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あるイラストからの創作詩

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Twitterで絵を創作題にして書いた詩です 📌Twitterリンク先を貼ってあります
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記事一覧

花と毒       #藤丸

短刀を腕に当て 僕の毒を グラスへ注ぎ入れ グラスの中の毒を 蟲に数滴垂らし 毒の強さを 試してみるんだ 蟲の苦しむ姿に 僕の毒の濃さを知るだけで… そんな僕は 白い花の 何度でも咲き誇る 解毒力の強さに 魅入っているんだ

Hot珈琲

また 今日も昼と夜が混じり合う 刻が来た 空に似せた Hot珈琲を淹れ 夜に染まる 空を眺めるんだ

歩調

手を伸ばせば 届くと思ってたんだ でもまだ 足場が低いみたいで まだまだ 登らないと 届かないみたいなんだ 足取りは 誰よりも遅いの 知ってるんだ 誰よりも知ら無いの 分かってるんだ でも 僕なりの 真っ直ぐな道なりなんだ

錆びた街

錆びて寂れた廃墟の街 足音だけが響く 高層の 朽ちた建物の狭間に 私は埋もれて居て 見えぬ空を 何時も見上げていた 朽ちた建物の 屋上まで行けば 空に近付けるのかな と登った 此処は無音だ─ 広いと聞いた空なんか無かった 旗を持って居ても 誰も気付かない 霧が全てを隠すんだ

柑橘

飲み込んだ 柑橘の実の 思わぬ強い酸味 触れた所から 口が爛れていくんだ 果汁がジリジリと 喉を焼いて 声も出せず藻掻く 柑橘の実の落ちた 腹の中から 此の身を焼け爛れさせ 溶かしてく

赤錆の扉

城を上回る程の 巨大な鉄の扉 長い年月が 扉を錆び付かせた 扉の赤錆が 城に降り注ぎ 城を赤錆び色に染めてしまう程 何年も 此処は静かだったんだ それが今、 赤錆の扉を あちら側から叩くモノが居る 怒号の様な叩く音と共に 地鳴りが響き 鉄錆と土埃が 舞っているんだ

フランケン

冷たい鋭利な刃の感触を 肌で知る 皮膚を裂く刃が 血を滲ませ垂れていく 身を撫で切る瞬間の 痛みの刺激を 自分の躰を切り刻まれて 知るんだ そして 僕は僕の血肉が赤色か 確認してしまう 縫い留めた跡は 不揃いで 隙間から血肉が見えて 僕は 縫い傷だらけの 酷く醜い姿だ

針の筵

僕の醜さを嫌う者達が 地上に 足を触れる事さえ 許さなかった 浄化の炎で 其の身を焼いてしまえと 神聖な蠟燭の炎で 僕の身を炙る 歪に膨らんだ水疱が 身体を侵食する 爛れた皮膚が腐り臭いだした 僕の意識も身体から 剥がれ落ちて逝く

寝物語

今夜は寝物語に 何を聞かせようか 代々呪われた者達の話 無惨で残酷な話 欲にまみれた者達の話 恐怖と不愉快な話 と、 目を覆いたくなる様な話をして 目を閉じさせていく 私の寝物語を聞いた者は 目覚める事が無く 悪夢の中を 彷徨い続けている

コインランドリー

蛍光灯の心許ない灯り 締め切った中では カビ臭さを感じる 誰も居ない… と 気兼ねなく 長椅子で横になり 天井を見上げる 気持ちに不安があるからか 天井や壁の 黒い染みが 私を覆い隠そうと してるみたいだ 此処の空気を 吸っていたら 私自身も カビ臭くなるのかなぁ…

黄昏の赤い森

ブランコに乗って 僕は謳う 赤い霧の森は 風が鳴かないよ 木々は揺れるよ 枝が傷付けにいくよ 蔦が根が 足音を追い掛けるよ 逃げる者に傷が増える 赤い霧が 段々と濃くなる 逃げる者の姿も 赤く濃く染まっていく

黒い大地

僕等は 祈り歩き続ける 此の黒く染まった大地を 種を撒き 足で踏み固め 水を垂らして行くんだ 石の様に硬い種よ 芽吹けよ と 灰の様に軽い土よ 種を育てよ と 希少な水よ 命を与えよ と 無限の黒い大地の世界で 祈り種を撒く事しか出来ない僕等の 黒い大地の巡礼だ

靄の街

闇夜に薄く浮かび上がる 丸く白い靄の中に 灯りも音も無く 何も気配が無い様子に 廃墟の街かと 覗き込み 変化の無い世界に 興味を失う ランタンを拾い帰るかと 振り返り 離れて見ると白い靄は 髑髏の様で… そうか 此処は髑髏の街 建物と見えた物は 墓石の群れ 死に逝く者達の街なんだ

兵士

街を瓦礫に変えていく 火が街を燃やし尽くし 屍も焦げた臭いをさせる 武器は壊れて散乱 燻ぶる火が 煙を未だ出し続けている 服は腐敗臭と焦げた臭いのままで 僕は此の街を出ていく 僕の背後には 戦の残骸が在るだけだ あるイラスト⤵️