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ノスタルジア Real Recital ~陶酔の世界に誘うピアノ演奏会~ ひたむきなレポート

事務員Gさんのピアノ演奏と、ステージの演出・構成により
ノスタルジアの稼働が始まってからの2年間に
『郷愁』の想いが胸にこみ上げる、そんなコンサートでした。

~開演

東京マラソン前日、雨と曇り続きの間にぽっかり晴れたこの日、なんとなく街全体が少しざわざわしているように感じた、そんな銀座のヤマハホールで音楽ゲーム「ノスタルジア」のピアノコンサートが行われました。

私は夜の部参加だったので、さっそく入場開始と共に7Fへ上がると…

素敵なフラワースタンドがお出迎え

こちらのフラワースタンド、なんとノスタルジアのファンの方々が資金を募って会場へ送ったものとのことで…
と他人行儀で書いてはおりますが、こちらのフラスタ企画の主催を務めさせていただいたのがワタクシでございました。

せっかくなのでフラスタの内容も少し書いておきます。

風船が螺旋階段になっていて、
お花と共に、下から上にグラデーションを付けています。

螺旋階段(のモチーフ)を入れて欲しいという意見は、フラスタ企画を立ち上げた瞬間に何名もの方からご意見をいただき、それを中心に今回のフラスタの構成を練りました。

一番下にはアネモネの花を必ず入れてほしくて
猫ちゃんが螺旋階段を登ることで、段々と華やかな世界へと運ばれていく。
そして、頂上で待っているのが、
楽しく演奏をしているノスタルジアのキャラクターたち。
そんな内容を表現したいとお花屋さんへ相談しました。

ボードについては、担当のえノさんに「協力者のお名前と、祝開演の文字を入れていただき、残りは好きなようにノスタルジアを表現して欲しい」と最初お願いしていたのですが、奇しくも、演奏をしているノアちゃん(とシロちゃん)というイメージがピッタリ当てはまりました。

アネモネの花は、FORTE内ムービーにも何度か登場し、キャラクターの一人である「ノア」に関わりの深いものだったため、どうしても入れたくて。季節的にもギリギリだったのですが、当日開花した状態で入れることができました。

また、上段の「華やかゾーン」では、PinkRoseやアルストロメリアと言った、ノスタルジアの曲名にちなんだ花も入れております。

真ん中の猫ちゃんについては、実は受注生産のものを作ってもらいました。猫ちゃんがプレイヤーを表しているイメージがあったので、一段一段、ノスタルジアの歴史を確かめながら登ってる感がほしかったのです。

そんなフラワースタンドでしたが、公式アカウント様はもちろん、会場に来た沢山の方が綺麗とか、感動した、と言ってるのを耳にして
ニヤニヤしながら会場入りしました。

もう何度もツイートしましたが、こんなキレイなフラワースタンドを送れたのもご協力された方々のお力あってこそです。

本当にありがとうございました。

そうして、ヤマハホールの客席に入ると真ん中に素敵なグランドピアノがあり私達をピアノの世界に……

 

ん??????


 なんかあるーーーー!!

一体なにが始まるんだとザワザワしている内にノスタルジアコンサートの幕が開くのでした。


1.ネリと琥珀糖

音楽のライブにはよく行く私ではございますが、こうカッチリとした会場での「ピアノコンサート」というのはほとんど行ったことがなかったため、緊張しながら身構えていると、始まったのは事務員GさんのMC。

その一言に一同驚愕、涙が止まらない。

「僕、ピアノは弾くんですがピアニストって一言も書いてないんですよ…ピアニストってミスなく弾くものだと思うんですが、ピアニストって言ってないので…(笑)」

ほ、ほんとだ…!!

「皆様にはこう…緊張せずに気軽に聞いて欲しい
 咳払いとかもお気になさらずに…
 なんならページめくる音だけ気をつけて、
 (物販で販売された)楽譜見ながら聞いていいんですよ!」

と話してまして、おかげで若干緊張が解けました。

ネリと琥珀糖について「僕はこの最初の部分をネリ占い」と言ってるんですよ、と話す事務員Gさん。

ネリ占いとは…ネリと琥珀糖の最初の部分(難易度高い)が弾けると、その後すべてが上手くというジンクス的な願掛け的なもの

とのことで、早速スタート!!!


ネリ占いは2回やり直しました


そんなわけで、再々スタート(聞いてる分にはそんな失敗してるように聞こえないんですけど)した末にネリと琥珀糖の演奏。

事務員Gさん自体のアレンジが、とても跳ねが効いていて、ピアノ以外の音が入ってる原曲に負けないぐらい勢いと音圧を感じる曲になっているのですが、今回の演奏でCDで聞いているよりも更に音の一粒一粒を感じることが出来ました。

まるで本物の琥珀糖のように音がキラキラしていて「ネリと琥珀糖」というタイトルに擬えた演奏だったと思います。

一度緊張が緩んだはずが、ああ1曲目で既にリアルリサイタルの世界に入り込んでしまい、ここからどんな展開されていくんだろうとまたドキドキし始めました。

演奏が終わるとネリと琥珀糖の演奏ついての解説も事務員Gさんが行ってくれました。楽器の演奏については詳しくないなりに、すごく興味があるのでこういうMCが入るのは嬉しかったなあ。

ネリと琥珀糖には「Senza Ped.」という指示がありまして、要するにこれは「これ以降ペダルを使わないでね」の意味なんですが、これが楽譜に書かれてるのは結構珍しいことなんですって


また、各種ペダルの意味も解説しておりまして、ピアノの真ん中にあるペダル「ソステヌートペダル」は、踏んだときに押していた鍵盤の音だけが長く引き伸ばされる機能があるとのことで、これを使うことで、跳ねる主旋律をより引き立たせられるそうで…勉強になるね。

2.アーカーシャの碑文

今回のコンサート、泣ける場面はそこら中にあったのですが、まず最初に涙腺を決壊してきたのはこの曲。

正直1曲目のネリと琥珀糖の時点で「ああ…2年間やってきたゲームの音楽をこんな大舞台で聞けるのはなんて凄いことなんだろう」と既に私は涙目だったわけですが、事務員Gさんの弾くアーカーシャの碑文を聞いた瞬間に、思い出されるOp.2のトレーラー映像。

1曲目が一粒一粒きらりと光るイメージならば、この曲は全体がふわっと会場を包み込むような演奏と言えるでしょう。

CDで聞くよりもずっと、強弱の表現が響きやすく、まさに魔法のように情景が浮かんできました。ボーカル入りの原曲も凄く繊細で綺麗な世界なのですが、ピアノだけの場合はより幻想的なイメージを感じました。

3.Somnio

「ホントはここMC入らないんですけど」って言いながら話し始める事務員Gさん。「楽譜、4つしか乗らないんですよねーーー………」って言いながらゴソゴソと準備。そう、このSomnioは楽譜5枚構成。

事務員Gさん、悩んだ挙げ句

斜めになってないから覗き込むよう見ててすげえ弾きにくそう!!
とハラハラしながら見てたのですが、
上手いこと弾くんですよね~!流石!!

ノスタルジアOp.2のストーリーを始めたとき、アーカーシャの碑文よりもこの曲を先に解禁した方も多いのではないのでしょうか。

私もそのうちの一人で、アーカーシャの碑文が「ノスタルジアOp.2」自体のイメージ曲だとしたら、Somnioはこれからのストーリーを案内する、まさにはじまりの曲です。

Somnioは所謂「サビ」から始まるので、ピアノを1音2音3音と鳴らした瞬間に物語にぐっと引き込まれてしまいます。そこからはもう旅です。
展開も多く、ゲーマー的に言えばフィールドBGM感があるため、このピアノコンサートの世界を次々と巡っていく、そんな演奏でした。

4.I'm so Happy

そして流れるように4曲目。
音ゲーマーであればもはやこの曲は必修科目の一つと言えるでしょう、Ryu☆さんの名曲「I'm so Happy」。

原曲はハピコアということで超ノリノリヒャッホーウ!!!な感じなのですが、事務員Gさんのアレンジではその幸せな日々を噛みしめるような甘いバラードへと変身を遂げていました。
ホールが凄く良い環境なため「バラード曲」が映えます。
ロングトーンが重なって一つの音になっていく様子がとてつもなく耳に気持ちよく入ってきます。

ピアノでこのようなアレンジをすると、普段聞いてるときには注目しない音が聞こえて、とても楽しく、で、このバラードアレンジを聞いてから原曲に戻ると、これまで聞こえなかった主旋律の後ろのピアノがよく聞こえるようになったりするわけですよ。音楽って面白いなあ。

演奏が終わった後「音ゲーではもう定番の曲ですね、愛無双って呼ばれてて…そういえばこの曲ってノスタルジアにまだ入ってないんですよね」と話し始める事務員Gさん。

そうなんです、サントラには入っていますが、ノスタルジアには現状まだ入っておりません。

「勘のいいプレイヤーの皆さんはなんとなくピンと来てるかと思いますが、つまりそういうこと…だと思います(笑)」

というわけで早くプレイ可能になって愛無双!!!!!

5.Blind Justice~Torn souls, Hurt Faiths~

私はこのブラジャスのレポートのために、ここまでずっと言わないで取っておいた内容が一つだけあります。

それは

照明の演出!!!!!!

もちろんここまでの4つの曲もしっかりと演出はあったのですが
私はこの曲の照明の凝りっぷりに魂が震えてしまったので
この枠を使って説明していきたいと思います。

照明の位置を表現するのに絵描くの大変だな~って思ったら
ヤマハ公式さんが映像がわかりやすい写真を上げてくださったので素直に引用させていただきます。

これが実際のホールの照明だったのですが
(画像はもうちょっと後で演奏されるzeeros)

曲に合わせてジャケット部分が変わり、更に照明自体の色も変わります。
で、Blind Justiceの場合どんな様子だったかと言うと、事務員Gさんの演奏に合わせて、場面毎にノクスカラーっぽい紫と、マタンカラーっぽい水色が交互に舞台上の色が変わるのです。

これがすごいピアノと、映像の掛け合いっぽくて、もうね、Zektbach大好きっ子としては圧倒されて痺れてしまいました。口開けてポカーンですよ。かっこよすぎる。

事務員さんの愛無双からの比較となるような力強い演奏がまたこの曲にバッチリ合っていて、そして最後のジャーン!という和音と同時に赤色に照明がひかるんですよ!まさにクリップのこれ↓そのもの!!

もうね演出見た瞬間やばすぎて涙を堪えるのが無理でした。
ピアノと照明の色だけで、その情景を思い浮かべるような演出が出来るなんて、コンサートって奥が深い!と改めて思いました。

6.隅田川夏恋歌

Blind Justiceの激しく揺さぶってくるような演奏でドキドキさせて次は休憩…というわけには行かず、むしろ隅田川で追い涙させられました。

隅田川って村井聖夜さんの作った原曲があって
更にピアノでノスタルジア感の強くなったred glassesさんの編曲版があって
今回の事務員Gさんの場合はそのノスタルジア版を更にアレンジした形となります。

コンサートではCDよりも、もっともっとしっとりと、バラード感が強くなっていて、原曲がお祭りで女の子のドキドキした様子を、red glassesさんのノスタルジア版でお祭りの情景を感じさせるので、さしづめコンサートのときの事務員Gさんの演奏では帰り道にそのお祭りを思い出す、まさにノスタルジーに浸れるものでした。

この曲に関してはほんとアレンジによってそれぞれ頭に浮かぶイメージが違うので聞くたびに面白いのですが、その中でも必ず「川の流れていくような風景」というのが誰のアレンジでも脳内で再現されるところが本当に好きです。

7.Theme of Ricerca

この曲については演奏に入る前に事務員Gさんの解説。

ピアニスト、演奏家って、押しちゃいけない音が押せないようになってるんですよ。例えばドミソに普通入れない音を入れると、テンションコードっていうんですけど、すごくかっこよく…ジャズっぽくなる。
ただ、これって凄く弾きにくくて、リチェルカにはそれがいっぱい出てくるんですよ!

あと、「リチェルカ」ってなんだろうって思って、調べたんですよ。
そしたら「リチェルカーレ」で研究とか実験とかって意味で、つまり、この曲は実験音楽のテーマみたいな意味みたいで、だから、普段弾かないような弾き方がたくさん出てくるんで、もう大変(笑)

だから、リチェルカってすごい頭に残りやすいんでしょうか…。
元々、好きな曲だったんですが、この日コンサートで聞いてしまったからなのか、私このあと数日間は家で鼻歌で歌っていました…。

ゲームで聞いてるとなんとなくで聞いてしまうんですが、しっかりと事務員さんが解説されてたっていうのと、ピアノの音がしっかり聞き取りやすいホールで行うことで、1音ずつしっかりと耳に入ってくるんです。
その中でもリチェルカは顕著で、最初に解説していた不況和音のようなのに、音が整ってる、オシャレなテンションコードの重なりが、ゲーム機で聞いてるよりも噛みしめるように聞こえました。

原曲ではピアノ以外の音もあってワチャワチャ楽しい~というイメージなのですが、ピアノだけでもそれはまったく劣りなく、むしろ後半のソフランが勢い付いていて、とても躍動感に溢れていました。どう考えたって難しそうなのに、とても楽しそうに演奏している事務員さんの姿が印象的です。


8.???

リチェルカが終わると、スタッフさんがピアノの隣にある例の四角い何かを動かし始めました。

息吹を感じますね……

と事務員さん。プログラムでは「???」一体何が始まるのか。
そして「ここでゲストをお呼びします」ということで

ノスタルジアではすっかりおなじみのred glassesさん、m@sumiさん、

更にKACリサイタル部門優勝のゴリr…yukitaniさんの登場!!!!!!!!!!!

そして更に外される謎の四角い箱の黒いカバー!

なんとそこに現れたのは

ノスタルジアの筐体!

ですよねー

そして、後ろにはスクリーンが登場します。
……ただ、この時点ではなんかの曲を皆で弾くんだろうと、そんな感じでワクワクしていたのですが……

なんとこの場で新曲発表さらに演奏にてお披露目!

その名も「少年と少女のためのラプソディア」
なんとred glassesさんとm@sumiさんの合作!

このコンビのノスタルジア曲とか最高に決まってるじゃないですか!!
そしてred glassesさんはOp.2になって初のオリジナル楽曲参加!!!!!待ってました!待ってましたとも!!!!!
私はこの前ライブでred glassesさんとm@sumiさんが連弾しててもうそれが最高だったのを思い出してこのコンビの新曲とかたまんないんじゃ!!!!!と駆け出しそうになる心を抑え

一方その頃舞台では、演奏の準備。

なんと、ノスタルジアの筐体と、事務員Gさんのピアノ演奏でアンサンブルするというのです!前人未踏のイベントすぎる!!

この由緒あるヤマハホールに筐体が乗ってしまうなんて、初めてのことじゃないでしょうか。しかもその場でピアノとセッションなんて、歴史上ないでしょ!

更に更に!このときのノスタルジアの譜面は昔のギタフリで言うツインギター譜面みたいになっていて(例えが古の音ゲーマーしかわからない)

要するに、ノスタルジアとピアノの掛け合いが楽しめるようにパート分けされた専用譜面なのです!すごい!!

曲の内容は正直発表の時点で衝撃的すぎてあまり覚えていられなかったのですが(本音)かわいいメロディーの中に展開がいくつもあって絶対弾くの楽しいぞこれ…みたいな印象でした。また、すぐ上にも書いたとおり今回掛け合い用の「中が少し抜かれてる」譜面なんですけど、それでも十分に難しかったように見えたのですが…?

ちなみに今回はタイトルを先に考えてと言われたので、どうとでもなるようにタイトルにしたけど「少年少女のラプソディア」というコンセプトに沿った音楽になっています。とのことだったので。解禁が楽しみです!

新曲の発表と、ここまでの演奏に興奮が冷めやまない状態で休憩タイムへ。

それにしても凄いメンバーによる凄い発表でした。筐体一家に一台欲しいよねって話にすごい勢いで頷いちゃった。

---------------ここから後半戦

9. I

後半戦からはFORTEのストーリーを辿っていくセットリストとなっています。最初はプリモ。

ノスタルジアのはじまりを表すこの曲は、普通に自分でプレイしてるときでもジーンと来てしまうのですが、実際のピアノ演奏だともっともっと胸が熱くなりました。

今回のセットリストの中ではシンプルな曲なのですが、
シンプルが故に全ての音がしっかりと耳に入り、
音の変化もしっかり聞き取れるので、凄くコンサートに行った甲斐を感じる曲でした。

「イチ」って読むのか「アイ」って読むのかわからなかったんですけど、「プリモ」って読むことを知って、なるほどね…音楽…良いタイトルですね…

この曲に関してはかなり原曲を再現するように弾いているように感じました。その中でも後半のタメをしっかり取っていて、軽やかなメロディーなのに重みを感じる構成となっていて、いかにこの「I」が大切な曲かが伝わります。

10.飽和世界

「ほうわせかい」ではなく「サチュレイテッドワールド」って読むんですね。と事務員Gさんがおっしゃってましたが、実際に感想を見てみると今回のコンサートでその読み方を知った方も多いようで。

この曲は、特に初代~FORTEにおいてはノスタルジアの顔とも言える楽曲だと思います。曲自体はノスタルジアの世界が固まる前に作られたとどこかの記事で読みましたが、それでも作品のイメージにカッチリとハマっていて、コンサートでは猫が飽和した世界を駆け巡る様子が表現されていました。

この曲はテンポがゆらゆらと変化するのがとても特徴的で、ゲームでプレイしていても身体を揺らして弾いてしまうのですが、事務員Gさんの演奏では、そのテンポ感の「間」を非常に大切にされている印象で、聞きながらもやっぱり身体を少し揺らして聞いてしまいました。マッタリしたテンポなのにノれる。

アルペジオが多いのもこの「飽和世界」の特徴で、一つの和音が順々に重なっていって音が変化していくのをじっくり聞けるのも”ホールでのピアノコンサートならでは”という感じですごく良かったです。

11.nostos

nostosを聞くと出だしから「ノスタルジアが始まるよ」というイメージを持ちますね。事務員Gさん自身も最初の「レミファソラー」が特徴的で印象的という話をしていましたが、実際の演奏でもこのフレーズに対し重きを置いて演奏していたように感じました。

前半の切なく、ゆったりとしたメロディーに対し、中盤激しくなる対比がピアノの音だけでも十二分に表現されていて、ここまで来て急に頭の中がOp.2のあのセピア色のイメージからFORTEの緑を中心としたイメージに舞い戻った感じを受けました。

nostosを聞くたびにいつも、昔BE生でDOLCE.さんが稼働直前に実機プレーしていて、その時はこの曲の赤(11)最高難易度だったんですけど、それをクリアしてる(それでもA+)のを見て「うわー、このゲーム絶対おもしろいけど難しいぞ~~」ってことを思い出します。その後もっと難しいのが大量に入ってくるのに。

この曲はそんな郷愁を感じさせる一曲とも言えます。どんな思い出だよ。

12.Noah's song

nostosからのノアソンの流れ、CDでもコンサートでもゲーム筐体でも、こだわりを強く感じます。

僕は普段ジブリとかも演奏するんですけど、そういうところからノスタルジア…「郷愁」のイメージっていうのはなんとなく感じてて。今回のコンサートの曲目の中ではこの曲が一番「郷愁」を感じました。

と、事務員さんも語っていたNoah’s songです。どこか懐かしく、歌詞があるわけでもないのに、とても切ない気持ちになる曲ですね。

本来は少女「ノア」のコーラスが入る曲なのですが、今回はピアノコンサート。ピアノ一本でその情景を表現するのですが…
これが不思議なもので、ピアノの音同士の共鳴のせいなのか、なんとなく少女が「ラララ…」と響かせている歌声が聞こえてくるような、そんな感覚に陥ってしまいました。

最後こそだんだんと力強い音が鳴り、これから起こる【何かが近づいてくる】印象を与えられるのですが、それも含めて”儚さ”を感じる演奏となっていました。

13.ユメイロムスビ

ユメイロムスビについては主に演奏についての話を事務員さんが語ってくれました。

今回、演奏する曲…全部難しいんですけど(笑)その中でも、譜面で難しさを色分けしてあって、特に難しい”紫”に色分けしてあるのが3曲あるんですよ。そのうちの一つがこの「ユメイロムスビ」です。
「ユメイロムスビ」っていうタイトルだから、なんか最初はすごくゆったりとしたジャララ~ンって感じの楽曲だと思うじゃないですか、そしたらこれですよ。ピアノ1つで弾く曲じゃないです(笑)

と、豪語するほどに難しい曲とのことで、いろんな運指を試しているうちに突き指しちゃったなんて話もしていました。

すごい変拍子が繰り返される曲なので掴みどころがなくて、そこがまたつい聴き込んでしまう曲なんですよね。
ただ、そんなユメイロムスビも事務員Gさんが弾き上げてしまう、そして様々な音がなる原曲が音全体を覆うように包まれているのに対し、コンサートではそれぞれの小節を引き立たせて演奏されていました。

ユメイロムスビはノスタルジアでも確か初代とFORTEのちょうど狭間で、いろんな扉を開いた後のストーリーの佳境に入る直前の難しい立ち位置になっているのですが、そのどっちともつかない空想の世界が見える素敵な演奏でした。

14.遠い世界の時と空

ユメイロムスビの明るいとも暗いともどっちともつかない空想の世界から、少し明るい世界が見えるこの曲は、事務員Gさんのピアノアレンジがキラリと光る曲でもありました。

全体的にキーが高いので、事務員Gさんの弾くしっかりと「間」を取った後半の部分がとてもヤマハホールに綺麗に響くんですよね。

曲のイメージからなのか、ゆったりとした曲にも聞こえますが、実際は早い三拍子で構成されているため、事務員Gさんにも【紫】ではないけれど、かなり難しい楽曲と言わしめていました。
そのため、思わず演奏中も手元に注目して見てしまったのですが、本当に忙しなく手が動いてたのがよく見えました!

そういえば、ここでのトークではなかったのですが、ピアノの位置について話していたのをレポート書きながら思い出したためここに書いておきます。

普段事務員Gさんのコンサートでは客席に対して後ろ向きにピアノを配置していて、手元がよく見えるようにしてるんですって。今回は元々右向き真横にピアノが配置されていたのを、事務員Gさんが「手元見えるように後ろ向きにしたい」という意見を出したところ、間を取って斜めの位置になったとか(笑)
結果的に、演奏してる時の事務員さんの表情もチラリと見えるし、手元も見えるし、凄く良い配置だったと思います。

15.phantasmagoria

この曲もね…意味を調べたら、走馬灯のように移り変わる幻影なんですって。よくそんな言葉が表現出来る一語が見つかるんだなと…。日本にも、英語では一語で表せない感情を一語で表すものってあるんですかね…”わび”とかかな(笑)

なんて事務員さんのトークから始まったこの曲、確かに激しくはないものの場面転換が多めの曲です。

ゲーム内の方では時間を進めながら、刻々と場面が切り替わっていく、少しスピード感のある曲の印象ですが、事務員Gさんのアレンジではまさに「走馬灯のように」やんわり、じんわりと、過去を振り返るように場面転換を大切にされていて、曲の意味を深く掘り下げて演奏しているのがとても伝わってきました。

良いホールで演奏してるため、長音の響きが残りやすいため、このphantasmagoriaにあるような「追っかけっこ」の連続のような音楽は映えやすく、前のおっかけとの音が混ざり合う瞬間がとても気持ちよかったです。

16.zeeros

CDが出る前から「この曲のアレンジをどうしようか悩んでいます。」とツイートしていた事務員Gさん。CDで既に聞いてはいて、クライマックス部分の激しさに圧倒されていたのですが、コンサートで聞いた時はその迫力で何も考えられなくなってしまうほどでした。

この曲も紫ですね。あと2曲終わったらビールが飲める!(笑)

あまりこういうこと言ってはいけないんですが、この曲はほんと難しい!
ほんと…逃げ出しそうになりました(笑)

楽譜を作る時にですね、最初のメロディはわりと穏やかだったので、よし、これは数時間で終わるな!!って思ってたんですけど…

2日かかりました

フィギュアスケートに例えたら3回転サルコーなんて例えもしてたかな!

ゲームの譜面ですらあんな難しい曲出来ないのに、生演奏するってどうなってるんだ…。

また、この曲に関しては照明がかなり凝っていて、zeerosのジャケットで描かれているような半々の感情を、照明が音楽に合わせて照らしていて、曲の激しさに相乗効果を加えていました。

事務員さんが楽譜を作るときにもあまり使わないというfffが出てくるこの曲、本当にピアノでここまで強く、太い音が出せるのか、というぐらい激しい演奏で、心をギュッと掴まれるようでした。
今回、ノスタルジアの楽曲をコンサートホールで演奏する意味を存分に感じることの出来る見事な演奏だったと感じます。

17.Claustra

これが「最後の紫」とのことで、ビールまであと一歩の事務員Gさん。

このClaustraも本当に難しいんですが、こちらにも珍しい記号というか音符があるのですが、クラスター記号というのがあります。音符が縦に長くなってるのがクラスター記号で、これはこの記号の音符のあたりならどの音を弾いてもいいですっていう記号なんです。
いろんな音を激しく鳴らすため、そんなところも注目しながら聞くと面白いのかなって思います。

↑みたいに、該当の音符が縦に長くなっていて、
実際に今回の楽譜でも「クラスター奏法:音符付近の鍵盤を手のひらで弾いて下さい」という解説がついています。

前半が少し暗めながらもおとなしい左手の伴奏に右手のメロディを聞かせる構成の曲なので、後半の突然激しくなるシーンにこのクラスター奏法が左手の低音に配置されているため、原曲やCDで聞いてる時も”厚み”を感じる演奏となっておりました。

またこのクラスター奏法や、ネリと琥珀糖の部分で書いた「ペダルを踏まない」指示をはじめ今回の楽譜には「普段あまり見ない、使わない記号をたくさん使ってます!」とのことでしたので、楽譜を手に入れた方は曲を聞きながら読むだけでも面白いと思います。

18.Vide Nostalgia

「次はVide Nostalgiaですが…とうとう最後の曲になってしまいました」と事務員Gさん

(え!もう!?まって!!?Dream of youはフライファーは!?!?!?アンコールすればいいのか!?!?)って思っていたら

「最初の最後は、最後じゃないですからね!」と話していて安心した…

後で調べていたんですけど、どうやら事務員さんのライブとかコンサートでは「それでは(最後じゃないのに)最後の曲です」→「えー!」的な流れが定番とのことで…。

先に教えてよ!!!!

(定番なら一緒にやりたかった…)

逆に言えば今回のコンサートがいかに”ノスタルジアファン”という層が来てる方が多かったのがわかる会場の様子でした。

演奏の方は、あえてそこまで濃い味付けをせず、しかしその中でも一つ一つの場面の展開の切り替えがわかりやすく弾いていたと思います。前半から細かいアルペジオが何度も出てくるのですが、そのアルペジオが重なったときの音を重点に置いて演奏されていたのを感じます。

Vide Nostalgiaは、ノスタルジアFORTEまでのストーリーの最終曲とのことで各話の曲のテイストが散りばめられており、その時点で涙が出そうになるほど感動するのですが、やはり後半にある「I」のフレーズを聞いた瞬間に涙腺の堤防が完全に決壊しました。この曲はほんとずるい。

そこからラストに向かって大団円を迎えるのですが、ニャーって鳴き声とか、時計のカチカチ…がちゃんと浮かんでくるんですよ。
正直この曲を聞くとホントに終わってしまうのが寂しくて、最後の1音がほんと名残惜しくて。ずっと続いて欲しいと願ってしまいます。

アンコール1.fly far bounce

一度退場し、大きな手拍子と共に事務員Gさんが戻ってきました。アンコールの1曲目はfly far bounce。

原曲ではパーカッションとベースで心が弾む、ノリノリの楽曲ですが、もちろんこの「ノリノリ感」はピアノ一本でも衰えることなく、特に低音の音がよく響いていて、Vide Nostalgiaでしっとりしていた会場を一気にアゲて行きました。CDよりもすごく縦ノリしたくなったので、やはり、ホールと良い、ピアノといい、コンサートという環境で聞いたからこそ、低音がしっかりと聞こえたのかもしれません。

今でこそ、いろんなジャンルの曲が増えたノスタルジアですが、稼働したばかりの頃はやはり「ピアノ」や「クラシカル」というジャンルが中心だったからか、しっとりとした曲が多く、その中でもfly far bounceは縦ノリなのにクラシカル、というジャンルだったため、凄く人気が高かったと思います。

事務員Gさんの演奏ではその「弾む」部分をしっかり強調して弾いていたので、プレイヤー目線としてもすごく嬉しかったし、曲の意図をしっかり汲み取っていて流石だな~と感銘を受けました。

アンコール2.Dream of You

あと残っている1曲。わかってはいたのですが、事務員Gさんが椅子に座り、照明が暗くなり、背景に「Dream of You」のジャケットが映し出された瞬間、感情を抑えきれなくなってしまったノスタルジアプレイヤーたち(私含む)の「あぁ……!」という声が沢山聞こえました。

本当は、アンコールの順番は逆だったのですが、僕は「こっちの方が良い」と思ってDream of Youをラストに演奏することになりました。

間違いなくこの「ノスタルジアのピアノコンサート」の場においてはDream of Youがラストで大正解だと思います。

(後々聞いたら、アンコールが「Vide Nostalgia」と「Dream of You」で逆にしたって意味だったらしいです…なるほど…いや、どっちにしろ泣くわ)

だんだんと音の広がりが大きくなっていく曲なのですが、弾くにつれてその広がりと同時に、事務員Gさんの感情が伝わるような、そんな演奏でした。ここまで来てすごく言葉で表すのが難しいんですが、CDでは伝わりづらい「気持ち」とか「音に包まれる感覚」とかがこの曲の演奏にはありました。

私はもうここまでに何度も泣いてたんですが、Dream of Youの時ももちろん泣いていて、会場中に忍び泣く声が聞こえてました。周りを見る余裕がないぐらい泣いちゃった。

そして演奏後、最後の音を止め、大きな拍手と共に立ち上がる事務員Gさん。

そう、事務員Gさんも泣いていました。

数ヶ月ずっと練習し続けて、やっと終わったとか、いろんな感情がこみ上げてしまい、思わず男泣き。それを見て会場中も貰い泣き。

なんて幸せな涙なんでしょう。

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さいごに

冒頭でノスタルジアの2年間を郷愁するコンサートと書きましたが、演奏を聞いているだけで、稼働当初のこととか、ノスタルジアと共に起きた出来事とか、いろんなことが思い出しながら聞いてしまいました。

2年間のノスタルジアプレイヤーの「愛」がたくさん集まった結果がこのコンサートであるなら、私はそのうちの一人になれて本当に良かったです。

事務員Gさんが、今回演奏した各楽曲の内容や立ち位置をしっかり考えて弾いているのがわかり、更に、照明の演出も、曲の順番も、途中でピアノとアンサンブルする構成も、本当にファンがどんなことするか喜ぶかわかって作られてるコンサートでした。手のひらの上で転がされているのが悔しいぐらいに、わかられてます(笑)

事務員GさんのMCの中で

ピアノコンサートが出来るなら、ゆくゆくはオーケストラコンサートだってやってほしいですよね。

なんて話も出てきましたが、いつかはやってほしいし、今回のコンサートは確かに「これまでのノスタルジア」を振り返ることのできるものだったけど、筐体をヤマハホールに乗せるなんて新たな試みを行ったりと、ノスタルジアの未来へとつながる一つのイベントだとも言えます。

実際の利益とか難しい話はわかりませんが、イベントの内容自体は本当に満足していて、大成功としか思えないので、どうかゲーム自体を盛り上げると共に、またコンサートなどのイベント、そしてCDも、もっと出してくれることを期待しております。

そのためにまたたくさんのノスタルジアプレイヤーの「愛」が必要であればどんどん送っていきます。パセリという形で。


長くなりましたが、ノスタルジア Real Recitalのレポートは以上です。
少しでもイベントの様子が伝わればいいなあ。
こんな素敵な、心に刻まれるコンサートを開催してくれて、スタッフの皆様、そして事務員Gさん本当にありがとうございました。










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