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失敗してもええんやでぇ【連載1】

テレビバラエティ番組に大阪堺市の中小企業の「大失敗賞」が放映されていた。
太陽パーツ「大失敗賞」。
調べてみるとビジネス誌に取り上げられているじゃないですか。
すばらしい賞に感銘したのは、失敗を表彰していることです。

失敗した社員を表彰するとは、なんと画期的!

失敗は企業にとって悪。
そりゃそうですよね。失敗を恐れている企業がたくさんあります。
ただ、企業が何か新規事業をする場合や新商品を開発する時は、リスクを負います。優秀な社員が担当しても成功する確率は高くてもやはり失敗はつき物です。
成功は失敗からしか生まれません。
大企業になった企業、例えばホンダの成功事例も、その過程を振り返ると失敗の連続なのです。明確な戦略を構築して成功した事例はほとんど皆無なのです。
誤解してほしくはないですが、失敗を奨励しているわけではありません。

失敗からどう学ぶのか、失敗できる環境が大切なのです。

成果主義では、失敗はネガティブな評価、懲罰の対象になります。
大企業でも失敗恐怖症で衰退していった事例を最近よく見かけます。失敗恐怖症は経営者のサラリーマン化が影響しているのではないでしょうか。
大企業のみならず経営者のサラリーマン化で失敗を恐れる「失敗恐怖症」がはびこる。「失敗恐怖症」で企業内はどんどん澱み、社員の覇気も無くなる。
「おもいっきりやれ!」という社長、上司ほど失敗したら容赦なく攻め立て断罪する。当初批判的で反対していたのに上手くいきそうになると部下の手柄を平気に自分の手柄にする上司。業務改革に総論賛成で各論反対となかなか進まない停滞した事業。これでは社員は育たないし、空気も鬱積していく。
どうです皆さんも思い当たることはありませんか?

本文で述べますが「大失敗賞」は、ホンダの成功ストーリーを彷彿させます。
もちろん、ホンダ創業者の本田宗一郎氏は「大失敗賞」で社員を表彰したわけではありません。失敗をゆるやかに受け止め、のびのびと仕事ができる、やりがいのある社風を作り上げていたのです。本田宗一郎氏自身も開発したバイクが売れず倒産しかけたことがあります。失敗だらけでした。
太陽パーツの「大失敗賞」はホンダ創業期と重なります。

さて「大失敗賞」は何を意味するのでしょうか?
城岡陽志社長は、5000万円の損出でボーナスが吹き飛んだ雰囲気を払拭し、笑い飛ばすことで一新しようと試みたのかもしれません。
確かにそうだとおもいますが、「大失敗賞」の本質は経営責任の明確化です。
「大失敗賞」は経営者が責任を取ることであり、その意思を社内に示すことにある。
取材をして直接お話させていただきましたが、城岡社長の英断、勇気、凄みを感じました。

経営者、上司が責任を取る覚悟があれば、部下ものびのびと仕事をするはずです。「大失敗賞」は現代の経営者が学ぶべきことが包含されているとおもいます。
責任を取る企業風土を醸成すれば、社員のやりがいも高まるはずです。
つまり「大失敗賞」は「経営者覚悟大賞」ともいえます。

「大失敗賞」のもうひとつの効果は、「琴線を読める洞察力」「信じる共感力」を養いことにあります。実は、企業活動の中で一番大切なことなのです。
 失敗、挫折を重ねていけば、失敗力になり、セレンディピティーを生み出す、幸運を引寄せる力になるのです。

もちろん失敗の仕方が大事ですが。

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