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59「欲求」と「欲」の違い

最近、『倫理用語集』という本を寝る前に読んでいる。Youtubeで「哲学を入門的に勉強するならこれが良い」というのを見て、最寄り駅の本屋さんで早速買ったのだ。

倫理と聞くと「人として」とか「道徳」とかそういうイメージが沸くのだけど、この本は、パラパラと全体を見てみると、発達学から始まって、宗教、哲学、思想、現代社会の様々な課題まで、要は広く扱っている。

その本の中に「欲求」の説明欄があって、そこには、”人間の内部に生まれた生理的・心理的なアンバランスを回復するために、行動を引きおこす原因となるもの”と書いてあった。

僕は今まで、欲求があるからバランスを崩すのだと考えていたのだけど、この本には逆に書かれている。僕は新しい見地を発見したようで、ほお、なるほどと、本を脇に置いてしばらくベッドの上の天井を見ながらそのことについて考えていた。

「アンバランスを回復するために……」

しばらく考えて、これは「欲求」と「欲」の違いなのではないかと思った。

「欲求」は、本にもあるように、最低限の、健全な、心の平衡を保つためにあるものであり、僕の考えていた、バランスを逆に崩してしまうような過度な欲求のことを「欲」と呼ぶのではないか。

もちろんこれは、自分が分別しやすいように言葉を分けているだけなのだけど、そうして言葉を分けて考えると、「ヨク」にも二面あるのだなと気づく。というより、今まで「ヨク」と聞くと、悪い方のイメージが先に立ってしまって、良い意味で捉えることを忘れてしまっていたと言った方が正しい。

回復するという言葉を辞書で引くと、”悪い状態のものをもとどおりにする”とあるから、これはきっと間違いなく良いこととして書いてあるのだろう。

そこまで考えていたことがストンと自分なりに腑に落ちて、ふと次の疑問が浮かんだ。

「"もと"とはどこだろう?」

生まれた時の状態だろうか、子どもの時だろうか、大人になってからの話だろうか……

新たな疑問が頭に浮かんで、僕はその答えを探すかのように本の中に目線をまた戻すのであった。

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