見出し画像

療保園いろはを一年運営してみて

前回のノートから、かなりの時が経ってしまいました。
こんにちは皆様、株式会社Irohakids、代表の大久保でございます。

私たちは『療保園いろは』という長時間預かる児童発達支援施設を2021年の5月に設立いたしました。設立から1年と3ヶ月が経過し、1年以内に2店舗を立ち上げました。そこで「結局のところどうなのか」というところをお話ししてきたいと思います。

おもいきりからの試行錯誤

 「長時間療育」からの多様性の尊重、そしてご家族のキャリアの尊重こそ子どもたちの豊かな育ちがある、といったビジョンのもと走り出した「療保園いろは」です。
 もちろん前例もなく、ベストプラクティスも、モデルケースもございません。頼るべきは、勘。これにつきます。今までの経験と誰にも負けない学びを武器に、素晴らしい仲間が集まり、開園いたしました。(開園前の苦悩は創業ストーリーをご覧ください)
まずは、1日の過ごし方の組み立てから始まり、玩具を揃え、少しずつ時間を伸ばし、給食の提供先を探し、職員の休憩はどう回すか、食事の配置はどうか、誰に誰がついて、どうやって活動を広げていくか、毎日がトライアンドエラーの繰り返し、次々様々な判断を迫られ、次々といろんな予想不可能な事が起こっていきます。「あ〜だから誰もやらなかったんだ」とある意味納得、ブルーオーシャンであることの意味を理解しました。無知というのは時にスーパークリエイティブ。

 試行錯誤しながらもこのチームであったからこそ、それぞれの実務経験や人生経験を活かして、なんとか枠組みを作っていきました。この時期の私は、始バス出勤からの一日11時間をいろはで過ごしていました。できるだけ対話を大切にし、「人と話すこと」を私の仕事の中心としていました。これは今も変わりません。

幸せなことに前向きに、利他主義なスタッフが集まり、ビジョンに共有してくださるご家族がお子さんを私たちに託してくださいました。おかげさまで開設2ヶ月で満員御礼。人的なリソースの質の良さは、今でもすごく私の支えですし、この大変だった時期にあれだけ楽しんで進められたのは、皆様のおかげと心から感謝しています。

オマージュ施設が増えた

1年少々で今まで短時間療育が主流であった、日本の療育業界ですが長時間営業を主とする「1日預かり型児童発達支援施設」や「療育園」という類似施設が増えました。これはいい事だと思っています。まさに保育園・幼稚園と並ぶ「療保園」(商標を弊社で取得しているのでこの言葉は広がりにくいかと思いますが)となれる一歩が踏み出せています。結局、一法人で見きれる範囲もエリアも限られています。みなさんが様々なエリアで長時間児発(児童発達支援施設)を運営すれば、より広いご家族にそのベネフィットをお届けできますよね。それこそ、家庭支援。

オマージュ施設への懸念点

経営上の懸念
長時間児発を始めたものとして、オマージュ施設が増えたことに対して少し責任を感じています。理由は前章の通り「多くがやらない理由があるから」です。療保園いろはは運よくここまで来ましたが、これも運です。長時間開ければ、人が集まってくるというわけでもありません。長時間開けているのに利用者が集まらなかった場合、人件費過多の状態が続くと経営としては成り立ちません。そこで人件費を削減すると、今度は質の担保に不安が出てきます。

ビジョンのフワッと感
オマージュ施設様のサイトは、インスタ含め日々拝見させていただいております。そこで気になるのが、ビジョンのフワッと感。余計なお世話ですが、一日預かることでの「基本的生活習慣の取得」「個性を大切に」が多いです。その先に何があるのかまでが書いていない。創立者の気持ちが載っていないと少し残念です。詳しくは後ほど申し上げますが、療保園いろははビジョンに基づいて戦略的に運営しています。長時間やったら儲かりそう、というスタートではありません。そして決して儲かるビジネスではございません。

SNS運営

開設からSNSでの発信を毎日続けています。フォロワーは986人(2022.9現在)です。とりあえず、「療保園いろは」というなにそれ感を払拭するために日々の活動を中心に発信しています。世界中見てもこのように毎日更新している施設は弊社くらいです。この発信からオーガニックリーチを中心にどこまで広がるかを見ていきました。
現在ではインフルエンサー様のコメント欄等で話題に挙げていただけることも増え、インスタとFB中心でしたが、YOUTUBEにもチラチラコンテンツを上げはじめました。もちろんフォロワー購入、有料広告等は一切出さずの結果です。

コアファン層

実際の店舗営業でもSNSでも一定のコアファンになってくださる方々に日々応援をいただけるようになりました。共通点としては、とても懐の深い方が多いように感じます。おかげさまでトラブルもなく、みんなが気持ちよく過ごせる一つの理由となっています。類は友を呼ぶ、ということだといいなと思っています。

経営状況

児童発達支援施設は、短時間療育が主流とお話ししましたが、長時間であろうと受け取る報酬額に差がありません。もちろん短時間の方が、人件費が削減できることは言うまでもありません。また、人員を最低限にすることも経費圧縮が可能ですが、療育業界、質を担保するためにはそういうわけにもいきません。今回の「療保園いろは」という事業をビジネスの観点から考えると、この〈人件費と質の担保〉と言うところが大きな鍵になりました。
結局のところ、現場を知り、細かく調整すれば利益は出せます。1年以内に二店舗への拡大もできました。もちろん大手が息を巻いて参入してくることはありませんが。それは次の章で。

5Force視点

これは私の周りの尊敬する経営者の方々へ参考までに残しておきます。

業界内部の対抗度

業界的に成長速度は止まっている、幼児教育全般に言えばインフラとしてのこの業界は、いわば少しづつ縮小しているのではないかと思います。しかし、元々の参入企業数が少ないことや需要過多状態が続いていることがこれを見辛くしている要因とも捉えられます。またエリア差も様々ですが全体的に需要過多です。

新規参入障壁

参入障壁の大部分は、管理者の資格取得者が少ないこと、都内ですと物件探しが大変なことくらいでしょうか。既存施設に絶望して退職し起業、と言う福祉人はたくさんいらっしゃるので、あまり利益追及せずに起業というケースも多いです。ノーハウをもとに低価格化と言っても、私たちは独自で受け取る金額を操作できないので、独自性の高いプログラム、長時間化をして低価格感を提供することくらいまでです。利益水準を上げる方法もありますが、それは次の打ち手にしようとしています。気になる方は直接聞いてください。

供給業者の交渉

ここには大手が絡んでいます。大手は私たちの利益率を知っているので、引きはかなり強いです。結局は大手が供給側に回ると言うのは店舗経営よりもそちらの方が旨味があるから、ということでしょう。ここのコスト削減も私たちにとっての課題でもあります。

あとはエンドユーザーの負担が一部であることなども、北極かハワイかで言えばハワイです。ただ中長期的な計画がなければ、走り続けてゴールが見えないホノルルマラソンです。業界には、数十年ホノルルマラソンしている企業が古株としてどんと構えていらっしゃるのも、業界の成長がない理由の一
つかと。

最後に

最後まで読んでいただきありがとうございました。これを書こうと思ったのも、運営から一年試行錯誤する中で感じたことを共有しながら、SNS広告などで「正社1人で子ども3人 利益〇〇万円」といったものをよく目にするようになり、(みんながみんなだとは思いませんが)オマージュ施設も増え、CSRとでも申しましょうか、少し責任を感じていたからです。ビジネス云々の前にお子さんをお預かりするということをきちんと考え、設立をしていただきたい。それでも長時間預かる児発っていいよね!本気でやってみたい、という方はどうぞご連絡ください。他のどこよりもノウハウは持っていますし最短で立ち上げられるかと思いますので。

結局はサービスもそうですが私たちはビジョンを売っています。

〈働く親子の生活を支える 働きながら通える児童発達支援施設〉
子どもたちがいろはで過ごすことによって
発達の心配や医療的ケアの必要な子どもが産まれたとしても
周りと変わらない子育て経験と家族が働くという日常を送れる世界を実現します

株式会社Irohakids

こんな世界になるように、これからも皆様と共に歩んでいけたらと思います。

株式会社Irohakids
大久保遥

駆け出し企業にご支援お待ちしております!!