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2冊目 『空の名前』

大学生になって、一人暮らしを経験した。
世の中のことを何もわかってないまま、ただ3月から4月になって、ただ所属が高校生から大学生になっただけのただの18歳が、食事から何から全て自分でやることになる。
今振り返ると、よく4年間大きな事故や事件にも巻き込まれず過ごせたものだと思う。特に最初の1年目は。何かの巡り合わせやタイミング、運がちょっと違った展開を見せたなら、全く想像もしない4年間になっていたかもしれない。良くないことや良くない人たちがこんなにも巧妙になってきた今の世の中だったなら、当時の18歳はいつかどこかで騙されていたような気もする。


「空の名前」

大学1年生になって初めて迎えた誕生日。6月。
実家からの仕送りの食材の中に、この本が入っていた。

そのときも、今でも思うが、母親のセンスはとてもよい。
この本は、空とか雲とかの写真が続く。本というか写真集。
見たことも聴いたこともないような空や雲や天気の名前がそれぞれあって、日本語の響きや表現力に感心させられる。それ以上に、ただただ美しい空の写真を眺めるだけで、気持ちが癒された。

今でも、ふと空を見上げることが、よくある。
もともと好きだったのだろうか。この本の影響なのだろうか。
2020年、退職とコロナ禍のスタートにほぼ時を同じくして、Instagramを始めてみた。始めるのを目的にしたので、アカウントを取ってから、どんな写真を貯めていこうか考えた。

結果的に、My Instagramは、我が子たちの背中越しに空の写真を撮るというパターンが主なものに落ち着いた。

Instagramのおかげで、その後たくさんの“空の名前”に出会えることとなった。一つとして同じ名前はない。その時々の、楽しかった気持ちも辛かった気持ちも、全部込みの“空の名前”。本家「空の名前」に出てくる写真とは、美しさも構図も何もかも比べものにならないけれど、比べる必要もない、私の“空の名前”もなかなかだ。
Instagramの更新はしばらく止まってしまったけれど、また再開してもいいかなあ。

著:高橋 健司
題:空の名前


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