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「学級開き」はたった30分間に何日もかけて

 一年間で最も大切な授業はどれかと問われたならば、私は、迷わずその年の一番初めの授業だと答えます。始業式の後に教室で行うあの学級活動です。なぜなら、その1年間の「教育」は、この1時間で決まると言ってもよいほどだからです。

 だから、授業プランを何日もかけて構想します。

 「1時間」といっても、私の地域では、実際は45分間も取れませんでした。年度初めの配付物などもあり、30分間が限度でした。このたった30分間のために、私は何日間もプランを練り続け、準備をしました。
コスパが悪い?いいえ、その逆です。この1時間をいい加減にすると、かえって後で時間の損をします。後々、同じ指導を繰り返さなければならなくなり、その上、苦労の割には効果が上がらないということが、幾度もありました。「出会い」と「スタート」の緊張感を活かすことで、その先に響く教育効果が期待できるのです。

 「初めは自己紹介程度にして、翌日から追い追いやればよいので?」「そうか!初めにビシッとやるわけか…」などと思われた方がいたとしたら、私とは異なる考え方です。むしろ、逆です。「学級開き」=「初めの授業」の「ねらい」が違うのです。たったの30分間であっても、私は、できるだけ多くのことをねらいたいのです。「まだ最初」であっても、できる限りその一年間の教育の核心に迫りたいのです。
 
その理由は、次の「大きなねらい」に迫りたいからです。

大きなねらい:どの子も次の日から安心して登校できるようにしたい!

 そのために、私は、多くの場合、次の5つの「小さなねらい」を立てて最初の30分間に臨みました。

① 「このメンバー、このクラスでひとまず良かった」という思いを少しでももてる。

② 「この先生が担任でまあまあ良さそうだ」という思いを、少しでも(ほんのちょっぴりでも)もてる。

③ 「この学年、この学級はこんなことを頑張ればいいんだな」と、次の日からまず自分が何をしたらいいのかが、分かる。

④ 「今までの自分でいいんだ、今までの自分でやっていけそうだな」という思いを少しでももてる。

⑤ 「何だか今年は、新しい自分になれそうだ」という思いをほんの少しでももてる。

 では、この「大きなねらい」・「小さなねらい」を達成するために、具体的に30分間をどのように展開したのか。それは、次の記事でお伝えします。

 ところで、上記のねらいを達成するためには、私などは何日間も考え続けなくてはなりませんでしたが、力量のある方なら、「この程度、わずかな時間で大丈夫!」なのだと思います。そんな私の「ヒント帳」ですが、今後もお読みいただいたり、ご意見やご感想をお寄せくださったりしたら幸甚です。