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N先生大好き!エピソード1

今のこの令和の時代の学校では絶対に親御さんに眉をひそめられてしまう、いや、多分大問題となってしまうのではないかと。常識的には全くあり得ないとは大人の私は思うのだが、それは昭和の小学校時代の話。私には大好きな先生がいた。そして先生のことは実際、親御さんも子供たちもどんなに常識外れでも悪く言う人はいなかった。先生は慕われていた。だから成り立ったのではないかな。

小学校1·2年の担任の男性教師のN先生。

小学校の先生なので全ての教科を教えるのだが、N先生の専門は理科。とりわけ理科の事を教えている時の先生は生き生きとしていた。理科以外の教科をどう教えてくれたのか私は正直覚えていない。先生のことで覚えているのは、理科の事と授業以外のこと。いや、それは多分授業中のことなんだけど、脱線力がすんごくて、親御さんが知ったら怒るかも?と思える、もはや教科を教科書通りに教えるという授業ではなかった。全ての事象を理科で教えてくれた。教科書ではない理科を。

エピソード1

私の小学校は当時まだ木造校舎が一棟だけ残っていて、低学年の一部のクラスは木造校舎を使用していた。古くてお化けが出るとか言われていた木造校舎。床は若干ミシミシ言っていたし。でも味のある校舎だった。当時の鉄筋コンクリートの校舎でも今の学校の様にエアコンはもちろんない。扇風機もね。それだけ夏場でも我慢できる気温だったわけだけど。
ある夏の日のこと。それは30度くらいに達していただろう暑い日。先生はうちわで仰いでいたが、どうにも耐えられなくなったのか、教室から、、、消えたのだ、、、。消えた後、どこからか壊れた扇風機を手に持って得意気に帰ってきた。壊れているので、もちろん動かない。でもそこは理科の先生!修理は理科の分野なのか?よくわからないけれど、直して使おうって。それで、おしゃべりしながらでも手は器用に動き扇風機は動いた。「ヤッター!ワーイ!」の子供たちの声。先生のしたり顔。で、先生は修理という一仕事を終えて、満足顔で一服。一服とは、、、タバコ。今の時代、絶対アウトです!!(当時もアウトか(苦笑))。でもここで終わらないのがN先生。そのタバコを理科の授業に繋げた。煙はどういう風に動くものなのかという実験。タバコを扇風機に近づけ、みんなで煙を観察。では教室のここの場所はどう風が流れて煙の動きはどうなるのかとか、教室の四隅を移動しながら風のしくみ等色々語ってくれた。正直、その煙を使った風のしくみ等の授業内容は覚えていないけれど、とにかく先生が面白くてそれしか印象がない。その煙や風の講義?が一通りすんだら、もう授業は先生の中で終わり!先生お気に入りのアコースティックギターを弾き始めて。みんなそれを涼しい教室で気持ちよく聞いて。
♪キンコンカンコーン♪授業は終了した。

これは、一体本当は何の教科の為の授業時間だったのか。煙と風と音楽の授業に変わった。そんな教科書はどこにもない。どこにもない授業をするのが先生は得意だった。教科書のお勉強も大事だけれど、どこにもない授業が実は時に強烈に心に残ったりする。

私にはとても大切な忘れられない先生だ。

Top画像は私の地元からすぐの山からの景色

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夏の思い出

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