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もう一度読みたい、あの物語

タイトルの通り、もう一度読みたい小説がある。
およそ15年前(ひえっ……)に公開されていた、「新最上記」というWEB小説だ。

筆者のHNは吉梨さん。当時公開していたWEB小説サービスが提供終了したため、再度読む機会はない。
吉梨さんが当時運営されていたブログも閉鎖してしまったので、彼女にコンタクトをとるすべもない。

その内容だが、タイトルで歴史好きな人はピンと来たのではないだろうか。
戦国武将・最上義光の生涯を描いた歴史小説である。

最上義光は伊達政宗の伯父にあたるので、政宗ファンの方はご存知の方も多いのではないだろうか。また、彼の次女、駒姫の悲劇も著名である。


登場人物たちは実に魅力的だ。義光の妻や家臣など、(おそらく)資料が少ない中魅力的に描いている。
また、最上家を扱う関係上、政宗の出番は比較的多い。だが世間一般的なイメージと異なり、どこかヒール的な雰囲気な人物像で、事実何度も義光と対立している。
二人は血を分けた伯父と甥であるにもかかわらず。最も親兄弟で対立なぞ戦国時代ではよくあることなのだが。
そのほか、ちょうど彼が生き抜いた時代は、織豊時代から江戸時代初期にあたるので、当然豊臣秀吉と徳川家康は出張ってくる。
豊臣の天下になったころからなんとなく和解していったが、江戸時代に入って最上家と伊達家の明暗はくっきり分かれることになってしまった。
どちらも東軍につき、家康の味方をしていたのに。
気になる方は最上義光のWikipediaで結構なので1度調べて見て欲しい。
勝者は必ず敗者を作る、という某CMのコピーを様々と突きつけられるはずだ。

記憶が正しければ何度かリテイクののち、星海社の新人賞に応募された。(Web公開版においても幾度かリテイクが入っていた。それが応募に合わせての加筆修正であったのか、資料読み直しての手直しだったのかは不明)
全くの余談だが、言うなれば初稿の大谷吉継の初登場(であったはずである)での描写がややヒールチックだったことに、私は大変激萌えした。しかしリテイクによりかなりガラリとキャラ変してしまった。わたしはあのままで良かった、正直今でもと思っている。あんな吉継公、お目にかかれないよ。

編集部による品評が公開されている。
品評に関しては、まず原稿用紙にして3600枚(‼‼‼)の原稿の厚さ、長さについてのべられていた。
当時さんぜんろっぴゃくまい……と、とてつもない分量に圧倒されたものである。確かにWEBで公開されていた時、わたしが見つけた時点で相当な章の数だったので確かにそれくらい行くのか、とくらくらした記憶がある。

ちなみにこの品評にもあるとおり、三成を主人公としたスピンオフ的な関ヶ原の戦いでの動向も描かれている。(そこまでの分量だったか記憶はないが、関ヶ原の戦いにおける三成の動向もそれなりに文字数を割いて書かれていたことは事実である)
切れ者のイメージがある三成だが、本作の石田三成は大変に人間臭く、なるほど彼を主人公に据えた話をぜひ読んでみたいと思わせる人物像だった。

実をいうとわたしはこの小説を、読了できていない。
関ヶ原の戦いあたりまでは間違いなく読んだはずだが、ちょうど受験勉強などもありバタバタしてインターネットの世界から離れていた時期がある。
受験も終わり、免許も取れたのでのんびり読もう、と思った時には読めなくなってしまっていた。え、うそやん。

小説サイトで改めて投稿であったりということはおそらく考えておられないのだろう。それを考えているならとっくにされているはずだし。

なのでたぶん、再度世に出ることはないだろう。
だが、このネットの海で、もし作者の吉梨さんがこのnoteを読まれたら。

10年以上、再公開を待ち望んでる読者がいるんだよ、と気に留めていただけたら、と思う。

2023/1/17 一部加筆修正。

2023年3月4日 再度加筆修正。


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