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徒歩旅についてきた不思議な修行僧

安八町から東京まで約400キロの徒歩旅をした時のこと。
SNSを見ていた修行僧が一緒に歩かせてほしいと知人経由で連絡かあり、静岡県で合流してきました。

常に歩きながらではあるけれど、
語り合う時間は山ほどあります。

沖縄出身で、寺で修行しているにも関わらず、
背中にキリストのタトゥが入っている不思議な青年の話をうかがいました。

「組織の監視役の恐怖は、もちろんですけど、家族や子どもの頃の友人の顔なども浮かんで、いつも追われているような感覚がまとわりついて……」
 彼は、カード詐欺の犯罪グループの末端に加わっていた過去について話し始め、衝撃を受けます。

ただ、彼の話をうかがってから、様々な事件をネットやテレビで知る度に、そこに至るまでの犯罪者の生活や心境、そして彼らの家族について想像するようになりました。

昨日、シアターコクーンで公演中の「パラダイス」を拝見しながら、思い出したのです。

ヒリヒリ感、空虚さ、息苦しさ、焦燥感……が散りばめられた舞台に吸い込まれながら、
彼らの今後の人生、家族の存在を想像しながら、ふと、以前、一緒に歩いた修行僧が頭をよぎったのです。

彼は東京に到着後、僕の友人たちが開いてくれた打ち上げに参加した後、修行していた寺に戻らなかったらしい。そして、そのまま行方不明に。
元気に、少なくとも追い込まれていなければいいのですが。








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