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いるべき場所にいないことで招いてしまった失点と、いるべきはずではない場所で守り続けた奈良竜樹。そして、あえて自分自身に矢印を向けた指揮官。(リーグ第12節・浦和レッズ戦:0-2)

 等々力競技場での浦和レッズ戦は0-2で敗戦。

あまりに色々なことが起きた90分でしたが、きっと「奈良竜樹がゴールキーパーとしてプレーした試合」としてサポーターの間では語り継がれていくのだと思います。

 この浦和戦前日のこと。奈良竜樹は力強く、こう語っていました。

「後ろがじれないで、耐えるときには耐えること。常にどっしり構えて守ること。後ろから勝利をたぐり寄せるようなことも大事だと思っている」

 どんなに押し込まれる展開になっても、後ろが強気であり続ければ問題ない・・・・そういうメンタリティーを強調していたんですね。ただ「常にどっしり構えて守ること」といっても、まさか最後尾からチームを支えることになるとは思ってもみなかったはずです。あの奈良竜樹のセービングは見事でしたし、その姿勢はチームを勇気付けるものだったと思います。

 ただこの浦和戦の敗戦で「連勝が3でストップしてしまったこと」も事実です。そこは勝敗として受け止めなくてはいけません。

「今日に関して言えば、10人になったなどは関係なく、その前に0-2にされている。完敗だと思います」と振り返ったのは、車屋紳太郎です。「なぜ連勝が3で止まってしまったのか」も含めて、試合内容に関しては、冷静に見つめ直す必要もあると思っています。

 今回はそんな視点を中心にしたレビューになっております。ラインナップはこちらです。

1.「浦和と対戦するときは、だいたいああいう形にはなる。横の揺さぶりだったりとかをもう少し増やすとかをできればとは思っていた」(大島僚太)。改善の兆しが見れた〔3-3-2-2〕対策のビルドアップ。サイドバックが、あえて低い位置取りをしていた理由とは?

2.「動きが少ないとは感じましたね。もうちょっと無駄走りではないけど、スペースに走ったりとか必要だった」(小林悠)。「ゴール前の最後、なかなか惜しいシーンも正直いって少なかった」(車屋紳太郎)。3手先の崩しの局面が作れなかった攻撃陣。その背景を探る。

3.「いるべきところにいるべき人がいなかった」(谷口彰悟)。いるべきところに人がいなければ、そこから破綻が起きるのは必然。崩されての2失点の問題点はどこにあったのか。

4.「基本的には、もっと自分でコントロールできたんじゃないかと思います」(鬼木監督)。敗戦の翌日、あえて自分自身に対して矢印を向けた若き指揮官の振る舞いを見て、あらためて思うこと。

5.「あれはDAZNのベストセーブでしょ、っていうぐらいのセーブだった」(新井章太)。自らのグローブを奈良竜樹に託した新井章太が振り返る、そのもどかしさと、あの舞台裏。

6.「GK(をしたこと)について何かを語りたいとは思わない。それまでにああいうシーンになってしまったのはディフェンスの責任」。約20分、ゴールマウスに立ち続けながら、多くを語ろうとしなかった奈良竜樹。その思いの根底にあったもの。

 以上、6つのポイントで全部で約9500文字です。試合取材はもちろんですが、翌日に行った後日取材も追加したため、このボリュームになっております。ぜひ読んでみてください。

なお、プレビューはこちらです。➡️試合をディープに観戦するためのワンポイントプレビュー(リーグ第12節・浦和レッズ戦)

では、スタート!

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