魚眼_p1

戯曲公開(無料)『魚眼パノラマ』

2002年度 第8回 日本劇作家協会新人戯曲賞・最終候補ノミネート作品
戯曲PDFデータを無料公開いたします。

最終候補になりましたが、受賞には至りませんでした。
この作品を書いた時は、前年に書いた初コメディ『うちに来るって本気ですか?』が予想外に評価され、自分でも狼狽えていた時期だったので、自分が書きたいものと、勝手に自分で想像した周りが期待しているであろうものとの狭間で、軸がブレブレになっていました。
加えて、まだ二十代で若かったので、先行きが明るくは感じられない社会を作り上げた大人たちに一言物申したい気持ちと、「いやでも芝居は何も考えずに楽しく観たいよ私は」という気持ちが両方あり、その葛藤を整理できないまま書き進めてしまいました。苦しかったですが、自分が演出で公演が決まっていたのもあり、必死に腕力でまとめ上げた感じでした。この作品だけ冒頭に舞台装置図がありますが、演出からキャスト・スタッフへの説明として書いたものです。
そういうわけで、自分でも満足していない作品のため、ここへ掲載は躊躇っていました。さらに今回、戯曲賞の審査員の批評を読み返してみたところ、厳しい意見が多くて十数年ぶりに凹んだので(公開審査なので当時は目の前で言われてるけど)、もうこの作品は公開しないでいっか!とも思いましたが、作品は人目に触れさせないと死んじゃうし、これから新人戯曲賞に応募しようと思っている方の参考にでもなればと思い、古い作品ですが掲載してみます。収録された本も在庫がないようですし。
あ、審査員の方々は批評は厳しかったですが、その後の懇親会では優しく、真摯に応援の言葉を掛けてくれたことを書き添えておきます。

【ページ数】64ページ
【上演時間】約100分
【キャスト数】8名(男5・女3)
【初演】2002年
【出版】ブロンズ新社『優秀新人戯曲集2003』収録 (在庫切れ?)
【あらすじ】
数十年後の日本、生活空間は完全に地下へ移っている。
高齢化に伴い、血の繋がりのあるなしに関わらず、どの家族も必ず老人を養うことが義務付けられていた。が、老年犯罪は多発し、社会問題となっている。一方、若者たちは試験を受けて測量員となり、地上へ出て行くことを夢見ていた。舞台はその地下にある、さびれた小さな水族館。
祖父母がここの駐輪場から何台も自転車を盗んでいるのではないかと疑った孫たちが、盗みの現場を押さえようと集まって来る。だが、この水族館は自転車だけでなく、幸運を呼ぶという魚までもが何者かに盗まれていた・・・。水族館の喫煙所ですれ違う人々の思惑が、ぐるぐる絡み合う近未来群像劇。

※本作品の著作権 (上演権・映像化権などを含む) は石原美か子に帰属し、無断上演は禁じます。上演を希望される場合は、戯曲の最終頁の「上演許可について」をご確認の上、必ずご連絡ください※

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石原美か子 公式サイト http://www.ishiharamikako.com/


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