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金本位制には一つの信念があった ゴールド81

どれぐらいの貨幣の量が適切かは誰にも分からなかった。

ほとんどの人は自分が今持っている貨幣よりももっと多くの貨幣を欲しがる。だが、貨幣が簡単に手に入るとインフレが起こり、全ての余分な貨幣は価値を失ってしまう。貨幣量が増えると貨幣の価値は下がってしまうのだ。

一方、金は地球の産出物であり、経済学者や金融業者によって作り出すことは出来ない。輪転機を回して紙幣を自由に作り出すように、金を自由に作り出すことはできないのだ。


そして、金本位制は法律となった。金本位制のもとでは、国家が貨幣の供給を管理するにあたっては「人間よりも貴金属が上位」に置かれていた。

この金本位制の根底には一つの信念があった。自由市場には政府立案者よりも金の価格変動に表れる優れた能力があるという信念だ。

金本位制では、金によって抑制と均衡のシステムが支えられ、貨幣の供給は多過ぎることも少な過ぎることも決してないと考えられていた。


でも、価値の最終的な基準そのもの -金、ゴールド- の量が増え始めたらどうなるだろうか?

「価値の最終的な基準として、大量に発行される紙幣」と「価値の最終的な基準として、大量に供給される金」は本質的に何が違うのだろうか? 

もちろん、地金委員会のメンバーは金の供給源である新しい金鉱が発見されるかもしれないと認めていた。しかし、カリフォルニア、オーストラリア、クロンダイク、南アフリカなどでゴールドラッシュが起こるとは彼らは全く考えてはいなかった。


ゴールド 金と人間の文明史 ピーター・バーンスタイン


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