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【Interview】バーチャルマーケット2023 リアルinシブハラ 株式会社ビームスの滾る熱意

2023年12月16日と12月17日の2日間、原宿と渋谷の両地域においてリアルイベント「バーチャルマーケット2023リアルinシブハラ」が開催されている。
当記事ではイベントマップ途上にある「ビームスF/インターナショナルギャラリー ビームス」にて、株式会社ビームスの松下氏をはじめとした方々から伺った、BEAMSブランドがVRコンテンツに掛ける熱意を記載していく。


はじめは鶴の一声でのエントリー

 VRChatには日々多くのユーザーが集い、そしてそのユーザーの動向を聞きつけた企業もじわじわと参入を果たしている。
特に定期的に開かれる展示会系イベントに協賛企業や協力企業が付く事も、段々とメジャーになりつつある。
そういった中で全く未知の業界から殴り込みを掛けてくる企業も存在する。
その一つがファッションブランド「BEAMS」を擁する株式会社ビームスだ。


 株式会社ビームスは先述した通り、ファッションブランド「BEAMS」を展開する企業であり、その本領は現実世界に軸足を置いている。
仮想空間上で展開するサービスとの親和性が必ずしも高いものとはいえない同企業がこの業界に参入したのは、社長の一声だったというのだ。
実際にVRChatをはじめとしたVRコンテンツに触れた所、この世界の可能性を感じ取ったのか「面白そうだから、やってみろ」という指示が降りてきたのだという。
通常この手のコンテンツはあくまで関心のある一社員、一部署から事業がスタートするというケースが多い。
トップダウンでその指示が降ってくる上に、右も左も分からない中で担当者たちがコンテンツに放り込まれる事例というのは極めて稀だろう。

 指示を受けてVRChatに入り、コンテンツに親しんだ結果として起きたのはVRコンテンツに対する強い好感であった。
こういった領域に対して素人であった彼らは、あっという間にコンテンツのノウハウを吸収。2021年に開催されたバーチャルマーケット5に初出展を果たすまでに成長する。
こうしてリアルとバーチャルが交差する企業として、株式会社ビームスは新たな活躍の場を得たのである。

VRChatマスコットアバター ベニスマンとの熱い出会い

 翌年のバーチャルマーケット6にて、株式会社ビームスは大きな決断を行った。
それが自分たちのVR出展コンテンツに、ギャップのある要素を追加しようという話である。
ファッショナブルなフロアと遊び心のあるフロア、この両方を兼ね備えたブースを作るという目標が設定されたのだ。
そうなると次はキャラクターの選定であるが、ファッションブランドであるBEAMSによく合う水着を着たキャラクターはそうそう居ない。
そんな中で巡り合ったのが、VRChatの一部界隈で大人気である「ベニスマン」である。


 燦然と輝くメガネとガッチリとしたボディに刈り上げた髪と眩しい水着。
そのキャラクター性に惚れ込んだのか、ブース内にベニスマンを設置。
お風呂に入るベニスマンの姿は果たしてどういう印象を与えたのだろうか。
当時を知っている皆々様ならお分かりだろう。
この選定を以て、株式会社ビームスの「センスの良さ」がVRChat上に知れ渡ったのである。

企業広報活動としてのバーチャルマーケット

 結構な数の企業が毎回参入しているバーチャルマーケットではあるが、そこに継続してブースを出し続ける企業は実はそこまで多くは無い。
また企業によってはバーチャルマーケットではなく、独自のワールドを制作しそこに自社のコンテンツを出展するといったケースも見られる。
そういった中で、何故株式会社ビームスはバーチャルマーケットにブースを出し続けるのか。

 この問いに対する回答は極めてシンプルであった。
先述した企業の独自ワールドは、開場当初こそ注目されるが継続的に来るのはコアなユーザーが中心となる上に、訪れるユーザーがどれだけ拡散してくれるかという点でも予測が出来ない。
しかしバーチャルマーケットの様なイベントであれば、海外からの来場者も多く見られる為継続して出展するメリットは十二分にあるとの事であった。

 また、ファッションブランドとしても今回株式会社ビームスは思い切った決断をしている。
現実世界のファッションコーデは勿論のこと、VRChat向けのよりアバターに映える服装をなんと2種類も独自にデザインし実装。
これについても「ファッションブランドとして自分たちの文化を押し付けるだけではなく、きちんとリスペクトした物を出していきたいという事で提案した。」と語る。

 もちろん実際のバーチャルマーケット期間中は、現実世界の接客同様にVRChat内でのブースにおける稼働シフトを組んで接客も行っている。
別の店舗から原宿の店舗まで応援に社員が駆けつけ、勤務時間中に接客を行うというリアルもバーチャルも忙しく稼働し続ける同社の姿勢はVRChatユーザーから高く評価された。
メーカーの公式ショップではなく「バーチャル空間上のメーカー店舗そのもの」を毎回全力で作り出しているのである。


 結果として押しも押されもせぬ存在感を示す事となった株式会社ビームス。
現実世界におけるファッションの価値を仮想世界に「浸透」させる同社の戦略は、まだまだ大きな潮流を生みそうである。


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