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ラスト5分に凝縮されていた、2018年の鬼木フロンターレの集大成。そして圧巻の家長ターンと、必然の逆転劇。(リーグ第34節・ジュビロ磐田戦:2-1)

 等々力競技場でのジュビロ磐田戦は2-1で勝利。

ロスタイムの目安4分の3分半が過ぎたときに、待っていたのは等々力劇場でした。いやはや、最後の最後でこんなドラマが待っていたんですね。

 1-1で迎えた試合終盤、奈良竜樹の同点弾で追いついてからは、フロンターレが完全に攻め続けて、ハーフコートどころか、3分の1コートマッチで押し込み続ける展開になっています。

 耐える選択に舵を切った磐田守備陣は、しのいでもクリアするのが精一杯。ただ懸命に守る磐田守備陣にも、「ゴールを割らせなければいい」という潔さがありました。もう美しさとかプライドとか、そういうものも全部かなぐり捨てて、勝ち点1を取りに来ていました。

 でも王者・フロンターレも、プライドをかけてこじ開けにいく。そんな攻防戦で時間が過ぎていく試合終盤でした。

 そして試合終了が近づくことは、「2018年版の鬼木フロンターレ」の終了が近づいていることも意味していました。電光掲示板のカウントが消えてロスタイムに突入。ジリジリした展開の中でも、「まだ終わらないで欲しいな」とぼんやりと思って見ていると、ロスタイムの目安4分の3分半が過ぎたときに、待っていたのは等々力劇場。

 ゴールネットが揺らされた瞬間、いっせいに崩れ落ちる磐田の選手達。最終的にはオウンゴールでしたが、それを誘発したのは家長昭博による圧巻のターンからのドリブル突破でした。いやはや、あの時間帯でそんな仕事をしてしまうんですか?と。

 そして再開のキックオフと同時にタイムアップ。つまり、「2018年版の鬼木フロンターレ」のラストプレーを飾った選手は家長だったというわけです。チームメートが今年のMVPと認める存在ですが、なんだか少し出来過ぎだったような気もしますね。

 これでリーグ戦全試合の日程も終了。
最終的に、2位の広島との勝ち点差は「12」でした。リーグ1位の総得点57、リーグ1位の総失点27。最多得点と最少失点もリーグトップを記録したのは、2005年に18チーム制になって以降、2シーズン制の15年、16年を除いて史上初。完全優勝達成とも言われています。素晴らしいシーズンでした。

では、そんなゲームのレビューです。ラインナップはこちら。

1.「距離感も悪かった。前半は気持ち良くなかったというか、楽しく、いつもの感覚ではやれなかった」(守田英正)、「距離感が悪くて、自分がボールを受けられなかった」(知念慶)。前半の苦戦の原因を探る。「いつもの距離感」を巧妙に分断し、スローテンポに持ち込んできた磐田のプランとは?

2.「後ろのサイドの選手が、前に強い選手だった。自分が内側をとって、その裏をサイドバックのシンタロウくんやノボリくんに狙ってもらう意図があった」(長谷川竜也)。なぜ前半のチャンスは左サイドから生まれたのか。中村俊輔の背後を、執拗に狙い続けた理由とは?

3.「ヨシトさんに決められた時は、『持っているな』と思ったし、相手も盛り上がって嫌な雰囲気になった」(谷口彰悟)。「向こうはCKから失点が多い。マークが緩くなりがちだった」(奈良竜樹)。大久保嘉人の一撃にも屈しない。あきらめない強い気持ちと、頭ではなく魂で流し込んだ、奈良竜樹の今季初ゴール。

4.「自分たちが今年ずっと積み重ねてきたことを、最後まで放棄せずにやって、逆転ゴールが生まれた」(中村憲剛)。「あきらめずに自分たちを信じてやり続けた結果がこうやって最後に逆転できた。今日の試合にも通じる部分があった」(奈良竜樹)。ラスト5分に凝縮されていた、2018年の鬼木フロンターレの集大成と、必然の逆転劇。

5.「残り少なかったので、自分が行かなくてはいけないかなと思っていました」(家長昭博)。ロスタイムでの等々力逆転劇を呼び込んだ、圧巻の家長ターン。「なんであの時間帯に、あんなプレーができるんですか?」と、本人に聞いてみた。

6.(※12月8日追記)「いま、いきなり良い時期が始まったわけじゃないですから。そういうのを感じながら、このエンブレムを背負って戦う重みを感じられるクラブになっていければ良いと思います」(田坂祐介)。解団式で田坂祐介が語ったこと。

以上、6つのポイントで全部で約11500文字です(12月8日にポイント6を追記しました)。特に家長昭博についてのポイント5はぜひ読んでもらいたいところです。よろしくどうぞ。

なお、プレビューはこちらです。➡️試合をディープに観戦するためのワンポイントプレビュー(リーグ第34節・ジュビロ磐田戦)

では、スタート!

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