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イケてると勘違いした男の転落人生

国立大学に入学し、勉強はそこそこにサークル活動やアルバイト、恋愛などかなり充実した日々を過ごすことができていた。今振り返ると、大学時代は毎日楽しかった。戻れるなら戻りたいよ。

卒業後は地元なら誰もが知っている金融機関に就職。髪型とスーツでビシッとキメて、夏には初めてのボーナスでブランド品の腕時計を購入。見た目だけは仕事ができる若手のエリートサラリーマンだったと思う。

大学を卒業する前に彼女と別れたが、入社1か月後に同期で同い年の女の子と付き合うことに。ちょっと可愛かったので積極的に話しかけたら仲良くなってすぐ男女の関係に。簡単だったよ。

身長は163㎝くらいでポッチャリ体型でも積極的な男はモテるよな。

かなり順調な人生を歩んでいたつもりだったけれど、実は奨学金の借金が600万円ほどあり、できるだけ早めに返済したいとは思っていた。

でも、つい車が欲しくなってしまって。新車を200万円、5年ローンを組んで購入。仕事を辞めなければ大丈夫だろうと楽観的だった。

ところが、予想していた以上に仕事が難しく、上司に怒られることが多かった。また、営業を担当していたのだけれど、成績は同期の中でも下の方。彼女にも負けている状況が恥ずかしくなり、一方的に別れを告げて今度は別の社内の女性(年上)と付き合うことに。

「自分にはこの仕事と会社は向いていない」、「もっと自分の能力を活かせる会社はあるはず」と考えるようになり、地元の有名企業を3年で退職してしまった。上司には「お前はどこの会社でも通用しない」捨て台詞を吐かれ、親には「勝手に辞めるなんておかしい」とののしられ、彼女には「無職の男とは付き合いたくない」とフラれてしまった。

こうしてオレは20代で借金約700万円の無職になった。ただ、当時はまだ若かったし、自分の容姿に謎の自信を持っていてイケてると思っていた。だから思い切って上京してみたんだ。

田舎育ちのオレにとって都会は人が多すぎだったし、安い賃貸アパートだったので騒音が辛かった。貯金が少なかったので引越し後は早々に転職活動をスタート。堅い仕事に就いていたこともあり、あっさりと転職先が見つかった。それも正社員で。

しかし、またもや能力不足で上司から怒られる日々。無能な自分を認めたくなくて転職活動を繰り返すが、なかなか落ち着かない。短期アルバイトで食いつないでいたが、本当に辛かった。そんなオレ唯一のストレス解消法は”爆食い”。

毎日4食に加えてポテトチップスやアイスクリーム、ケーキなどを食べまくっていた。すると、当たり前だけれど体重が90㎏を突破。70㎏から20㎏も太ってしまった。おまけに30歳を過ぎてからは髪の毛が薄くなり始めた。

借金の返済もあるし、生活が辛いので何回も実家に帰りたいと親にお願いしたが、実家には親と兄夫婦が住んでいてオレの居場所はなかった。元々兄と仲が悪かったし、親にも散々わがままを言っていたので仕方ない。

そんなオレはもうすぐ40代半ば。未だに大都会に住み続けているが、安アパートから引越しできていない。引越し費用を捻出するのが難しすぎる。

最近は大学時代や働き始めた頃の夢をよく見る。あんなに充実していた日々から20数年経過してクソみたいなドン底人生になっているとは夢にも思わなかった。

体調も悪い日が多い。毎月病院通いで体重はなかなか減らない。このままだと生活保護を頼らないといけないな。

オレはなんのために生きているのか。後悔する毎日を送っている。もっと自分に過信せず、謙虚に生きるべきだったな。


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