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友達とカレンダーを共有して遊ぶFRYDAYS📆がすごい!!

こんにちは。今日は華金ですね。石ころです。(@ishicorodayo)

先日、Picon株式会社がリリースした新作プロダクトが話題になっていました。カレンダーの予定を友達と共有できるというSNS。その名もFRYDAYS。

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今はアイコンがFRYDAYS2020になっていますが、これが来年以降はFRYDAYS2021と増えていくのでしょうか。アプリの画面は以下のようなイメージです。

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(画像はアプリストアより)

会話にはキッカケが必要という話

実は人間はキッカケが無いと特に話すことがないコミュ障であり、コミュニケーションには必ずキッカケとなるエサが必要だったりします。友だち10人に毎日「元気?今何てしるの?」と送るわけにもいきませんが、インスタグラムのストーリーズに友達が今日行ったお店の動画がアップされていれば、DMでそれについての会話が自然と始まります。このインスタの動画からDMへの導線や、Zenlyの位置情報をベースにしたコミュニケーションというのは既にご存知かもしれません。FRYDAYSは、カレンダーの予定が会話のキッカケになりうることに着目したと言えます。

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どんな人でも一日の予定というのはあると思います。本来それは他人に見せるようなものでは無いかもしれませんが、意外に共有しあったら面白いものですし、仲の良い相手でも意外に、今日どこで何をしているのかは知らなかったりするので、共有しないのはある意味もったいないです。(全員が全員インスタに日常を投稿する訳ではないですし。)

僕も週1でビデオ電話をしている友達がいますが、今この瞬間彼が何をしているのかは知りません。一度その友達とGoogleカレンダーや後述するTimeTreeを共有しあったことがあるのですが、その時は意外な情報がたくさん知れて、そこからチャットにも発展してすごく面白かったです。

働いているビジネスパーソンはGoogle CalendarやOutlook Calendarを上司だったりチームメンバーと共有しているのではないでしょうか。上司の1週間のスケジュールをチェックしたり、同僚の会議の予定を見て、チャットでちゃちゃを入れてみたりの経験があると思いますが、体験としては似ていると思います。

なお、コミュニケーション系のSNSは、どんな会話の餌を用意してあげられるか次第で、丸々一つの新しいプロダクトが生まれたりします。Zenlyの位置情報、FRYDAYSの予定ときました。SNSっぽさは薄れますが、映画の感想を共有するFilmarksもありますね。聴いた音楽をシェアする用途と思われる?Cuziraなんかもあったりします。頻度が高い餌であればあるほどソーシャルとの相性が良くなります。

あとはYouTubeやNetflixの視聴履歴、買い物履歴、運動や食事の情報、旅行の計画などでしょうか。

ツールからおもちゃへ

カレンダーという「ツール」を若者向けの「おもちゃ」化するという試みは、過去に成功しているプロダクトを振り返ってみてもメイクセンスします。例えばiPhoneにも電話番号ベースのSMSチャット機能が備わっているかと思いますが、今の若者が使うのはもっぱらLINEですよね。Appleが出している「友達を探す」というアプリでは友達の位置情報を確認できますし、実はGoogle Mapにも位置情報を共有する機能が付いていますが、今の若者が使うのはZenlyです。SMSが連絡を取るツールならば、LINEはチャットを通じてコミュニケーションを楽しむおもちゃ。(LINEはおもちゃからはじまり今ではインフラでありスーパーアプリですが)Google CalendarやiPhone純正のカレンダーが予定を管理するツールならば、FRYDAYSはきっと予定を通じてコミュニケーションを楽しんだり、予定を楽しく考えて作る遊び場かと思います。

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なお、ここで思い出されるのは、Snapchatがローンチ初期にiPhoneのカメラに打ち勝とうと考えていたことです。

Evan and Bobby figured out a way to get rid of the animation that occurred whenever you opened the iPhone camera app. The friendly animation mimicked and old-school camera opening its gray lens. It only took a second or two, but this was too long for Evan. Eliminating this step made the camera for the Picaboo app load much more quickly than the standard iPhone camera app could. If the Picaboo camera loaded faster than the standard camera, some people might start using Picaboo as their default camera. Users might take all photos with Picaboo by default, then send them to friends and save the ones they wanted to save.

   How to Turn Down a Billion Dollars -The Snapchat Story- より引用

PicabooというのはSnapchatに改名する前の名前ですが、ここで言っているのは、Snapchatのアプリ起動時にロゴマークが一瞬表示される工程(LINEを思い浮かべてみてください)をスキップすることで、iPhone純正のカメラアプリより速く起動できるようにし、「写真を撮る = Snapchat」という考え・行動を根付かせようしています。

FRYDAYSも、若者が使うカレンダーアプリといったらFRYDAYSだよね!というふうになると強いと思います。そうなってほしいです。なお、Snapchatは純正のiPhoneカメラに勝とうとしましたが、FRYDAYSは既存のカレンダーを同期するだけで取り込めるので、共存が可能です。必ずしも勝つ必要がないということですね。

過去、現在、未来、すべてを網羅

SNSの歴史は、過去にあった出来事を共有するところから始まりました。友達と遊んで帰ってきたら、Facebookやmixiにその内容について投稿する。Twitterやインスタグラム、スナップチャットなどの登場により、今この瞬間をもシェア出来るようになりました。ライブ配信アプリはさらに超同期的なシェアですね。これらのプロダクトは基本的に過去から現在までです。

対するFRYDAYSはこの過去と現在に加えて、未来までも取り込んでいます。というより未来がメインの領域でしょうか。

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再来週にとあるイベントがあるとします。そのイベントが起きる前々から友達にシェアし、イベント前、イベント中、イベント後の三段階でコミュニケーションを量産できます。例えば女子高生が再来週、気になっている男の子とデートする予定を、限られた親友だけに公開したとしましょう。それだけで「え、詳しく!!」とコミュニケーションが生まれ、当日は「頑張ってね!!」というやりとりだったり、終わった後は「どうだった!?」という会話に華を咲かせることができます。もちろんLINEやInstagramでも、再来週デートすることになった!と伝えることはできると思いますが、FRYDAYSはそのようなコミュニケーションをより促しているかと思います。上記はデートを例に挙げましたが、バイトや就活の面接、学科の試験、旅行、部活の大会など、あらゆることに言えます。また「隅田川の花火大会 (行く人募集中!!)」みたいに、まだ決まっていない予定についても量産していくことができるでしょう。

なお、未来ではなく過去にフォーカスすると、FRYDAYSはmixi時代の日記のような役割も担えるポテンシャルを秘めているかと思います。1日が終わった後に、日記のような形で投稿をすることもできるからです。

FRYDAYSの競合はどこになるか

FRYDAYSの一番の競合はきっとTimeTreeではないでしょうか。大切な人と予定を共有し合う日本発のカレンダーアプリで、あのアップルのティム・クックも注目しています。下記は彼が来日して、TimeTreeのオフィスに寄られた際のツイートです。ベタ褒めしていますw

TimeTreeはちょっと前に電車広告やテレビCMなんかもやっていて(今もやってる?)非常に勢いがあります。ただ、個人的な感覚値ですがTimeTreeは良い悪いはさておき、ツールに寄っている気がします。Zenlyのように女子高生が友達と使うポップなおもちゃというよりは、家族や恋人と使う便利なツールみたいな感じでしょうか。家族や恋人と予定をシェアし合うという意味では、普通のツールよりはおもちゃに近い気がしますが、ツールとおもちゃの中間地点といった感じでしょうか。実際にDM機能が付いていなかったり、コミュニケーションファーストではないという感想を抱きます。あくまで大切な人との予定をシェアするアプリなのかな?と思います。

また、家族・恋人と、というイメージが最初についてしまっているアプリでは、ユーザーはなかなかその枠を飛び越えられない気がします。普通の友達とも予定をシェアするという発想に至らないのです。とはいえ、TimeTreeは家族・恋人のみならず、YouTuberのフィッシャーズを起用したCMも用意し、「グループ」でカレンダーをシェアすることもアピールしているので、もしかすると後発的に使い方の啓蒙をしていきユーザーの裾野を広げていくこともできるかもしれません。

また、Facebookが登場した時に既にMySpaceというSNSが広く使われていたように、1st Moverが生き残るとは限りません。

なお、カレンダーシェアアプリという意味ではTimeTreeが一番の競合になりますが、FRYDAYSはコミュニケーションに重きを置いているかと思います。その場合、当然全てのコミュニケーションアプリが競合になるでしょう。LINE、Twitter、Instagram、Snapchat、Zenlyなどなど。

FRYDAYSは Next Zenly になれるか?

Snapchatに買収されたZenlyのように、もしFRYDAYSが若者向けのHot Appになったら相当胸が熱いですね。

立ちはだかるハードルについて考えてみたいと思います。まずはZenlyとの違いを見ていきましょう。Zenlyは、どう面白いのか全く想像がつかない段階でも、とりあえずアプリを入れてみたら、何もしなくても位置情報がシェアされ合うことで自然に会話が生まれ、何これ面白い!となります。FRYDAYSの場合は、アプリを入れただけでは当然何も起きず、積極的に予定を作成して公開する必要があるので、ワンステップ挟まれます。この予定を作るプロセスそのものがワクワクする楽しい作業だとユーザーが思えば最高でしょう。一方で、わざわざ予定を作るのがめんどくさい。となってしまう懸念もあります。もちろん、既に使用しているカレンダーとの同期が出来るので、追加的なアクションは必要ないという捉え方もできるかもしれません。予定を公開することで面白いコミュニケーションが生まれ得ることを分かっているユーザーは積極的に予定を作るかもしれませんが、最初のユーザーはそこまで想像力が働くとは限りません。

次に、予定というプライベートなものをシェアする心理的ハードルを指摘する人がいるかもしれません。前述のように試しに仲が良い人と予定を共有したことがありますが、普通に抵抗ありません。Zenlyを使いこなすようなZ世代にとってはこの懸念は杞憂かもしれません。

最後に、そもそもみんなに公開できる、公開するに値する予定が十分にあるかという問題があります。これは結構大きい気がします。コロナ禍の中、みんなの外出の予定は減っているかと思います。FRYDAYSの開発陣も4月には以下のようなツイートをしています。その後、色々議論した結果、夏休み前の7月末にリリースを決めたのかもしれません。

とはいえ、自粛期間によって友達と会う機会が減るからこそ、逆にみんなが何をして過ごしているかが気になるという見方もできます。友達とディズニーに遊びに行っている最中に、その友達がどこで何をしているかなんて気にならないでしょう。自分といまディズニーを満喫しているので確認するまでもありません。みんなと離れているからこそみんなが何しているのかが気になるのです。

また、家にいても予定は作れます。FRYDAYSで予定を作ろうとすると、下記のような候補が出てきますが、「おうち時間」がありますね。

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今夜見る予定の映画のタイトルを入れてみたり、料理とか勉強とか、予定は入れようと思ったらたくさん入れられるでしょう。

なお、共有したくてもできないというケースもあります。特にビジネスマンであれば平日の日中の予定は会社関係の予定かと思いますので、会社外の人への公開は難しいでしょう。とはいえ、例えば別にZenlyなんかはビジネスパーソンをターゲットにしている訳ではないと思いますので、中高生・大学生をターゲットにする分に問題無いかと思います。

また、コミュニケーションに火をつけるために、本来はわざわざカレンダーアプリに書き込まないであろうことまで記載するようになるかもしれません。例えば、僕も休日に「朝7:00に起床頑張る!!」という目標のような予定を入れてシェアしたりしていました。(結果的には昼前まで寝てしまい、達成できなかったと自分の予定にコメントし、逆にその友達は、朝からカフェで優雅に作業をする予定をしっかり達成してきたぜとマウントを取ってきましたが)。他にも例えば、仲の良い人たちだけに向けて金曜日は合コンの予定などをシェアするかもしれません。12月24日に、クリスマスまでに彼女を作る!!という予定を入れた瞬間、お前はぼっちに一票というDMがくるかもしれません。このように色々と想像が広がりますが、ユーザーというのは想定したように使ってくれるとは限らないのも、またSNSの面白さであります。例えば、友達に関する投票アプリの「TBH」をバズらせ、即座にFacebookへのバイアウトを果たしたSNS起業家ニキタ・ビエール氏も次のように言っています。「知的で高度な会話が生まれるプラットフォームを作るんだ!!」と意気込んで作ったプロダクトが23人のユーザーしか使ってくれず、「もういい、単に誰が一番可愛いかを投票させるだけのアプリにしようぜ」とリリースしたら1千万ユーザーになることがあると。

とはいえ、ツイッターを眺めている限り、コミュニケーションを促すような面白い予定をFRYDAYSに入れている人たちが結構いるみたいなので、こちらの懸念も杞憂かもしれません。

なお参考までに、海外では結構昔からソーシャルカレンダープロダクトがいくつか出ていますが、Zenly級には化けていないようです。これは何か気付かされていない問題点があったのか、それとも時期や届け方が悪かったのか、原因はよく分かりませんが、日本発のFRYDAYSはソーシャルカレンダー領域で本格的に成功するプロダクトになってほしいです。

最後に

人生は毎日の積み重ねですので、カレンダーは人生そのものとも言えるかもしません。自分や友達がどう生きてきたか、今何をしているのか、これからどう生きていくのか。そんな過去、現在、そして未来の全てがカレンダーには詰まっています。ソーシャルとの相性は抜群だと思います。朝起きたら、顔を洗う前に、インスタを開くよりも先に、まずFRYDAYSを開いて友達のその日の予定をチェックする。そんなことが当たり前になるかもしれません。毎日を彩ってくれるFRYDAYS、すごい!

(おわり)

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