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やまと絵は室町じゃね #32

『特別展 やまと絵 受け継がれる王朝の美』
東京国立博物館
2023年10月14日(土)

やまと絵展で、日本四大絵巻が同時に見られるということで行って来ました。

平安時代から室町時代にかけて色々なやまと絵がありましたが、結局のところ、室町時代以降の作品がカッコいいと思わせる展示会でした。

東京国立博物館

やまと絵にはもちろん色々なパターンがあると思いますが、基本的には引きの構図で、対象としては公家を描いていることが多いので、多くのやまと絵が似たような感じです。構図に変化がないとマンネリ感がありますし、私のような庶民階級からしてみると公家の絵は面白味が薄いように感じます。

印象派の画家たちが新しい絵画を目指したのは、アカデミーの絵画をつまらんと思ったのが背景にあるのでしょうが、ひょっとしたら、その感覚に近いものを、やまと絵に感じたのかもしれません。

一遍聖絵 巻第七は、四大絵巻ではありませんが、一遍聖人が肩車されてお札を配っているところに、老若男女、貴賎を問わず色々な人たちが群がっています。その熱狂が伝わってくるようです。

片輪車蒔絵螺鈿手箱は、これまで何度か見る機会がありましたが、地味なイメージがありました。螺鈿が施されていて、角度を変えてみるとキラキラと綺麗に輝いていて、これまでと異なる印象でした。

佐竹本三十六歌仙絵は、だいぶ昔にNHKスペシャルで見て以来、とても気になっていました。

三井物産の大番頭の益田孝が中心になって、一巻の絵巻を三十六人の歌仙一人ずつに切り分けた逸話があります。NHKスペシャルを見た当時は、一人で購入できる金額を大きく超えていたにしても、酷いことをすると思ったものでした。ですが、絵巻物を分割して掛け軸にする事は日本では比較的普通に行われてきたことだったり、分割された歌仙絵がそれぞれこだわりの表具で掛け軸になって受け継がれていることだったり、そんなことを知るに至り肯定的にとらえられるようになりました。

やまと絵展を通して見た結果、やっぱり室町時代以降の作品がカッコいいと思うのです。構図が大胆になって全体的に派手になってきます。ということで、今日の一枚は、観楓図屏風。

上と下の世界観を分けるように、赤い楓が美しく描かれています。精密に描かれている女性たちの宴会もイキイキとしています。

浜松図屏風は、四季の移り変わりをメリハリのある構図で描いています。かつ庶民の生活は精密に。この展覧会の推しであります。

日本四大絵巻の一つである信貴山縁起絵巻飛倉巻は、信貴山の命蓮の超能力の物語です。周りの人々の驚きの表情が豊かに描かれています。とても分かりやすく見ていて面白いのがよいです。

源氏物語絵巻は、関屋・絵合の50センチくらいしか展示されておらず、しかも、何が書いてあるかほぼ判別できませんでした。

鳥獣戯画は、これまで気づかなかったのですが、良く見ると猫がいました。

本館の裏にある応挙館 静かで落ち着きます


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