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「きく」中心の人生だから #わたしをかたちづくったもの

9年前に、5泊6日の『インタビューのワークショップ』を受講した。これこそが、いまの自分を形成する最大の転機だったと思う。


信州上田にある女神山ライフセンターというところに12の受講者が集まり、6日間の合宿形式で、毎日講義と「コ・インタビュー(co-interview)」=2人組・3人組でお互いにインタビューしあい、観察し、振り返るワークを繰り返す。最後にはペアで45分間のロングインタビューに挑戦し、文字起こし(逐語録と呼んだ)までやる。なかなかハードなプログラムだった。

受講料と宿泊費で13万円ぐらいするインタビューのワークショップに申し込んだのは、前前職を辞めて、新しいNPO職員の仕事を始めてすぐのタイミングだった。当時は、もう結婚していたけど娘はまだ生まれていない、最後の自由な年だった。

インタビューが、あるいは「きく」ことが、自分の仕事の核になると直観していたのだ。


最初の会社ではIT運用からマーケから企画から点々としながら、直販営業の部隊にいて多くのお客さんに会った1年間がいちばん楽しかった。

いまの仕事も、クライアントの話を聞いて整理したり計画したり提案したりするのが価値の中心で、ということは「きく」の質が勝負なわけ。「きく」でコケていたら全部外してしまう。

だから、「インタビュー」という切り口の学びの場に全振りして行ったのはほんとうに良かったと思う。そして、このワークショップが「記事にするテクニック」とかは完全に無視して、「きく」ことに全力で集中するものだったのもよかった。

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hum productの眼が細かいノートに書いたことを今でも読み返す。

・安易に了解しない
・話したい相手が見えているか
・あなたはどんな人で、どこへ向かおうとしているのか
・相手が提出してくれたものしかつかわない
・聴く側が透明である
・相手の考えや感情を正確に言い直す

これらの言葉は、さて、どんな文脈で出てくるのでしょう。


このワークショップを主宰する「師匠」が、西村佳哲さんだ。(古い写真を借りる……)

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ニシさんのスタイルは、カール・ロジャースがけっこう色濃く入っていて、取材よりかはカウンセリングに随分寄っている。それで、まずは聞く側の「自己一致」や、話し手への「共感」を大事にするアプローチも多い。

でも、ニシさん流で9年やってきて、企業への営業もいけるし大学の経営陣や医師の先生へのヒアリングもだいたいいけてるから、まったく場面限定的な手法じゃないと思う。それに『【インタビュー】そのへんの、島でずっと生きていくかもしれない人』みたいなインタビュー記事だって生成できる。もともとニシさんのインタビューは『自分の仕事をつくる』からのインタビュー本が出発点だ。


大事なのはやはり人とかかわりあうスタンス——対面で向き合うのではなく、横並びで同じ風景を見る(inter-view)という考え方と、それを実現するための「ききかた」を繰り返し練習したことだと思う。

ディープな練習をともにした女神山の12人、決して平坦ではない関係性だった。


当時の受講者仲間の何人かとは、今でも時折話すし、SNSで様子を確かめている。杉本恭子さんも、この時の「同期」で、いまでは何かと仕事も頼む、心から信頼できるパートナーの一人だ。インタビューのワークショップの風景は、去年のいまごろ書かれた、きょこさんのnoteにも詳しい。


女神山での6日間は、今年の年末も開催される。
「きく」に全力で向き合ってみたい人には、全力でおすすめしたい。

インタビューのワークショップ 2019・冬の女神山編
ファシリテーター: 西村佳哲
日時 : 2019年12月25日(水)~30日(月)
参加費: 62,000円 +宿泊費69,000円
定員 : 9名
詳細は ⇒ https://www.livingworld.net/megamiyama_winter/



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