散歩道のひとこま “花ざかりの森”
桜も早々に葉桜になりつつあって。
今年の桜は短かったなぁ、と思って周りを見れば、あちこちで色々な花が咲いていた。
特に躑躅はまもなく満開になりそう。
躑躅が咲くと、いつも三島由紀夫の『花ざかりの森』を思い出す。
高校生くらいの時にタイトルにひかれて読んだ本である。
が、実はもうタイトルしか思い出せない。
ジャケを見てわかる通り、私が読んだ本も『憂国』が一緒に収録されており、そっちの方がよく覚えている。というか、読みやすかった。
改めて、『花ざかりの森』のあらすじを探してみたが
……うーん、こんな話だったか。
これを読んでも「そうそう、こんな話だった!」とすらならない。
読みづらかった印象はある。一貫したストーリーはない、って説明もあるから、本当に何も掴めないまま読み終わったんだろう。
ただ、本屋の一角で、『花ざかりの森』を手に取った時は覚えている。
そのタイトルを見て、頭に満開の躑躅が浮かんだのだ。
どんな話なのだろう、と読んで、意味がわからなくて挫折し、何度かそれを繰り返した後にようやく読み終わった。
そして、その後に収録されていた『憂国』の何と読みやすいことか。
という訳で、躑躅が咲くと『花ざかりの森』のタイトルだけを思い出す。
三島由紀夫の作品は他にも少し読んだが、1番思い出すのは、このタイトルしか思い出せない作品だ。
残念な気もするが、それだけでも充分かもしれない。
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