ゼノブレイド3 よかったよの文章

ゼノブレイド3をクリアしました。
現存するゼノブレイド3の感想文の中で一番短くよくまとまっている(当社比)ので、読んでもらえると嬉しいです。
まずはトレーラーでも見てください。面倒だったら先に進んでください。

中学生の頃友だちにゼノブレイドをやるべきだと強く強く、それはもう強く勧められてから10年くらいしてSwitchでゼノブレイド2をやったのが4年前、ブレスオブザワイルドと同時並行で始めたらゼノブレイド2の方がどんどん面白くなっちゃってブレスオブザワイルドのこと嫌いになりかけたので傑作は並行でやるものではないといういい経験になりました。リファイン版&追加エピソードの1がその後出たので、こちらもしれっとクリアしたメリよ。追加エピソードでメリアちゃんがヒロインになってるの、負けヒロイン応援勢としては嬉しいメリ。エルデンリング…?知らないメリねえ…。

3作も出ている上にこの世界の覇権ゲームハードである任天堂Switchで全作品プレイできるため、誰でもどれかしら触ったことはあると思いますが、概略、要素、ストーリーの順に書こうと思います。

もし触ったことなければ、インターネットにゼノブレイドより面白いコンテンツは無いので今すぐSNSをやめてゼノブレイドをやったほうがいい。頼む。


ゲーム全体として

最初に、人によって好きなポイントが違うのにみんな好きなゲーム、という紹介の仕方をする。

ストーリーと世界観で勝っているゲームではあるんだけれど、遊びとしてのRPGの面白さを考えまくっているからそれだけで終わらない。丁寧さがウリのJRPGの頂点にいる。

それゆえにココが面白い!という紹介の仕方が難しいのは悩ましいところだと思う。大きな炎上もしないからカスのブロガーに取り上げられることもなく、無難に面白くもつまらなくもない紹介のされ方に留まってしまう。もっと狂気的なファン、あるいはアンチがついてほしいけど、そのあたり良くも悪くもバランス感覚が取れている。

さて。


フィールドづくりが上手すぎる

太字が読みづらい可能性を踏まえてもう一度書くけれど、フィールド作りが上手すぎる。

ロケーションの美しさ、音楽、フィールドごとのテーマの切り替わり(平原、岩、海etc)と思ったより早い移動速度とフワっとしたジャンプ(賛否あり)と、ワクワク感と音楽と敵と宝のイベントの配置が極まっている。

世界観をフィールドが壊さない。

これはほんとうに珍しいことで、ほとんどのゲームはブチ上げたテーマをフィールドに反映できない(これは表現が正しくなく、フィールドに拘らないというのも立派な選択肢だし、そもそもゲームは総合格闘技なので、テーマにあっている部分を突き抜ければ良い。んですが、世界観で勝とうとするとどうしてもフィールドは不可欠要素になり、多かれ少なかれ妥協が生まれる)
ので、世界で一番すごい。

なんか低レベル帯に絶対倒せないTレックスみたいのが歩いてるの気持ち良すぎだろ。

カメラ距離を一人称レベルから完全な俯瞰まで変えられるとこも地味にうれしい、これ2のときから好きで、実際体験するとかなりいいのに宣伝がない。

モノリス・フィールドつくるの上手過ぎ・ソフトに改名したほうがいい。


戦闘がとても良い


戦闘がブラッシュアップされている。

ゼノブレイドはシリーズ通じてちょっとクセのある戦闘システムを採用している。MMORPGを1人用ゲームに落とし込んだ戦闘システム、という表現を使わせてもらうことが多いんだけどきっとカッコいい名前があるんだと思う。知ってる人いたら教えてください。

アタッカー、ディフェンダー、ヒーラーのロール(役)があって、それぞれが役を果たすバトルシステムは、一緒に遊ぶ友だちがいないゲーム生活をしていると新鮮かもしれない。一緒に遊ぶ友だちがいないのにFF14をそこそこやったことで、このタイプのシステムの面白さがわかってきた俺が言うので間違いないです。

相手との立ち位置によりクリティカル率が変わる攻撃、範囲効果のあるバフデバフなど、それぞれのキャラが持ち味を活かして戦うこの手のシステムは、なろう系を始めとした沢山の物語に輸出されているので、そっちで馴染みのある人も多いかもしれない。個性や役割を一言で説明しつつ、それぞれの性格と被せればいくらでも差別化をはかれるため、物語とも相性がいい。

一方、組み合わせによる高火力のダメージ計算など、ゲームとしてのやりこみの幅も当然広い。上記のロールをベースに、クラス(職)は様々に存在する。一口に盾役と言っても、防御一辺倒のガーディアンもいれば、高い回避率で敵の注意を引き続ける疾風士のようなクラスもあって、なんかこういう合理的な選択肢の多さってうれしいですよね。

今作ではtipsも充実しているし、まあ最悪よくわかんなくても殴ってれば結構なんとかなる。ゼノブレイドは戦闘がよくわかんないと言われることも多いけど、見た瞬間わかる戦闘で面白いのなんてキングダムハーツくらいしかないだろ!みなさんは初めて大富豪やったときにトランプを配られた瞬間に手札が強いかどうかわかりましたか??モノポリーのルールをアトランタ通りまでに覚えることができましたか???そういう話です。


ストーリーについて

ストーリー。

10年間の寿命を散らして敵国と殺し合いを続ける人生。たった10年を全うすることを至上の幸福と信じて疑わない両国の主人公たちが、60年生きていると名乗る謎の人物によって自分たちの在り方への疑念を提示され、その疑念はやがて世界の構造を解き明かす旅へとつながっていく。

ビジュアル的な設定はPVを見てください。3rdトレーラーだけリンクを貼ったけど、1stも2ndも結構毛色が違うトレーラーとなっているので、気になったら見てみてください。

 今作に限らず、ゼノブレイドはシリーズを通じてなぜ生きるのか、どう生きるべきか、にフォーカスし続けている。ここで生きるとは前進を意味し、未来に対してよりよく在ろうとする態度だと肯定する。

そしてゼノブレイドが古今東西のRPGと異なるのは、その生が有限であるという現実を最序盤からエンディングまで通底させていることにある

正直仲間で協力して未来のために敵を倒す、という流れ自体は、RPGであればほとんどどの作品もおんなじ話だ。古くは世界を闇に沈める魔王、人類を滅ぼそうとする謎の高次元意識、モンスター、でかいなにか、巨大であればなんでもいい。その中で、勇者は浅薄に目先の未来を信じ、仲間の力を過大に見積もってラスボス戦に突っ込んでいく。パーティーもののRPGのストーリーの歴史は、いかに主人公の行動をバカに見せないか、演出と設定で説得力を出すかの歴史だといってもいい。たぶん。
未来という言葉はパーティーものRPGの大好きワードTOP3に入る言葉だ。あとは希望とか夢とか。平和のためという言葉は四六時中戦争をしているRPGにおいて非常に説得力を持たせやすい。まあべつに最後くらい若干乖離があってもいいっちゃいいんですけどね。他の部分が面白ければ。後から考えたら大した話でもないのに、プレイしているときはとっても面白い、という場合も多々あって、それはゲームのすごくいいところだと思うから。

しかしそれにしても、ゼノブレイドの敵は信念を持った陰湿さで無根拠な未来への楽観視を嘲笑するし、主人公の尊厳凌辱に余念がない。いやマジで。一般的には前提としてスルーされがちな「未来を信じる」という態度をこれほど繰り返し問い直しておいて、物語として着地させているクリアまで50時間超えるタイトルは、ゼノブレイドシリーズ以外に知らない。

そしてどう生きるべきか、に対してセットで発生するのが、どのように他者と関わるべきなのか、という命題だ。
友人と、先輩と、恋人と。若者と、老人と。主張の合わない人間と、肌の色の違う人間と。

毎作ご丁寧に種族間対立を描くのも、種族を越えた異物との遭遇、あるいは友和を描くのも、世界をテーマにした作品であればこれくらい当然のことだろうという意思を感じる。

明らかに種族の違う主人公たちの外見については、明らかに意図的に言及が少ない。直前にプレイしたテイルズオブアライズが、ストーリー上のフックとしては良かった外見や身分差別のテーマを永久に擦り倒したせいで終盤で味のしないスルメみたいになってた悲しさを踏まえると(敢えて踏まえますけど)、ゼノブレイド3の他者意識へのタッチセンスは群を抜いていると思う。
序盤~中後半まで引っ張る運動のできないデブの話も、必要不可欠だ。こと戦闘という意味ではそれぞれに役割があり、得意なことは違う、という意識をはじめから共有している登場人物たちですら、かえって戦い以外の才能、努力に対する考えは及ばない。世界、というテーマをマクロに扱う以上、主要キャラの生育環境、というミクロな世界の話も避けるわけにはいかないという意思を感じる。

最低限のもの以外はサイドストーリーとしてメインとは独立させているのも、こちらはゲームとして速度をプレイヤーに委ねるという点で上手だと思う。メインストーリーの大通り沿いにキャラの掘り下げのために町を用意し、かませ犬を用意し、色違いの中ボスを用意することでメイン自体の密度を下げるRPGのなんと多いことかという話です。なんというか、サイドストーリーとして切り出すことで、かえってしっかりやろうという気持ちになるな、と思った。メインの中で、あーこの章はこの子の成長パートなのね、って思うと興が覚めるというか、それがメインの目的に対して寄り道していた日にはさっさと終わってくれ~みたいなテンションになってしまって最初からよくない。
新システムであるヒーロークエスト(追加アシストキャラの開放)の扱いもゲームとしての面白さ(戦闘の幅が広がる、純粋にキャラが増え、バックストーリーがあるとうれしい、フィールドを探すのも楽しい)を引き出していて良いと思った。

 未来へ向かい進もうとする前途有望な主人公一行に対し、それが強者の論理でしかないと断ずる敵は筋が通っている。そして終盤で自分たちの才能や、境遇の多くは運によるものだと、主人公自身が肯定する場面は、間違いなく白眉と言える。なにがしかになれるかもしれない10年の輪廻は、何者にもなれない1度きりの80年とどちらがマシなのか、努力が叶わない不安、停滞を望む意識、主人公一行が立ち向かう敵とは自らの意識そのものだ。

そしてサイドストーリー、サブクエストによって多様な生き方というものへの説得力は否応なく上がる。主人公たちとは別の生活を進む人々と関わることで、双方に何かが残るということを視覚的にも表現するキズナグラムというシステムは気持ちのいいものだ。
ゼノブレイド2のDLCが大好きなのは、ひとつに「ヒトノワ」システム(サブクエをクリアする度に関わったヒトが画面に増えていく)が好きというのもあると思う。基本的に自分は図鑑を埋めたりスキルをMAXにしたりといったプレイにはちっとも興味がない。それでもサブクエをやるモチベーションがあるのは、なんだか世界の解像度が上がる気がするという、上記の理由なんだろう。
プレイヤーが自らの操る特別な6人と変わらない、1人の人間として彼らを見守ることができるのも、そういった丁寧な描写がなせる業なのだと思う。

 最後に、なによりも素晴らしいのは、ゲーム内のテーマに対して真っ向から取り組み、ひとつの答えを提示している点にある。広げた風呂敷のどこを誤魔化すか(あるいはそれは、単に風呂敷自体は重視していないという取捨選択の結果かもしれないが)を懸命にやっているゲームがほとんどだ。しかしそれでもRPGにおいて、いや、RPGに限らずどんな物語においても、作者の主張をきちんと描き切ることは誠実な態度だと思うし、それをやり切っているゼノブレイド3には感銘を受ける。10年で死ぬなんて設定、ちょっとした泣きゲーだったらヒロイン死んで気持ちよく泣いたところで終わってしまう。それはそれでもきっと面白いんだけど、そういう話じゃなくて、こういうことが言いたくて、という終盤の駆け抜け方は、ただただ偉いと思った。


欠点、困ったところ

 一番の欠点、これは間違いなく欠点なのは、「ラスボスが不要である」という点だ。

先に言った通り”主人公一行が立ち向かう敵とは自らの意識そのもの”である以上、その葛藤を乗り越えた時点で各々が自らの敵を御してしまっている。
構造としてラスボスは不要になってしまっているので、盛り上がりにも欠けるし、巨体の敵はせっかくの立ち位置を利用した戦闘とも相性が悪い。
そもそもいつもながらラストダンジョンが長い。

その他、細かい話をすると、メニュー画面からフィールドに戻ったときフィールド曲がリセットされるのはとても嫌だった。今もフィールドを思い返すたびに脳内がイントロクイズみたいになっていて困っています。
戦闘曲がチェインアタック(必殺技フェイズ)の曲で切れ切れにしか聞こえないのは仕方ないかもしれないけどさあ。

キャラの声がやかましいというのはずっと言われており、ここはちょっと替えが利かないかもしれない。1で賛否があったんですよと言いながら「なのでさらにボイス量を増やしました」とか開発陣が言っていらっしゃったので確信犯だと思う。ゼノブレイドという作品が喋るRPGだというより、喋るRPG(パーティーもののRPGは基本的にみんな喋る)であればこれくらいやったほうがいい、という方向に舵を切っているのは、俺個人がどう思っていようと評価すべきポイントです。

苦手分野をなんとかするよりも、自分の長所を伸ばして戦え!という話で、これは全ての物事に当てはまりますね。

「おーいノア、ランツがもっと強い奴とやりたいってよ!」(レベル差がある戦闘後の余裕フレーズ)とか、相変わらずうるっせえ定型セリフは体験を損ねている(ここは擁護しがたい)。
でもセリフはね、きっと設定とかで消せるようになると思うから、そういうUIとかまた2に輪をかけて良くなっているからね。ショートカットの割り当てとかも直感的にできてよかったです。

一部キャラの露出度がおかしい乳がでかすぎる問題については、2のふざけたキャラデザよりはだいぶマシになったと思いますが、途中途中で、は?デカすぎる、公衆衛生のために隔離しろ、みたいなキャラがまじめな顔して喋ってるのは何とかならないんですか?でもだいぶマシになった。無駄なハーレムモードにしてオッサンしかやらなくなった軌跡シリーズ(日本Falcom)を見てください。ゼノブレイドは男女問わずお勧めできるゲームの立ち位置にいてくれ!!!

ところで主人公6人で2×3のカップリングにするのはポリコレ的にOKなんですか?というのは若干感じていて、この辺洋ゲーだったらヒーローに一人くらいLGBTQがいないと怒られるだろうな、と思ったりもした。そこは主題ではない、という判断だとするなら正解だし、サブクエストのどこかに一つまみ要素があればバランスとしては十分だと思うけれど、そういうのをいちいち意識してしまうほうが良くないというのもありますね。明確に恋愛としているのはメイン2人だけだし、その辺のわきまえというか、メインの伝えたいストーリーと外れたポイントをきちんと省けるバランス感覚は代えがたいものがあると思う。

よく叩かれがちな点

欠点として挙げられがちなところ

・フィールドが広すぎるor迷う

← 目的地までのガイドがつき、1,2と比べてはるかにUIは良くなった。んじゃないだろうか、別に1,2のときもUIが見にくいと思ったことないので正直ゼノブレイドのUI周りの批判がピンと来ていないというのはあります。
目的地が地図上の上にあるか下にあるかわからないみたいなのはわかるんだけど、そこを目指す途中の寄り道を楽しんでほしいというか、いや(少なくともメインの範疇では)そんなに迷うほど難しくは無い…と思います。

・ストーリーが微妙

← という声もあります。あるいは、終盤の盛り上がりという意味では1,2のほうがアツいのでそっちをおススメします。総合的なキャラの描写は3が一枚上手です。カットシーンが多いのはそうかも。FFでもやって慣れてもらえれば…。

・戦闘が難しい

←エルデンリングより難しくはないだろ!

終わりに

人がいっぱい出てくるJRPGとしては、間違いなく2020年代トップの完成度を誇る素晴らしいゲームでした。具体的にはこうやって文章書くぞ!と思うくらい。

今初めて紹介映像見たんですが、ゲーム自体はかなりこんな感じで合ってました。




(余談_随時追記:細かい良かった点)

・最初の平原フィールドへの出た瞬間のワクワク感はもう職人芸だよあんなん。
・町で聞き込みをして休憩所でその情報をもとに相談することでクエストが発生する(もちろん普通に会話で発生するクエストもある)流れが、思った以上にストレスを感じないのがすごいと思った。休憩所での相談は普通に雑談会話イベントもあって、そういうのを一括でやるので気持ちを切り替えやすい(=冒険を中断されている感じがしない)なと思った。
・追加NPCである以上いつも同じ人をパーティーに入れてるわけじゃないはずのヒーローが、ロケーションその他イベントごとに違うセリフを吐くの芸が細かすぎる。
・過去作からずっと思っているけど、ジャンプや泳ぐモーションがキャラごとに違うのとても良い。
・インタリンク(合体技)がどの戦闘でも最初から使えるのにゲームバランスが取れている理由がいまだによくわかっていない。
・最初はそこまででもなかった笛の音色が終盤いつ聞いても最高になってしまうの、文脈が足されていくことで記憶に残るゲーム音楽の良さだ…って思った。
・キャラの目のアニメーションが細かく動くの、これでこんなに感情表現が豊かになるんだ。
・その他、思いついたら追記します。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?