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映画『ミツバチのささやき』

『ミツバチのささやき』を見てきました。午前十時の映画祭で初上映とのことでした。私自身は久しぶりの鑑賞でした。
スペインの軍事独裁政権下で検閲を逃れるべく作られ隠喩に満ちているというので今回の上映には解説が付けられていました。知識としてそれを踏まえて見ることはより映画を理解する助けにはなるかもしれませんが、蛇足ではなかったかなと感じました。
全編通して淡々と静かなようでいてあらゆる動きが鮮やかです。小さなアナはもちろんですが、轟音を立てて走り去る汽車、炎まで。映画の最後、祈るように瞳を閉じてまたひらくときのアナのかすかなまぶたの揺れから目が離せないほどに、ずっと映画が集中して見つめることを要求してくる。この作品は、画面に映るものをただこちら側で見続けることで雄弁なほどに伝わってくるものがあります。世の中に「完璧な映画」というものがあるならこれではないかと思うような、そんな作品です。

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