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成人発達理論〜発達段階を上げるため、という方針を掲げてはいけない理由とは?〜

成人発達理論は、人の内面が、生涯を通じてどのように成長し、変化するかを探求する学問分野です。

しかし、この理論を「発達を上げる」という目的で扱うことには大きな誤解があります。

今回は、なぜそのようなアプローチが問題なのか、僕自身が、かつて陥った罠からの学びを書いてみました。

「各段階をやりきることの大切さ」など、他にも視点はあると思いますが、ひとつの視点として、ご参考になりましたら幸いです。

◎発達を「上げる」アプローチの問題点

1. 個々人の発達段階の多様性の無視
  人はそれぞれ異なる環境、経験、能力を持っています。成人発達理論はこの多様性を認め、各個人の発達プロセスを理解しようとするものです。一方、「発達を上げる」というアプローチは、あたかも発達に一定の目標や終点があるかのように捉え、個人差を無視してしまう危険性があります。

2. 発達の価値判断
  発達段階を「上げる」ことがゴールとされると、それに伴って特定の発達段階が他よりも価値が高いという判断が生じかねません。しかし、成人発達理論の真髄は、各段階に固有の価値があり、それぞれが人生において重要な意味を持つことを認めることにあります。

3. 発達プロセスへの干渉
  個人の発達を外部から「上げる」ことを目指すと、その人自身が自然に経験するべき発達プロセスへの不必要な干渉を引き起こす可能性があります。自己発達は内発的なプロセスであり、外部から強制されるものではありません。

成人発達理論の適切な活用方法

1. 個々人の発達プロセスの尊重
  各個人が自分自身のペースで成長し、発達していくことを尊重することが重要です。この理解のもと、サポートや援助が必要な場合は、その人の現在の発達段階に適した方法で提供するべきです。

2. 自己認識と自己受容の促進
  個人が自分の発達段階を理解し、自己認識を深めることを支援することが有効です。自己受容を促進し、現在の段階で自分が直面している課題に焦点を当てることが、健全な発達につながります。

さいごに

成人発達理論を通して、個人は、自分自身の発達をより深く理解し、受け入れることができるようになります。

その際、発達を「上げる」のではなく、各人が、その人本来の姿を最大限に発揮できるようにサポートしあうことで、自己実現に向けた自発的な行動が促され、より充実した人生を送ることが可能になります。

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