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自然観察会のコツ!「質問に観察で返す」

2024年3月24日(日)に開催した自然観察会は大成功!
フクジュソウが雪を突き抜けて咲き始めるようす、ゴジュウカラが繁殖用の樹洞(木の穴)を内覧しているようすを観察して、雪の下から出てきた土の香りを嗅いだり、目を閉じて野鳥のさえずりや雪どけの音を探したり・・・豊かでした。参加された方の「なんじゃこりゃ!?」をたくさん取り挙げられたのがよかったです。ガイド側がなにかネタを用意しても良いのですが、参加者のみなさんの発見をみんなで共有するのがより楽しい自然観察会のエッセンスだなとつくづく実感します。場のムードの点火はガイドがやるけど、あとはどうぞみなさんのご興味のままに!という流れが、とても充実した時間を作ってくれます。


参加者アンケートを読む限りでは、「採取した土は元の場所にそっくりそのまま戻そうね」とか、「ゴジュウカラが繁殖をやめちゃうかもしれないから近づくのはやめようね」とか、自然を大切にする姿勢も見られてよかったという感想をいただき、NACS-J流の「自然観察からはじまる自然保護」のスタイルも実現できたなぁと感じました。

今回の自然観察会で一番うまくいったのは「質問に観察で返す」ということでした。何のことかと言うと、これまでは参加者からの質問に対して解説(口頭での説明)で返していたのですが

① できるかぎりその場にある自然(本物の自然)の観察を介して質問に答える
② ①を参加者・ガイドのみんなでやる

ということを徹底したのです。
たとえば、フクジュソウという植物は時間帯によって花の向きを変える性質があり、観察会の初めと終わりで向きが変わったかどうかを調べました。このとき、参加者の方が「どうですか、向きは変わったんですか?」と質問。ここで「30°くらい傾きましたね!」と真正直に答えても良いのかもしれませんが、せっかくの自然観察会なので「どう思われます?観察会のはじめでは北東を向いていると(あなたから)大熊に教えて下さいましたよねー」と返し、「みなさんはどう思われます?向きが変わったと思います?」と参加者のみなさん全体にも返し、答えをさぐるための観察を促しました。次第にちらほらと「ちょっと南向きになったかも!」「5株あるうち2~3株はこっちを向いたかも」という声が聞かれ、うまくいきました。ガイドによる解説は決して悪ではありませんが、解説が参加者のみなさんの「気づきをシェアする機会」を覆い隠してしまうことがあります。自然についての気づきをシェアすることこそが自然観察"会"なので、解説も使いどころが肝心だなーということを確認し、強い実感を得ることができたので、個人的にステップアップできたなーと感じました。

「どうなんでしょうね?いっしょに観察して考えてみましょ!」
質問に観察で返すための魔法の言葉。これは今後も使っていきたい。

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