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なぜ女性用の車はないのか?

みなさん、こんにちは。
わたしはとある日本企業のサラリーマンです。所属する部署で、2年前まで管理職に就いていましたが、メンタル不全に陥り管理職を降りました。
気力と体力が回復したら、また管理職に復帰してバリバリと仕事に励もうと志してきましたが、最近自分が就いていた仕事を第三者視点で見ているうちに、「なんて非生産的で、非効率な仕事をしていた、もしくはやらされていたのだろう」と考えるようになりました。果たして自分の仕事のどのくらいに意味があるのか、もしくは自分の働き方が効率的なのか、という視点で日々考え、本を読んで勉強するようになりました。まだまだ勉強中ですが、自分の頭を整理する意味も込めて、noteを使ってアウトプットしていきたいと考え、この記事を書いています。


今回参考にした書籍はキャロライン・クリアド=ペレス氏の「存在しない女たち」です。女性権利活動家が書いた本書は、データや事例を用いて、女性視点で、世の中に溢れる「男性が気づかない」ジェンダー・ギャップを暴いています。本書は大変なボリュームがあり、読むのは大変ですが、男性にはない視点や気づきを与えてくれる良い本だと思います。
キャロライン・クリアド=ペレス氏の指摘は多岐に渡りますが、私にとって最も印象深いページを今回取り上げます。それは自動車の設計についてのお話です。

自動車の設計は男性中心に行われている

本書は、女性が自動車事故で男性よりも、重傷を負ったり死亡したりするリスクが高いという問題を、詳細なデータに基づいて説明しています。

自動車の設計には長年にわたって女性を無視してきた恥ずべき歴史があるからだ。男性は女性よりも自動車事故に遭う確率が高い。つまり自動車事故における重症者の大部分は男性だ。
ところが、女性が自動車事故にあった場合は、重症を負う確率は男性よりも 47%高く、中程度の障害を負う確率は71%高い。
さらに死亡率は17%高い。これらは全て、車がどのように、そして誰のために設計されたかに関係がある。

存在しない女たち

その原因として、自動車の設計が男性中心に行われていることを指摘しています。
具体的には、衝突安全テストに使用されるダミーが、男性の体格に基づいていること、女性ドライバー向けのシートベルトが開発されていないことなどを挙げています。

スウェーデンの研究では、今の車の座席は硬すぎて、衝突の際に女性の体を保護してないことが明らかになった。女性の方が体重が軽いため、椅子の背もたれが機能をせず、女性の体は男性よりも早いスピードで、前方に投げ出されてしまうのだ。
こんなことが起こってしまう理由は簡単だ。自動車の衝突安全テストに用いられるダミー人形は、平均的な男性の体格に基づいているからだ。

第一に、この女性ダミーは助手席でしか試験をされないため、女性ドライバーが衝突時にどのような影響を受けるかについてはデータが全くないのだ。
女性の運転姿勢が適所を外れたものならば、なおさら問題とすべき点であるはずだ。
第二に、この女性ダミーは女性とは言えない。単に男性を縮小しただけのダミーだからだ。

女性は縮小型の男性ではない。筋肉量比率も男性とは異なるし、骨密度も男性より低い。脊髄の感覚も性別によって異なる。
体の揺れも男女によって異なる。自動車事故の負傷率に関してはこうした際は全て重要な要素となる。

妊婦をめぐる状況はさらにひどい。
妊婦のダミーは1996年から製造されているが、アメリカでも、EUでも、政府は衝突安全テストにおける妊婦ダミーの使用を義務付けていない。
それどころか、自動車事故は母体損傷による死産の原因の第1位であるにもかかわらず、妊婦に有効なシートベルトさえ開発されてないのだ。

女性視点が欠けていることに気づかなかった自分

この本を読んで、それまで、自分が運転する車に「女性が乗車した場合の視点が欠けている」という発想はまるでありませんでした。また、私の家族や友人・知人の女性も車に乗りますし、運転もしますが「男性視点で作られている車」に対して、女性が不平不満を言っていることを聞いたことがありません。
それは「女性に不満がない」のではなくて「車は男性用に作られていることが当たり前」と女性が諦めているからではないか、と考えるようになりました。

私は女性ではないので、女性の視点で車に乗ることはできません。ですが、
女性に「男性視点で作られた車を乗ることを受け入れろ」とは思えなくなってきました。新車のコマーシャルはたくさん見ますし、女性が運転しているコマーシャルもあります。ですが、よくよく思い出すと、「女性が運転することを想定して設計された車」を謳ったコマーシャルは見たことがない。

取り扱われているデータの一部が古く、現在はもう少しデータの数値は改善されているかもしれません。しかし、社会が「女性の視点を欠いたまま物事を決めている」のは、2024年現在も変化していないと思いますが、皆さんどう思われますか?

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