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船頭@地域おこし協力隊を募集します

相良藩の参勤交代と人吉球磨の舟運に起源がある人吉球磨の観光のシンボル「球磨川くだり」。コロナ禍、そして令和2年熊本豪雨で壊滅的な被害を受け一時は廃業も視野に入りましたが、国・県の支援、多くの仲間からのサポートで球磨川くだり人吉発船場は不死鳥のように蘇り、観光複合施設HASSENBAとして生まれ変わりました。今年7月で水害から3年が経ち、インフラを中心に復興は飛躍的に進展した一方で経済、観光はまだまだ厳しい状況が続いています。

球磨川くだりは前述の通り、HASSENBAの開業で地域の復興のシンボルとして高く評価されている一方で将来に向けて大きな課題を抱えています。それは船頭の不足と高齢化です。新型コロナウィルスも5類になり、インバウンド客が急激に戻りつつある中で、その需要に応えるだけの人員が不足しており、今回人吉市の支援のもと地域おこし協力隊制度を活用して船頭を募集することになりました。


船頭の仕事

球磨川くだりの船頭に限らず、全国の同業者も含め以前は兼業がメイン。農家や大工と兼業をしながら船頭業務を行う人が大半でしたが、時代は変わり船頭専任が中心となってきた一方で正社員としての雇用、社会保険の適用など待遇が整備されず、結婚や子供ができるタイミングで生活のために離職する船頭が跡を絶ちませんでした。

私が代表に就任して行ったことの一つに船頭の正社員化があります。安定した収入、福利厚生が整うことで安心して勤務ができる環境を整えました。更に業績が伴えば賞与の支給も。これは過去の球磨川くだりでは考えられなかったことですし、このような一般的な企業では当然の待遇を整えることで人材の確保を進める体制を構築しました。では一体船頭はどのような仕事をするのでしょうか。

①船頭業務

球磨川くだりの船頭はもちろん船を漕ぐのが仕事ですが、基本的に二人がペアで運航を行います。船首に立つのが”船頭”で、船尾で櫓を漕ぐのが”とも張り”と呼ばれます。球磨川くだりの中ではあくまで船頭ととも張りは違います。球磨川くだりで特徴的なのは”前舵”システム。一般的な船は船尾側に舵がありますが、球磨川くだりは前にあり、とも張りは推進器の役割を担っています。船頭の見習いになると先ずはとも張りの練習からスタート。上達には勿論個人差はありますが、センスの良い人なら数ヶ月である程度漕ぐことができるようになります。

船頭ととも張りがペアになって船を操作する
とも張りは船の推進役

とも張りが一人前になると次は船頭の訓練を始めます。船頭はとも張りと比較して一気に責任が大きくなります。船の前方にある岩を避けながら、日によって流量が違う水流をかき分けながら操作する判断力が求められます。これまで1人前の船頭になるためには8年かかると言われてきましたが、私は体系的な指導、訓練を行えば大幅に短縮できると考えます。何故なら本業のシークルーズにて天草で数十年間に渡って船長を務めていますが、基本的に2〜3年あれば十分なレベルに達することが出来るように指導してきたからです。同じようなことは寿司職人を始めとする料理の世界でも言われています。「背中を見て覚えろ。10年は皿洗いや丁稚で修行だ」みたいな馬鹿げた話はあり得ません。実際に寿司学校を卒業して間もない職人たちが運営する店がすぐにミシュランガイドに掲載されることが普通に出てきています。勿論、超一流になるためには相応の経験が必要なのは間違いないですが、教育方法次第で一人前になるまでの期間は大幅に短縮できるのが現代の常識だと考えます。そんな精神論ばかりやってきた日本の伝統産業が軒並みなり手不足になっているのは偶然ではないのではないでしょうか。

球磨川くだりでは業界の慣習を打破し、出来るだけ早い期間での船頭育成に務めて行きたいと考えています。

②ラフティングガイド

川下り会社が面白いところが伝統的な船頭業務に対し、海外発のアクティビティ「ラフティング」のガイドも兼務するところ。全国には球磨川くだり以外にも保津川下りなど船頭がラフティングガイドを行っている会社がいくつもあります。ラフティングとはラフトと呼ばれる大型のゴムボートに乗って川を下るウォータースポーツ。世界各地で行われており、アメリカやカナダ、オーストラリア、ニュージーランドなど先進国だけでなく、ジンバブエやネパールなどでも盛んに実施されています。

日本三大急流の球磨川でのラフティングは国内でも有数の盛んなエリアであり、20数社が乱立するほど。当社のラフティングは現在、他社が行う球磨村一勝地をスタート地点とした急流メインのコースではなく、人吉市内のHASSENBAまたは温泉町からスタートし球磨村渡りまでの少し穏やかなコースで実施しています。当コースは家族連れや女性グループ、インバウンド客にも安心して気軽に参加できると好評を頂いています。実は当社においてラフティングに関しては水害前を上回る水準で参加頂いていまして、その理由としてHASSENBA再建の際にラフティング倉庫、更衣室、シャワールームを完備した拠点KUMAGAWA BASEを整備した効果が大きいと考えています。設備の充実が当社の魅力となっているのではないでしょうか。

ラフティングは人気のウォータースポーツ
全国有数のラフティング拠点施設と言えるKUMAGAWA BASE

③運行業務

船頭やガイドのほかにもう一つ重要な仕事は川下り、ラフティングで下流まで下ったお客様を出発地点まで送迎する運行業務。当社にはハイエース2台、マイクロバスが2台の計4台の送迎車がありお客様の輸送業務を行っています。資格の取得が進めば4トントラックやクレーンを操作しての船の輸送業務も担うことができます。

運行業務は船頭の重要な仕事

④メンテナンス業務

船やボートを使用する以上、メンテナンスも大切な業務。手入れをまめにしないと船やボートだけでなく櫓や舵、パドル、ウェットスーツなどの備品もあっという間に傷んでしまうし、それが安全性の低下に繋がっていきます。船のメンテナンスに関してはKUMAGAWA BASEだけでなく、提携するシークルーズマリーナでFRPなどの補修作業も行なっています。アクティビティは安全第一であり、そのような観点からも当社はメンテナンスを重視しています。

メンテナンスの拠点でもあるKUMAGAWA BASE
年末恒例の竿納め。1年の汚れを丁寧に落としていく

募集要項

今回の船頭募集にあたり、総務省の規定に基づいて下記の要項で募集を行います。応募窓口は人吉市になります。

勤務場所
球磨川くだり株式会社 熊本県人吉市下新町333−1

求める人材
【必須スキル】
①人力による木舟の操作に興味があり、船頭見習いとして楽しく案内をできる方
②心身ともに健康で、上記事業内容に対して、熱意を持って取組むことができる方
③普通自動車運転免許の資格を持っている方

応募方法
申込受付期間
令和5年7月24日から令和5年8月31日まで

募集要項
令和5年度地域おこし協力隊(観光分野)募集要項 (PDF 705KB)

応募書類
令和5年度地域おこし協力隊申込書 (Word 20KB)

作文  
【課題】人吉市で果たす自己実現
 A4用紙1枚(様式自由、写真等入れてかまいません)

応募方法
持参又は郵送、メールに添付

川側から眺める球磨川くだりHASSENBA
復興のシンボル観光複合施設HASSENBA
球磨川は急流でありますが、美しい清流でもあります
カフェは地域の憩いの場となっています

最後に

球磨川くだりは人吉の大切な観光のシンボルです。100年以上の歴史があり、このままではその歴史が途絶えてしまいます。当社では人吉の復興、観光活性化に貢献して頂ける船頭候補を心からお待ちしております。興味がある方はお気軽にお問い合わせください!

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