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これはゲームではない。ジムである。

遅ればせながら「リングフィット アドベンチャー」(以下リングフィット)を55日間かけて1周目クリアした、41歳中年の記録。もちろん個人の感想。

リングフィットについては色々なところで体験談が書かれているし、ソフト自体が品薄になるほどの人気商品なので、もはや説明はいらないだろう。

私がリングフィットを入手したのは6月12日頃。2月の下旬から在宅勤務が続き、運動不足をなんとか解消しなければと考えたためだ。

いちおう私の運動歴などを書いておくと、3歳から水泳を始め、小学校から高校まではけっこう本格的に泳いでいた。なので、昔は体力にはそこそこ自信があるつもりだった。

しかしながら大学に入って以降は、まともな運動をほとんどしてこなかった。もう20年以上経ってしまったことになるが、ときどき思い立ったように2〜3km程度のジョギングをすることはあったものの、大した運動にはなっていないはずだ。

身長は中学以来175cm。ここ10年くらいの体重は73〜75kgぐらいで増減している。まぁそれほど太りやすい体質でもないのだが、立派な中肉中背。ちなみに、現役で泳いでいた頃の体重は63kg。やはり30代を超えると代謝が落ちるせいか、何もしなければ体重が減ることはほとんどない。

折に触れてダイエット(バターコーヒーとか)を試みたこともあったが、せいぜい2〜3kg落ちることはあるものの、いつの間にか自然消滅することばかりだった。

今回リングフィットをやって思い知ったのは、食事のダイエットだけでは、体重は減っても筋肉が増えることはないのだという、当たり前の事実だった。

始めてすぐのうちは、ある程度体重が落ちる。

リングフィットを実際にやってみたところ、まず最初のダイナミックストレッチの時点でヤバいと思った。足が上がらない。片足立ちでフラつく。アドベンチャーへの旅立ちを前に、既に息も絶え絶えだ。

いざアドベンチャーに出て1ステージでもやってみると、まぁよくできてるということにひたすら驚かされる。そこはさすが任天堂だ。Nintendo Laboでも驚きの連続だったが、まさか赤外線センサーを使って脈拍も測ることができるとは。

そして、数日も真面目にやれば、すぐに1〜2kg体重が落ちる。まぁこれは汗をかいて水分量が減っただけかもしれないのだが、驚いたのは体脂肪率がみるみる減ったことだ。始めて1〜2週間で、2〜3%落ちた。これは、食事ダイエットだけではなかなか難しい所だろう。

先にも書いた通り、やはりあまりにも運動不足だったため、最初のうちは減りも早いのかもしれない。

しばらくすると、体重も体脂肪率もあまり変わらなくなった

始めて3週間ほど経ってくると、体が運動に慣れたせいか、体重も体脂肪率もあまり変わらなくなってきた。

ちなみにアドベンチャーに出るのは、いつも朝。在宅勤務の始業前くらいしか、やる時間がない。夕方以降はだいたい子どもたちがスイッチの取り合いになるし、あまり夜遅くにドタバタとやるわけにもいかない。

実際に運動している時間を20分程度と定めているのだが、プレイ時間は40〜50分くらいかかる。しかしながら、この時間は在宅勤務で通勤時間がなくなったからこそ得られた貴重な時間だ。

はてさて体重は70kg前後、体脂肪率は20%前後でウロウロしている感じなのだが、毎朝運動をすることで、全身が目覚めるとともに細胞が活性化されるような感じがして、仕事の効率も上がる気がする。

元々、痩せることが目的というよりは健康になることが目的なので、それだけでも効果は十分だと思っていた。

1ヶ月以上経った頃、体に異変が…

毎回アドベンチャーに出たあとは汗ダクになるのでシャワーを浴びるのだが、あるときふと体型の変化に気がついた。腕を上げたときの肩まわりのラインが明らかに違う。

水泳をやっていた頃と比べて明らかに落ちたのが、この肩まわりの筋肉だ。特に三角筋などは、日常生活で使うことが少ないので、落ちやすいと言われている。おそらく現役の頃と比べれば、肩幅が5cmくらいは縮んでいると思う。ただ逆に考えれば、ちゃんと鍛えれば変化が見えやすい部位でもあるのかもしれない。

おや?と思って鏡を見てみると、胸筋のあたりもここ最近では見たことないような厚みになっている。なるほど、脂肪が筋肉に変わってきたのかもしれないなと思った瞬間だった。

そして、全身の肉の質感が変わった

1ヶ月半も超えてくると、ゲームがすっかりルーティーンになり、多少負荷も上げたりしていた。

そしてまたあるとき。ふと腕を組んだら、何だか腕の肉の質感が違う。以前は全体的にうっすらプニプニ感があったのが、すっかりハリが出て、明らかに硬くなっている。ちょっと力を入れてみると、見たことない所が軽く盛り上がっていたりする。

そういえば、腿もふくらはぎも、何だか硬くなったような気がする。気づかないうちに、全身の贅肉が落ちてきたのが分かる。背中も触ってみると、何だか少し筋肉質になっている気がする。腹まわりはまだプニプニ感があるものの、つかんだ厚みが明らかに減っている。

感覚的にも、動いたときの体の軽さが全然違う。ゲームを始めた当初ヤバいと思ったあのダイナミックストレッチも、難なく足が上がるようになったし、フラつきもしなくなった。在宅勤務になる前より健康的になったどころか、はっきり言って、ここ20年でいちばん健康状態がいいかもしれない。

猫背が治った

そしてこれが一番驚いた効果だったのだが、長年悩まされてきた猫背が、いつの間にかキレイになくなっていたのだ。

気づいたのは、妻と並んで散歩していたとき。ふと妻から「なんかデカくなった?」と言われて、ハッと気づく。

「そういえば、なんか姿勢良くなってるかも…」

まったく意識していなかったのだが、たしかに鏡で見ると今まで見たことがないくらい、自然に背筋がピンとしている。わざと猫背の姿勢をしようとすると、窮屈でできないくらいだ。

やはり、運動不足のせいで腹筋・背筋が鍛えられておらず、無意識に肩が内側に入ってしまうのが普通になっていたのだろう。それが、知らず知らずのうちに体幹ごと鍛えられ、自然と胸を張るような姿勢になっていたのだ。

記憶がたしかではないのだが、水泳をやっていたときも猫背だったと思うから、体幹だけで言えば現役の時よりも状態がいいのかもしれない。

また、デザイナーという職業柄、座りっぱなしの時間が長く、首も腰も軽いヘルニアを抱えており、この4月にはギックリ腰にもなったくらいだったのだが、腰痛も肩こりも、だいぶ軽くなった。

体感的には、上半身と下半身はよく鍛えられた気がするが、腹筋まわりをもう少し重点的に鍛えて、腰痛も完全に解消したい所だ。

これはゲームではない。ジムである。

運動をするにあたって一番難しいのは「続けること」だ。そして、そのために必要なのが、言うまでもなく「モチベーションの維持」だ。

そういう意味で、ゲームの世界で「ユーザーのモチベーション設計」を研究し続けてきた任天堂が「人を動かすゲーム」を得意とするのは、自然の流れなのかもしれない。

古くは「ファミリートレーナー」から「Wiiフィット」まで、任天堂の健康ゲームの歴史は長い。間接的には「ポケモンGO」も、人を動かすのに十分なモチベーション設計がなされている。

もしもリングフィットがゲームとしての「モチベーション設計」や「中毒性」を持っていなかったら、ここまで運動を続けることは困難だろう。

ゲームという形こそ纏っているものの、これは優秀なトレーナーを擁した超小型のジムが家にあるようなものだ。

ジムだって、まず家から通うこと自体が第一の難関だ。その点、このジムは家から一歩も出ることなくアクセスできる。こんな便利なことはないし、そう考えれば随分安いものだ。

願わくば、もっと早くに入手して取り組んでおきたかった。そうすれば、ギックリ腰にもならなかったかもしれない…。

まあいい。

明日からは、未だプニプニ感の残る腹筋まわりを中心に、鍛えていこう。まだまだ私のアドベンチャーは終わっていない。

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