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映画『幕末太陽傳』

Amazonprimeでの配信がそろそろ終了です。必見の作品かと思います。
幕末の品川を舞台に落語の居残り佐平次と品川心中、それに高杉晋作やら久坂玄瑞らの勤皇の志士らが入り乱れて一体どう始末をつけるのかというくらいにバッと広げた風呂敷は、2時間弱の映画にきれいにスッと回収されていきました。
佐平次をフランキー堺、高杉晋作は石原裕次郎。当時日活映画花形スターだったであろう裕次郎目当てのファンに向けたのかしらと思うような彼のアップが何度かあるのですが、いやいやどうして、フランキー堺の方がじわじわくるのです。小気味よい江戸っ子らしい台詞回しと、揉め事をさらりとおさめてしまう才気と、憎めない愛嬌と。それにしてもちょっと思いがけないようなカッコよさでした。その元は、カラリとしたテンポのこの映画にあるほんのりとした影の部分、死の匂いにあるように感じました。それは川島雄三という作家の持つ色気でもあるのでしょう。
石原裕次郎とフランキー堺が小舟で対峙する場面や左幸子と南田洋子が取っ組み合いを繰り広げる場面、遊郭の階段と廊下を存分に使って人物の動きを軽快に見せていく仕掛けなど、映像としての見ごたえも十分で、大好きな作品です。

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