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本阿弥光悦の作品世界 #40

『特別展 本阿弥光悦の大宇宙』
東京国立博物館
2024年2月4日(日)


今日の一枚は「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」。俵屋宗達が飛び渡る鶴を描いた料紙に、本阿弥光悦が和歌を散らし書きした一巻。


絵と文字が見事に融合して一つの作品世界を作り上げている。

飛び立つ鶴の、見事に躍動的なことよ。そこに散らし書きされた筆跡の、何とも美しくバランスしていることか。


「舟橋蒔絵硯箱」本阿弥光悦作 江戸時代・17世紀 東京国立博物館蔵

硯箱の盛り上がった形もさることながら、ある種の乱暴さをもって真ん中を横切る黒々とした鉛、これが見る者に強烈な印象を与える。

ここにも光悦の散らし書きが炸裂している。

刀 金象嵌 銘 江磨上 光徳(花押)(名物 北野江) 郷(江)義弘 鎌倉〜南北朝時代・14世紀

加賀藩前田家に伝来した刀。銘字が光悦の筆になると言われている。


蓮下絵百人一首和歌巻断簡 本阿弥光悦筆 江戸時代・17世紀 東京国立博物館蔵

蓮の花に、またもや光悦の散らし書き。

高階秀爾の「日本人にとって美しさとは何か」(2015年、筑摩書房)で曰く、このように絵の上に文字を書いてしまう作例は日本にしかないと。違和感ないのは、私が日本人だからか。


伝俵屋宗達筆 桜山吹図屏風 江戸時代17世紀 東京国立博物館 (特集 近世のやまと絵 -王朝美の伝統と継承- で撮影)

貼り付けてある色紙は本阿弥光悦によるものだが、この屏風に様々な色紙が貼りまぜられていることによって、単なる桜と山吹の屏風から、さらに一段、格調高いものになっている。


今年最も注目していた美術展であったが、寛永の三筆と言われる本阿弥光悦の美術展らしく書が多く、難解な美術展であった。


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