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虫とりは時間を十分に取ることで見えない虫が見えてくる

この時期、生活科や総合的な学習の時間などで、主に低学年の子供たちに「虫とり」の活動をさせることが多いと思います。

その時のポイントの一つとして、私は「時間を十分に取る」ということが挙げられると考えます。

その理由は、見えなかった「秋の虫」が、時間が経つと見えてくるからです。

これまで、何度子供たちを草むらに引率しても次のような様子になりました。

手に捕虫網を持ち飼育ケースを下げてやる気満々の子供たちを、目的地の草むらに連れて行くと、初めのうちは、ほとんどの子供が目の高さを飛び交うトンボ相手に網を振るうだけでした。

歩いていると足元の草の間から何かがぴょんと跳ねるので、それを目で追う子もいるのですが、すぐに見失ってしまいます。

そのうち、きっと虫とりに慣れている子なのでしょう。
「捕まえた!」
という声が上がります。

何人もで、その子を囲み、獲物のショウリョウバッタやらトノサマバッタを見て、「いいなあ」となるのですが、そう言っている自分はちっとも取れません。

では、その草むらには虫たちがいないのかというと、実はそんなことはありません。
たくさんいます。
いるのですが見えないのです。

目は見えたものしか見えません。

私は地方の小学校で勤務していたので、関わったほとんどの子供たちは少なからず自然の残る地域で生まれ育っていましたが、そんな子供たちでも、「見えない」のです。
特に最近はその傾向が強まっているように感じていました。

だからといって、早々に学校に引き上げたり、「仕方がない」などと判断したりしてはいけません。

やがて10分、20分と経つと、「いた!」「見つけた!」「とれた!」という子が増えていきます。
どの子供たちもそうでした。
少し前まで見えなかった虫たちが見えるようになるのです。

私は、「分かる」とは「見えなかったものが見えるようになること」と考えていますが、この場合は文字通りに、時間が経つと草むらにいるバッタの仲間たちが見え出すのです。

それでも「よく分からない」という子に対しては、一緒に探してやればいいのです。
そして、ぴょんとはねた瞬間にそこに網を被せれば、多くの場合その網の中に生き物がいて暴れています。
それを数回繰り返すと、その子供も自分で「見える」ようになります。

虫とりで子供たちを草むらに連れて行ったら、子供が「見える」ようになるまでちょっと待ちましょう。
必ず自分で見えるようになります。