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雑文(56)「むしゃくしゃしてやりましたは通用しない」

 ネット掲示板の切り抜き記事を使って週刊誌宛てにでたらめな情報を送った、むしゃくしゃしていたに違いないが、それで晴れることはなかった、あの桜ノ宮彩子の不倫情報でとにかく誰かの不倫情報を流すことで落ち着きたかったのだ、でも予想に反して私の気持ちは募るばかりで、どうしようもない感情を消すことはできなかった、この憎しみはきっと一生残るだろう、朝夫の顔を見るたびに思い出してしまうだろう、どんなに忘れようと思ってもきっと思い出してしまうのだろう、私はあきらめに近い感情を抱きながら、桜ノ宮彩子がこの感情を代わりに引き受けてくれないかと、それが私自身の救いになると信じる他なかった。

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