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俺サピエンス未来史 - ロンドン封鎖日記 第2波 #8

あれよあれよと3月突入。大した変化もない相変わらずのロックダウンワールドです。ただ、年末年始に爆裂してたイギリス感染グラフがようやく急降下を始めました。ピーク時は千人超えだった1日の死者数も200台まで下がりました。ワクチン投与も爆速で進み既に2千万人が強化人間化。開発期間も含め、驚愕のスピードです。

米英のように大打撃を受けた国が、追い詰められたが故に覚醒して課題をねじ伏せていく。普段は個人主義でバラバラなイギリスも、今回ばかりは驚くべき団結力と科学力を発揮。本気出すとすげーなイギリス。欧州各国のような「アンチワクチン派」的なフワッとした非科学話も全然聞きません。確率論優先。議論の余地無し。他国がもたついてる間にガンガン経験値を積み上げて次のステージに進んでいきます。ロックダウンも含めたこの強烈な経験を推進力に変換していく、アングロサクソン連合の合理思考パワーですね。今のところ宗教とか政治癒着みたいなものが足を引っ張る気配もないですし、パンデミックが収まる頃には、なんか色々レベルアップしてるかもしれません。

第2波脱出の光が見えて、テレビもロイヤルゴシップとか流す余裕も出てきました。先日ボリスさんが発表した段階的封鎖解除プランの第一弾「学校の再開」も実行されました。7月までかけて、徐々に店舗施設を再開していきます。そしてその頃には全成人は強化人間になってる予定という訳です。春の到来と共に人類の反撃が始まる。次の冬までにどこまで巻き返せるか。もはや強化人間でなければ新世界復興もままならないのです。

タイトル絵回収

タイトル絵は「It’s a sin」というドラマシリーズのファンアートです。80〜90年代のパンデミックといえばHIVで、爆心地アメリカの状況を扱った映画やドラマは数あれど、この作品は当時のロンドンが舞台で新鮮です。この頃のロンドンかっこいいわ。アングラサブカル全盛期、僕よりちょい上世代の先輩方の青春時代です。15年前僕が渡英した頃には、この雰囲気もちょっと残ってましたが、良くも悪くも今やすっかり普通のモダン都市になってしまった感。当時の社会無知は酷かったけど、その分カウンターカルチャーも強かった。アメリカと違って既にわりと人種問題は克服してたんですねえ。未知のウイルスの脅威に振り回されながら、それでも生き抜こうとする若者達。どんな時代だって人は訳もわからずただ必死に生きるだけなのです。

タイトル回収

前回のコラムで書いた「人類史の99.99%、僕らは木の上でナッツ食ってた」って妄想駄文の続き。僕たちはついさっきまで猿だったのに、それが突然覚醒して爆発増殖、地球環境に影響を及ぼしたり、火星と通信するまでになりました。

人類史で民族移動は度々あり、その都度新たな文化が生まれてきましたが、現在では世界規模での人の往来が日常になり、多様な人種や文化が広がって混ざり合っていきます。色んなものが混ざると、互いに影響し合い学習や変化が起きます。そして勿論衝突も。その狭間で、安定期までの通過儀礼として、ナショナリズムやポリコレみたいな事が発生したりします。

戦争の時代が終わり、人間が増え過ぎて過密になった環境では、少子化が起きたりパンデミックが起きたりして人口調整が入ります。自然ってほんとよくできてます。際限なく膨張(あるいは圧縮)する物質はある時点でで自壊してしまいますが、調整が入るということはそろそろ人口限界値という事なのかもしれません。

ここまで辿ってきた過去と、その上に成り立つ現在。ではサピエンス未来史はどうなっていくんでしょうか。

俺サピエンス未来史

最先端のつもりでいる僕たちですが、現代人の脳は実は退化してるらしいですよ?書物やコンピューターなどの登場により、記憶や単純情報処理を外部に出した結果、脳はその負荷から解放されました。と同時にその能力が退化し始めたという訳です。タイピングばっかりで漢字が書けなくなる的なアレです。

狩猟時代には、五感情報の解析や身体制御、空間把握による索敵や安全確保、それらの記憶など、統合されたハードとソフトで、生物としてのフルスペックを発揮していたとのこと。なのに今や僕らは、ロックダウン引きこもり、ソファでスマホでネトフリな毎日です。生命の安全が確保された環境下で限定的情報だけ大量に処理しています。社会生物として「ゴシップ」という情報共有は最重要自己防衛行動と言われますが、それも行き過ぎて自らを燃やしがち。視聴覚とソーシャル脳だけ酷使して、その他のハードウェアは鈍りっぱなし、このままじゃ本当にグレイ型エイリアンみたいな進化に向かいそう

情報処理の外部委託で脳と体の負荷が減ったのなら、その余剰分の処理能力で僕たちは何を始めるんでしょうか。絶滅の危険が低い生物は、大量の子孫を残す必要がなくなります。テクノロジーによる分業や合理化が進み、過度の競争も不要になっていきます。したがって世界人口は安定値まで減少、環境問題の整備などで分散分布も進み、ネットワークで情報並列化。余剰処理能力はクリエイティブに費やされていって、わりとマジでグレタの理想郷のような未来がやってくるのかもしれません。

今現在しか見ていない人達は「ポリコレうざい」とか「ノイジーマイノリティ〜」とか言っちゃいがちですが、長い目で見ると、世界はいわゆる意識高い系な方向へ向かって行くのは必然な気がします。原理的に意識低い系社会は衰退滅亡に向かうしかないからです。老害とか呼ばれちゃう古い細胞が代謝して、新環境に最適化された世代が新世界を作っていきます。アニメだったらスペースコロニーの無重力下でニュータイプ出現、それに対応しようと強化人間出現、みたくなるところですが、実際は意外と静かに、風の谷みたいな黄昏に向かうのかもしれません(と言いつつ、実はあいつらも改造人間なわけですが)。

もし一億年後くらいに生まれ変わったら、バーチャルアーカイブとかで一気見したいもんです。


いつの世も、アーティストという職業はファンやパトロンのサポートがなければ食っていけない茨道〜✨