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金本位制はついにクライマックスを迎えた ゴールド121

1968年は歴史の転換点となる年だった。

その年は過激なデモと社会不安が生じていた。合衆国では共和党候補者が1956年以来の大統領となった。フランスではド・ゴールが権力の座から滑り落ちた。世界中の政治指導者はインフレが加速する脅威と混乱に対して激しい戦いを繰り広げるようになった。

貨幣本位としての金の役割は終わった

金にとっての転換点は、1968年3月、金プールの活動を中止するという決定だった。これにより自由市場での金の価格には、底値も天井もなくなった。金は投機家や一般市場のものとなったのだ。そして、貨幣本位としての金の概念はボロボロとなり、その役割をついに終えた。

それでも、金融システムとしてのドルは1オンス35ドルとして公式に金と結びついていた。問題はドル自体もボロボロで、しかも合衆国の金準備が激減していることにあった。

こうして、金本位制はクライマックスを迎え、そこからまったく異なる体制が生まれることとなった。


役に立たない金属と本当の富の違い

ミダス王は最愛の娘を抱きしめることによって、彼女を金の彫像に変えてしまった。ノーマンは、イギリスが125万人の失業者を抱えると同時に、世界で最高の信用を勝ちえるという光景にこのうえなく満足した。

そして、ド・ゴールはアングロサクソンに復讐し、彼らをフランスの前にひざまずかせてやろうとの野心に駆りたてられて金を退蔵した。

彼らは、金の退蔵を盲目的に追求したため、役に立たない金属と本当の富の違いが分からなかったのだ。

この教訓を、1960年代以降の30年間に指導者となる人々は学ぶことができた。


ゴールド 金と人間の文明史 ピーター・バーンスタイン

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