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#497 独立行政法人としての学校

 独立行政法人とは、その業務内容が国民生活との結びつきが強く、その業務の遂行が必要不可欠であるもの(文化や歴史、統計、郵便、金融、医療、教育など)のうち、中央省庁が自ら主体となって直接実施する必要はないが民間に委託することは不適切であるものを、①業務の質の向上・②活性化効率の向上・③自主的な運営・④透明性の向上の4つ観点を踏まえて設立される法人のことを言います。

 独立行政法人が生まれる以前は、中央省庁は、企画立案・業務実施など様々な業務が大きな負担となっており、結果、その内容をより効率的に行うことが難しくなっていました。独立行政法人制度によって実施部門は完全に委託でき、結果、役所の負担軽減と業務内容の効率化などを実施することができるようになったと言われています。独立行政法人は、その特性から国からの直接的な関与がかなり軽減され(もちろん監査は入る)、法人はそれぞれの理念の下、比較的自由度が高く業務を遂行できるようになりました。

 私たちの身近な独立行政法人としては国立大学があります。国立大学は以前は文科省直轄の期間でしたが、2003年に独立行政法人となっています。そんな中、公立の高等学校を独立行政法人化すれば良いのではないかと言う記事を見つけました。

 福岡教育連盟執行委員長で福岡県立嘉穗高校教諭の山内省二氏は、これからの学校は「履修主義(=法定時間の授業を受け、各教科で合格点を取り、進級や卒業する制度)」から「修得主義(=授業日数や授業時数に関わらず、修得すべき一定の基準を満たし、進級や卒業する制度)」に移行するのではないかと指摘。文科省の管轄のもとでの画一的な制度設計は、今の時代に求められる個別的・多様的な教育ニーズに答えるのは難しい側面もある。先日も、奈良教育大学付属小の履修内容問題についてのコラムを書きましたが、これもまたその一つの例です。

 本来的に言えば、高等学校は義務教育外であり、だからこそ小中と比較すれば、そのありかたはもっと多様で良いとも思う。

 もちろん、教育が非常に大切な社会基盤であるからこそ、国が管轄した方が良いと言う側面もある。しかし、それが結果として国民のニーズに応えられていないのであるならば、そこには教育制度の改革が必要になるでしょう。

 独立行政法人化するかどうかはともかくとして、①業務の質の向上・②活性化効率の向上・③自主的な運営・④透明性の向上は、今の全ての学校現場に必要な観点であることは間違いありません。


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