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vol.7 経理・総務はなぜ保守的なのか

こんにちは、ipartners代表の三浦です。 これからnoteに経理などバックオフィスに関するTIPSなど、私が日々の業務で感じること、実際に経験したことなどを共有していきたいと思います。

第7回目の今回は「経理・総務はなぜ保守的なのか」をテーマにお話していきたいと思います。「保守的」というと守りの姿勢が基本にあり、大きな変化や革新的な行動はあまりしないイメージですよね。経理・総務はルーティンワークも多いので、保守的にならざるを得ない場面もあります。

とはいえ、日本の生産性が低い現状や人手不足の背景を考えると、これまでのやり方だけでは通じなくなっていくでしょう。「攻めのバックオフィス」へと変化することが、会社にとっても現場にとっても重要です。

〈インタビュー〉

どのようなときに経理・総務が保守的だと感じますか?

もっと効率的な方法が目の前にあるのに、慣れているやり方から変えようとしないときですかね。私が経験した2つのエピソードがあるのですが、ひとつは「シングルモニターからデュアルモニターに変えたくない」という経理の人がいました。

デュアルモニターって同時に2つの画面が使えるので、単純に作業効率が良くなるんですよね。パソコンメーカーのDellでも、デュアルモニターは生産性が18%上がると示しています。作業効率が良くなれば仕事の手間は減るし、結果的には会社の利益にもつながっていく。

しかし、その経理の人は「今までシングルモニターでやってきたから、今さらやり方を変えたくない」という意見だったのです。

作業効率が悪くても、今までのやり方を優先させたかったのですね。
もうひとつはどのようなエピソードでしょうか?

昔私が働いていた会社の話なのですが、そこでは部署ごとに請求書を発行していました。私が新たに配属された部署では、10人の従業員が2,000枚もの請求書を手作業で折っていたのです。そのような大量の請求書を手作業で処理するなんて、非効率でしかありません。そのため、配属されてすぐに三つ折り機を導入させました(笑)

三つ折り機のおかげで手作業よりは効率的になりましたが、請求書を封筒に入れて発送する作業はまだ残っていたので、「もっと効率化できないかな」と考えました。調べたところ圧着ハガキが良さそうだったので、すぐに導入しました。すると、三つ折り機を使った請求書業務は3日ほど掛かっていたのですが、圧着ハガキにしてからは5分で終わるようになったんです。

3日が5分で終わるようになったのは革新的ですね!
常に効率化を目指して試行錯誤する大切さが分かります。

ただ、ここまでは良かったのですが、私がいた隣の部署が問題だったんです。
隣の部署は請求書業務を効率化した一部始終を見てきたのに、何のアクションもしませんでした。
部署ごとに請求書を発行しているとはいえ、請求書業務自体は同じなのだから、圧着ハガキを導入すればその部署も効率化できます。なぜその部署が頑なにやり方を変えなかったのか今となっては不明なのですが、やはり「慣れているやり方のままでいい」という意識が根底にあったのかもしれません。

経理・総務などのバックオフィスが保守的なのは、何が原因だと思われますか?

大きな原因は「他の会社の情報が入ってきにくいから」だと思います。
営業さんとかは取引先など社外の人と接する機会が多いですが、経理・総務は社外の人と接する機会が少ないです。そのため、他の会社のやり方と比較するような視点を持ちにくいといえます。

学校の構造に例えてみると、経理・総務の人は滅多に教室から出ないので、常に同じクラスメイトとやり取りします。新しい情報は手に入りにくく、慣れ親しんでいるやり方に疑問を抱きません。
営業などの人は、教室から出て他のクラスメイトと話したり、あるいは部活の大会で他校の人と接したりと外部との接点が多いので情報の取得場所が幅広く、得た情報がさまざまなアイデアや検討事項につながりやすいと言えます。
経理・総務などバックオフィスの人は「新しいやり方を得る必要がない位置にいる」とも言えるかもしれません。

このような現状があると感じた上で、
バックオフィスの保守的な姿勢は変えていった方が良いと考えますか?

私自身はそう思います。ただ、こう思えるようになったのは、自分が特殊な状況に身を置いていたのも要因です。

私は会社員時代、3部署分ぐらいの仕事量を抱えていました。土日祝日関係なく朝から夜中まで仕事してたんですね。膨大な仕事量をこなすためには、やり方を変えてでも効率を重視せざるを得ませんでした。効率化するために土日を使って良い改善策はないか調べて、比較表作って稟議出して決裁とって、システム入れて運用変えてということを何回もやりました。

効率を重視した結果、
バックオフィスでも保守的ではなく攻めの姿勢が必要だと感じたのですね。

はい。ただ、社員の立場でシステムや施策をどんどん導入できるかというと、それは難しい可能性も当然ありますよね。私は当時、社長と近い位置にいた社員であり、決裁権もある立場でした。その為、効率化できそうなシステムを導入しやすく、今考えるとそれは運が良かったのかもしれません。

経理・総務の現場に根付いた保守的な姿勢を変えていくには、トップダウンで行うのが重要だと思います。上の立場にいる課長・部長自らが、新しい視点を取り入れていくのです。

また、Google幹部の経歴を持ちパナソニックの現フェローである松岡陽子さんのやり方からも、新しい視点を取り入れる大切さを考えさせられました。

どのようなお話でしょうか?

もともとパナソニックでは、企画会議で多くのことを決めていたそうです。
社内の意見だけで企画会議を進め、商品を販売するまで顧客の声を反映させる機会は少なかったのだとか。企画から商品が販売するのは長くて2年ほどかかる場合もあり、実際に商品を販売したときにはユーザーニーズとズレが生じることもあったそうです。

しかし、パナソニックのフェローに就任した松岡陽子さんのやり方「Yoky流」では、企画段階から顧客の声を積極的に取り入れました。
ユーザーニーズをたびたび聞きながら商品開発を進めることで、社内にはもともとなかったアイデアも反映できました。このように外部の視点を取り入れることが、物事の成功に近付いていくと思うんですね。

最後に、他の視点をもつために経理・総務に取り組んでみてほしいことはありますか?

まず簡単にできるのは、土日に5分だけでもいいから「自分の業務を楽にするにはどうすればいいか」を考えてみて、ネットでいいので良いサービス・悩みを解決できるサービスがないか検索してみることですね。

私がやっていたのは、TVCMや新聞、WEBの広告欄を眺めて気になるサービスがあればチェックするようにしていました。
あとは、バックオフィス業務の外注サービスを活用してみるのも手です。社内にはない他の視点を取り入れるきっかけになります。経験豊富な外注さんなら、無駄な作業に気付いて改善案を提案してくれることもありますよ。


次回、導入実例“現場の声”のご紹介
おたのしみに!