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【第11話の4】とあるファミレスのお昼時 ~子供連れの家族編

今回の1分で読める1000文字小説は、ファミレスではよく見る小さな子供を連れた家族の視点で見た変哲もないファミレスの日常が舞台です。大人のように、半ばあきらめながらも社会に適応する訓練をしていない小さな子供はトラブルの元にもなる。お昼時とはいえ、注文してから20分たっても料理が運ばれてこない。徐々に子供の機嫌が悪くなってきた。第11話の1でウェイトレスを巻き込んだちょっとしたアクシデントにふんわりとこの夫婦のテーブルも関与している



1000文字小説

 うちの子はファミレスが大好きで、中でもボナールというファミレスがお気に入り。家族4人で行っても安くすむので助かっている。子どもには定番があって、今日も上の子はボロネーゼランチセット、下の子はハンバーグとライス小を注文する。11時30分頃には注文し、かれこれ20分は過ぎたけどまだ食事は運ばれてこない。

 混んでいるとはいえさすがにこんなに待たされたことは今まではなかったんじゃないのか。子どもたちは腹ペコでイライラし、子どもの機嫌どりは簡単ではない。


「おまたせいたしました」やっとウェイターが持ってきたのは、私が注文したピザと妻が注文したカルボナーラだった。この時の子ども達の悲しそうな顔といったら、空気読めよとウェイターを𠮟り飛ばしたいくらいだった。ただ程なくしてウェイトレスが次のご飯を持ってきた。
「お待たせいたしました。ハンバーグとライス小です」と下の子の前にジュウジュウで良い匂いのハンバーグが置かれる。やっと満面の笑顔が戻ってくる。しかし、すぐに機嫌を損ねがちの上の子のボロネーゼがまだ来ない。もう30分は経っている。上の子はうつむき口を尖らせている。


 少しして別のウェイターがやって来た。やっと来たか。
「お待たせいたしました。ライス大です。注文は以上でお揃いですか」いや、ちょっと待て。私に至っては色んな物を通り越して笑いそうになった。30分以上も小さい子を待たせてやっと持ってきたのがライス大だと。妻がウェイターと対応し、程なくしてボロネーゼが運ばれてきた。もう12時は回っているがやっと全員分が揃う。今日は何だったんだろう。上の子はいつも以上の勢いでパスタをすすっている。気持ちはよく分かる。


「水くんでくるわ」予想外に長い時間を水だけで過ごしたことで皆のコップの水が大分と減っていた。
「れいな、も行く」最近水をくんでくることができるようになった下の子は、ウキウキし椅子をおり走り出した。
「こら、れいな、待ちなさい。一人で行ったら危ない、あっ危ない」前に進みながら呼ばれて後ろを向いたもんだから、前にいる2人の女性にぶつかりそうだと気づいてない。


 あろうことかバランスを崩して目の前の女性にぶつかりさらにその反動であれはパフェか?を運んでいるウェイトレスにぶつかった。私は席を立ちすみませんと頭を下げてれいなを追いかける。なんでよりによって人が交差するような時に突き進んでいくのやら。

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