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夢見る琥珀糖

春萌は色とりどりの琥珀糖を白湯に入れた
緑は緑に赤は赤く色を残して溶けていく
そうして黄色や青、橙と次々に溶けていった
少しして春萌はストローでそれらを混ぜてみた
グラスのなかの白湯は黒く濁った
不穏な黒が揺れるのを春萌は見つめた
それからグラスを手にすると一気に飲み干した
その途端、春萌は絨毯の上に倒れた
体はどんどん重くなり意識がだんだん消えていく

なにしてるの

母親の声がして春萌は目を開けた
春萌は怠そうに起き上がると部屋から母親を追い出した
十六歳、春萌は今を止めたかった

春萌は小さくため息をつくと鏡を見た

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