目指すのは、公的資金の返済条件が株価に紐づいているためだ。
というのは、資本注入されていた優先株が07年8月と08年3月に普通株へ転換されたことが大きい。
3500億円の公的資金を普通株1株あたりに割り戻すと7450円になる。
発表前の株価が2500円弱にとどまるなか、上場を維持している限りは株価を3倍に高めなければ返済できないからである。
SBIにとって公的資金と株価を切り離すには非上場化という奇策が必要だったわけである。
今後も事業面で成長を続ければ、市場価値ではない事業価値に基づいた価格の算定で国が公的資金の返済に向き合う可能性があると踏んでいるということである。

⑪  G7広島サミット

19日から21日にはグランドプリンスホテル広島にてG7サミットが開かれる。
日経平均を3万円台に乗せるキッカケとなりうる為、注目すべきイベントとなるだろう。

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